アベノミクス、安倍氏辞任で終了?(チャイナネット)

アベノミクス安倍氏辞任で終了?(チャイナネット)









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アベノミクス安倍氏辞任で終了?





タグ:アベノミクス 経済情勢 供給





発信時間:2020-09-04 16:56:42 | チャイナネット |






日本の安倍晋三首相が持病により辞任し、アベノミクスの功罪や今後がホットな話題になっている。筆者は、アベノミクスには顕著な成果・効果があったが犠牲も極めて大きく、菅義偉氏が首相に就任すればアベノミクスを維持すると見ている。





アベノミクスをどう評価するか



アベノミクスへの評価については、国際及び日本国内の2つの視点を持つべきだ。アベノミクスは、リーマン・ショックから立ち直れず依然として低迷していた、当時の世界経済情勢を背景に打ち出された。日本国内には政局が安定せず、首相が10年で9人も変わり、経済政策に連続性がなく、経済がバブル崩壊後の「失われた20年」を経験し、国民のやる気が振るわないという背景があった。経済成長率が低く、物価が低く、負債比率が高いという「2低1高」が「日本病」の代名詞になった。



30年以上に渡り、日本を含む世界の経済学者は、日本経済の問題を解消する良き方法を見つけることができなかった。アベノミクスケインズ経済学の需要論を強調し、またフリードマンの貨幣供給論を主張すると同時に、「サプライサイド経済学」の投資刺激と需要拡大を強調した。3つの理論は相矛盾するが各自の合理性があり、少なくともアベノミクスの実施当初には市場の期待感を形成し、顕著な効果を生んだ。例えば戦後2番目の長さとなる71カ月の景気拡大期間を実現し、長期的な円高の流れを覆すといった効果があった。



しかしアベノミクスには多くの不足もある。当初打ち出された2020年までの目標の大半が達成されていない。給与の伸び率が低く、経済成長率が低いといった問題も解消されていない。また財政再建にほとんど進展がなく、財政負担が増し続けている。



全体的に見ると、アベノミクスは短期的な効果を手にしたが、構造的な問題が解消されておらず、かつ重い犠牲を払った。これらの短期的な成果は、大量の財政資金の投入、前例のない大掛かりな量的緩和策によって得られたものだ。財政投資の拡大は必然的に、そもそも深刻だった財政負担をさらに重くし、国債の大量購入や財政危機の金融化を引き起こしやすい。重要なのは、経済情勢が思わしくなく、終了の見通しがまったく立たず、リスクが常に存在することだ。





日本経済の根深い問題



日本経済の構造問題は長期に渡り残されたもので、アベノミクスによって無理に解消したり、1、2代の政府で解消するのは非現実的だ。日本経済は総需要と総供給の両面に深刻な問題を抱えていると言える。





総需要には通常、個人消費、設備投資、輸出が含まれる。

(一)個人消費。これは日本経済にとって極めて重要で、日本の実質GDPの約6割を占めているが、長期的に低迷している。これはまず、国内市場の拡大の余地が限られているためだ。次に、バブル崩壊後に住民の収入がほとんど増加しておらず、貯蓄率が持続的に低下しているからだ。それから高齢化が深刻で、特に富のバランスが崩れたことがある。高齢者の消費の意欲が弱まり、若者は消費に意欲的でもそのお金を持っていない。



(二)設備投資。設備投資は日本の実質GDPの約15%を占めており、需要と供給の両面で日本経済に影響を及ぼしている。設備投資の規模は、経済成長の活力と成長率や、企業の生産を拡大できるかどうかによって決まる。ところがバブル崩壊後、日本経済は低成長の状態に置かれ続け、設備投資が長期的に低迷した。設備投資が今後拡大するかは、生産能力が拡大するかどうかによって決まるが、これはまた消費と輸出が拡大するかどうかによって決まる。しかし国内の個人消費の拡大が困難で、さらに国際経済の環境悪化により輸出の拡大が難しくなっているため、日本の設備投資の拡大にはあまり期待できない。



(三)輸出。日本は輸出中心型経済で、現時点で内需拡大が困難なため輸出の重要性が増している。日本は高い生産能力を持つが、輸出は2008年のリーマンショック、現在の新型コロナウイルスなど、国際経済環境の変化の影響を受けやすい。世界の主要消費市場である欧米及び中国の経済が衝撃を受け、日本の輸出にも深刻な衝撃が生じた。



 総供給には通常、労働力、資金、技術が含まれる。

(一)労働力の問題。日本は現在、深刻な少子高齢化の問題に直面しており、労働力の不足が生じ始めている。過度な高齢化は、社会保障の不足がいっそう拡大し、財政負担がいっそう不足することを意味する。労働力不足の問題を解消するため、日本は女性の雇用を拡大し、定年退職年齢を引き上げると同時に、ロボットやAIへの投資を拡大し、さらには海外からの移民受け入れを拡大している。しかしこれが奏功するかについては、今後の経過を見守る必要がある。



(二)資本の問題。日本は世界最大の債権国で、外貨準備高は1兆ドルを超え、個人金融資産は1800兆円以上にのぼる。日本企業の内部留保は460兆円以上。つまり日本は資金が不足しておらず、経済発展に用いる資金と資本に問題はないということだ。



(三)技術革新。日本の技術革新力は低くなく、基礎研究の高い実力を持つ。しかし日本は先進国を追い越す任務を終え、後発者のメリットが失われている。近年になり全要素生産性がやや向上しているが、今後の革新はさらに困難になる。これは日本経済の発展を左右する決定的な要素になる。



日本経済の未来



日本経済のこれらの根深い問題は決して、一朝一夕で解消できるものではない。アベノミクスは完璧ではなく、既存の政策措置ではまったく不十分だが、日本のバブル崩壊後では最も系統的で比較的有効な経済政策であることも確かだ。現職の菅義偉官房長官は、首相に就任すれば引き続きアベノミクスを推進し改善していく方針を明らかにした。こうすれば少なくとも経済政策の連続性を維持できる。



また総需要を見ると、日本国内市場の飽和により、外需拡大が極めて重要になっているが、中国は日本にとって最大の貿易パートナーだ。中国との経済貿易協力の強化は、日本経済にとって現実的な意義を持ち、長期的な戦略的意義もある。これについては、中米関係が緊張するなか、日本が対米・対中関係を客観的かつ理性的に処理する必要がある。(筆者・張季風 中国社会科学院日本研究所研究員)





「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年9月4日