日米関係:菅義偉首相はトランプ氏にうまく対抗できるか(Sputnik日本)/「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?(人民網日本語版)

日米関係:菅義偉首相はトランプ氏にうまく対抗できるか(Sputnik日本)/「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?(人民網日本語版)









(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/politics/202009227792391/





日米関係:菅義偉首相はトランプ氏にうまく対抗できるか







© AFP 2020 / Nicholas Kamm





政治





2020年09月22日 19:50






筆者 : タチヤナ フロニ





日本の菅義偉首相はドナルド・トランプ米大統領と電話会談を行い、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋地域」構想と世界経済強化のための協力について協議した。スプートニク通信は日米電話首脳会談について、また今後の日米関係の予測についてロシア科学アカデミー極東研究所のワレリー・キスタノフ日本研究センター長に話を聞いた。



キスタノフ氏は次のように語る。



「『自由で開かれたインド太平洋地域』の実現に向けて中核となるのは中国に積極的に対抗する米国、日本、豪、インドの4カ国同盟になるはずだ。しかしインドはよりバランスの取れた立場をとっている。インドが米国、日本との3カ国海上合同演習「マラバル」に参加する一方、日本も中国と経済的に密接に関係しており、中国に対する日本の立場は極めて慎重だ。日本は南シナ海東シナ海における中国の進出を危惧しているが、同時に中国が強力な軍備をもつ隣国というだけでなく、世界2位の経済であることも考慮しないわけにはいかない。」







© AP Photo / Andy Wong

米国はなぜアジア諸国に反中国路線をとらせることができないのか?






安倍前首相は中国を抑えつつ、中国との関係改善を図りバランスをとろうとした。日中関係は新たな時代を迎えたと宣言したほどだ。安倍氏の後継者である菅首相も、ほぼ確実にこのバランス路線を継続するだろう。それと同時に今日の日米経済関係は互恵的であるとは言えないとキスタノフ氏は語る。



トランプ大統領は依然として米日貿易の赤字に不満を抱いており、東京に対して解消する措置を求めている。安倍氏環太平洋パートナーシップ(TPP)を通じて日本経済を後押しすることを期待していたが、トランプ氏政権の米国は同協定を脱退し、日米関係を二国間フォーマットにシフトさせた。その際、東京は経済面で米国に大きく譲歩したが、日本車に対する関税の引き下げは果たせなかった。」



そのほか、トランプ大統領在日米軍の駐留経費の大幅な引き上げを引き続き求めるだろう。この問題は安倍政権で発生したが、解決は菅首相の手に委ねられた。菅首相が「トランプの教え」を踏まえ、同大統領にうまく対抗できるかどうかは大きな疑問だとキスタノフ氏は考えている。





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人民網日本語版)

http://j.people.com.cn/n3/2020/0925/c94474-9764387.html





「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?





人民網日本語版 2020年09月25日13:00











菅義偉内閣発足後、「菅外交」も本格的に始動した。日米両国の首脳は電話会談で日米同盟の強化を再確認した。だが日本メディアによると、敵基地攻撃能力の構築という安倍政権の残した「宿題」や、近く行われる在日米軍経費負担交渉等のため、菅内閣は安保問題で圧力に直面している。これは日米同盟の在り方に変化が生じる可能性があることも意味している。今後の日米同盟関係においては、日本による一層の外交の自主性の追求、米国による対日コントロール・利用の強化、日米の相互助力という三者間の駆引きが激化するだろう。(厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員。環球時報掲載)



菅内閣の対米外交政策にはだいたい3つの可能性があり、この3つが交互に進む可能性もある。1つ目は、日本の対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めるという可能性だ。これは今年末か来年初めに打ち出す新たな国家安保戦略で具体化される。弾道ミサイル攻撃・防御技術、先進的戦闘機・軍艦を独自開発し、さらには宇宙・電子・サイバー技術の開発に力を入れる。これらはいずれも、従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。2つ目は、日米同盟の枠組みの維持を前提に、日本は米国の影響力の助けを借りてインド太平洋地域でさらに多くの利益を獲得する一方、米国は日本という同盟ツールを利用することで、インド太平洋地域で中露を封じ込め、牽制するという目的を達成するという可能性だ。3つ目は、日本は米国の強固な同盟国としての役割を続け、引き続き米国に忠実に追随し、米国の指揮下で米国のグローバル戦略の遂行を手伝うという可能性だ。



以上3つの可能性のうち、1つ目は日本の政権上層部が将来に向けて計画している戦略構想であり、米国の幾重もの圧力に直面してもなお段階的に推し進めるだろう。ただそのプロセスは長期的で漸進的なものとなり、量的変化から質的変化へという螺旋蓄積型発展になるだろう。2つ目は菅内閣を含む日本が現在進めている対米外交であり、菅内閣の最初の一年にとって割合穏当な在り方でもある。3つ目はいくつかの大きな要因次第だ。例えば、▽菅義偉首相が十分な外交能力を示すことができるか否か▽トランプ大統領が再選された場合に、対日姿勢を強め、米国のグローバル戦略に一層貢献するよう圧力をかける可能性▽インド太平洋地域情勢の緊張によって、日本は安保圧力が増大し、引き続き安全と引き換えに米国に追随せざるを得なくなるといった要因だ。



また、日米同盟内の意見の相違や潜在的摩擦も、今後の関係発展に少なからぬ可変的要素をもたらす。こうした可変的要素がある程度まで積み重なり、かつ噴出した場合、インド太平洋地域にも波及効果をもたらすだろう。



日本のインド太平洋構想も、米国版「インド太平洋戦略」も、米国のインド太平洋における韓国、オーストラリア、さらにはフィリピンやシンガポール等との一連の同盟体制や、現在構築を急いでいる米日豪印4か国の安全保障枠組みに関わる。米側が日本に対する負担要求や圧力を強めた場合であれ、日本が自主性の強化を図った場合であれ、いずれも日米同盟の枠組みに一定の偏向、さらには変動をもたらし、地域に影響を生じさせるとみられる。(編集NA)





人民網日本語版」2020年9月25日