トランプ氏、バイデン氏への政権移行手続き開始を容認 (BBC NEWS JAPAN)

トランプ氏、バイデン氏への政権移行手続き開始を容認 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/55053484





トランプ氏、バイデン氏への政権移行手続き開始を容認





2020年11月24日 10:34







Reuters





ドナルド・トランプ米大統領は23日夜、ジョー・バイデン次期大統領による政権移行手続きの開始を認めるとツイートした。担当の一般調達局(GSA)に「必要なことをする」よう促すと書いた。一方のエミリー・マーフィーGSA長官は、「独自の判断」で政権移行手続きの開始を認めることにしたと、バイデン氏に手紙で伝えた。これに先立ち、トランプ氏が結果を争っていたミシガン州の選管が、バイデン氏による勝利を認定していた。



トランプ氏はツイートで、「GSAのエミリー・マーフィーが確固としてこの国に奉仕し忠誠を尽くしてくれたことに感謝したい。彼女は、いやがらせや脅しや攻撃を受けてきた。それが彼女や彼女の家族、GSA職員に起きるのを自分は望まない。自分たちの取り組みは今後も強力に続くし、自分たちが勝てると信じている! しかしながら、この国の最善の利益のためにも、私はエミリーと彼女のチームに、当初手続きについて必要なことをするよう勧めるし、自分のチームにもそう伝えた」と書いた。





...fight, and I believe we will prevail! Nevertheless, in the best interest of our Country, I am recommending that Emily and her team do what needs to be done with regard to initial protocols, and have told my team to do the same.

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 23, 2020




トランプ氏はその後、GSAに民主党との協力を認めたことと、法廷闘争を全力で継続することとは別だとツイート。「偽の票と『ドミニオン』を決して認めない」と書いた。ドミニオンとは、トランプ氏と支持者たちが証拠を提示することなく問題視している投票機の製造会社



一方でGSAのマーフィー長官は、バイデン氏にあてた手紙で、連邦予算630万ドルや連邦政府の設備を政権移行手続きに使えるように許可すると伝えた。



トランプ氏に任命されたマーフィー長官は、自分がこれまで政権移行手続きを認めてこなかったのは、ホワイトハウスなどの指示や圧力によるものではないとした。また、今回認めることにしたのも、最近の各州での開票結果認定や訴訟の結果を受けて、過去の選挙の前例を参考に、独自に判断したと書いている。



長官はさらに、「自分や家族、スタッフ、あげくは自分のペットまで、オンラインや電話やメールで、もっと早くに(移行手続き開始を)決定をするよう、脅されてきた」と説明。政権移行の予算や設備調達を担当する政府部局が、選挙結果の認定に関わるような制度は、議会が早急にあらためるべきだとも書いた。



マーフィー氏はその上で、「大統領選の実際の勝者を決めるのは、憲法が詳述する選挙手続き」であって、自分たちGSAではないと強調した。



バイデン陣営はマーフィー長官の手紙を歓迎した。



「本日の決定は、この国が直面する難問への取り組みに着手するために必要な一歩だ。私たちはパンデミックを制御し、この国の経済を元に戻さなくてはならない」と、バイデン陣営は声明を発表した。



「この最終決定は、連邦省庁において政権移行手続きを正式に開始するよう指示する決定的な行政措置だ」



GSAは通常、選挙結果の判明を受けてすぐに政権移行手続きの開始を承認するもので、マーフィー氏はこれまで与野党から批判されていた。共和党の間からも、手続きの遅れは国家安全保障に悪影響を与えるという懸念が出ていた。連邦下院の民主党議員団は23日を期限に、マーフィー氏に状況説明を要求していたが、マーフィー氏はこれに応じなかった。



GSAの今回の決定によって、バイデン陣営は連邦施設や予算を使えるようになるほか、すでに着手している組閣人事で対象者の身元調査、いわゆる「身体検査」についても、連邦捜査当局の協力を得られるようになる。

動画説明,







米大統領選2020】 再選を逃した現職大統領がホワイトハウスを去った時





共和党からの圧力は



週末にかけて複数の共和党議員や関係者が、政権移行手続きを認めるようトランプ氏に呼びかけていた。



23日には、政界引退が決まっているラマー・アレクサンダー上院議員テネシー州選出)が、トランプ氏は「国を優先」して、バイデン氏を応援すべきだと声明を発表。「公職にある人間について世間が記憶するのは、その最後の行動だ」と指摘した。



シェリー・ムーア・カピート上院議員(ウェストヴァージニア州選出)も、「ある時点で2020年選挙は終わらなくてはならない」と呼びかけた。



ロブ・ポートマン上院議員オハイオ州選出)は、バイデン氏が国家安全保障に関する最高機密レベルの重要情報や、新型コロナウイルス・ワクチンの供給計画について、説明を受けるべきだと主張した。





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さらに経済界からは160人以上の経営者がマーフィー長官にあてた公開書簡で、「次期政権に対して必要なリソースや重要情報を提供しないのは、アメリカの国民と経済と安全保障をリスクさらす行為だ」として、バイデン氏を次期大統領として認めるよう呼びかけた。





ミシガン州がバイデン氏勝利を認定



バイデン氏が15万票以上の差で勝ったとされていたミシガン州では23日、投票検査委員会が、この結果を正式に認定した。同委員会の委員は2人が共和党員、2人が民主党員。共和党員の1人が結果認定に賛成し、1人は棄権した。



棄権したノーマン・シンクル委員は、1つの郡で数百票が影響を受ける問題が指摘されているとして、認定を延期するよう主張した。



しかし、同じく共和党員のアーロン・ヴァン・ランゲヴェルド委員は、認定する以外はありえないと主張した。



トランプ陣営は同州で特に民主党支持者の多い大都市デトロイトを含むウェイン郡で、票の認定を延期するよう要求していた。



トランプ陣営の弁護団は、今後もミシガン州の開票結果に疑義を訴え続けると主張。ジェナ・エリス顧問は、州による認定は「ただの手続きに過ぎない」として、「国民は最終結果が公平で合法的なものだと、はっきり知る必要がある」と述べた。



しかし、各州の投票結果の認定締め切りは12月8日。12月14日には各州の選挙人が、それぞれの州の投票結果に沿って、トランプ氏かバイデン氏に投票する。この選挙人538人による投票で、バイデン氏は306票を獲得し、次期大統領当選が確定する見通し。



トランプ陣営はこの選挙人の選定について、共和党の州議会議員たちに働きかけようとしてきたが、今のところ成果はあげていない。



ウィスコンシン州では、トランプ陣営の要請で部分的な再集計が行われている。同州の選管担当者たちは、開票に立ち会うトランプ支持者が1票1票に疑義を唱えるなどして、開票作業を意図的に遅らせていると批判している。



ペンシルヴェニア州では共和党支持者の連邦地裁判事が21日、トランプ陣営は具体的な証拠を提示しないまま「700万人近くの票を無効にしようとした」と批判し、訴えを棄却した。トランプ弁護団はその後、同州の連邦高裁に控訴した。同州でバイデン氏は8万票以上リードしており、トランプ陣営やトランプ支持者は様々な訴えで票を無効にしようとしてきたが、敗訴が続いている。



ジョージア州では、結果が僅差だったため州法にもとづく手作業の全票再集計でバイデン氏の勝利が確認され、州知事もこれを認定したが、トランプ陣営は再々集計を要求している。





(英語記事 Trump accepts transition to Biden must begin