日印豪、脱中国サプライチェーン構築で協力?(チャイナネット)

日印豪、脱中国サプライチェーン構築で協力?(チャイナネット)









http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2020-08/27/content_76642397.htm





日印豪、脱中国サプライチェーン構築で協力?





タグ:イデオロギー サプライチェーン 産業配置





発信時間:2020-08-27 13:57:24 | チャイナネット






インド、日本、オーストラリアの経済貿易担当大臣が近く、3カ国間の「サプライチェーンレジリエンス・イニシアチブ」の構築に向けた第1回閣僚会議を日本政府の提案で開くことを複数のインドメディアが明らかにした。2国間のサプライチェーンネットワークをベースに代替案を立て、中国のサプライチェーンへの依存から脱却するのがねらい。合意に至れば、「サプライチェーン連盟」と呼ばれるこのイニシアチブは東南アジア諸国連合ASEAN)にも開放されるという。このことは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に始まったサプライチェーン調整の動きの延長であるとともに、複雑に錯綜する地政学的思惑も絡んでおり、その裏には「4カ国メカニズム」を狙う米国の目に見えない手が見え隠れする。(清華大学国家戦略研究院研究部主任、研究員 銭峰氏)



90年代から始まったグローバル化の波により密接融合型、相互依存型のグローバルな産業チェーン、バリューチェーンサプライチェーンが構築されたものの、近年の保護貿易主義の台頭、新技術や産業革命の勃興、ポピュリズム勢力の台頭、貧富の差の拡大によりコロナ禍以前からグローバル化には退行の兆しがみられた。さらに深刻なコロナ禍で世界中の物流や生産が打撃を受け、国際分業を背景とするサプライチェーン脆弱性が露呈、多くの国の政治や経済、国民生活、安全保障などに衝撃をもたらした。このことで多くの国の政府は産業配置やサプライチェーンの安全問題を再考せざるを得なくなった。中国はいち早くコロナ禍から脱却し、強靭な生産供給力を見せつけた。これは世界中のコロナ対策に多大な尽力をすると同時に、戦略物資の供給における過度な中国依存に一部の国で不安を生み、脱中国の呼び声を高めることとなった。中米関係の不穏な動き、米国の対中けん制強化など非経済的影響を受け、一部の国はリスク回避のため関連産業の国内回帰や中国以外の国への移転を促している。



インドでは、モディ政権が今年5月、土地や雇用、税制などの法制度を見直し、「メイド・イン・インディア」の振興を重点に、国内での新たなサプライチェーンと市場の構築を目指す大規模な経済刺激策を打ち出した。中印国境での対立や衝突事件後、インドは経済分野での「中国排斥」の歩みを強める一方、積極的に国際協力を求め、米国の対中切り離し政策に迎合し、多くの米国企業に接触し、中国からの移転事業を受け入れる大規模な土地提供を大々的に宣言している。



一方2012年に釣魚島問題をめぐる中日関係の悪化に加え、中国の労働コストの上昇で日本企業は中国依存問題に注視し始め、いわゆる「チャイナ・プラスワン」戦略を打ち出し、中国の生産設備の対外移転を試みるようになった。新型コロナの初期に中国経済が一時期停滞したことでその不安が強まり、安倍政権は製造業の中国からの移転に特別補助金を出す意向を固めた。オーストラリアは米国の対中戦略競争に歩調を合わせたことで中国との経済関係が大きく損なわれた。3カ国の中でもオーストラリアは対中依存が最も著しく、その経済構造問題も加わり、中国という最大の貿易相手国の貿易関連の一部を日本かインドに移したいと切実に願っている。



このイニシアチブが打ち出されれば米国政府の対中切り離し政策と密接な関係となる。米国は昨年4月、オーストラリアや日本、インドなどと協力する「経済繁栄ネットワーク」計画を発表した。サプライチェーンを再構築し、関係国企業の中国からの撤退を促し、中国のサプライチェーンにおける地位を弱める狙いがある。



ポスト・コロナ時代において世界の経済構造の再調整の動きは政治的要素も加わり不可避ではあるが、経済的利益が決定的要素であるのは変わりない。産業チェーンの調整を巡ってはその裏で政治と経済という異なる次元の問題が絡み合っている。政治的次元で政治家が考えるのは地政学上の駆け引きであり、イデオロギー対立であり、国家安全保障などの問題だ。一方企業が経済的次元から考えるのはコストと利益とリスクで、それらのバランスを天秤にかけている。



中国は世界で唯一、国連が定める産業分類のうちすべての工業分類を有している国だ。世界銀行のデータによると、2010年に中国の製造業の付加価値は米国を抜き、世界一の製造大国となった。2018年には中国の製造業の付加価値は世界シェアの28%を凌ぐまでになった。中国には巨大かつポテンシャルのある市場、質の高い労働資源、成熟したサプライチェーン、政府の政策的支援、安全で安定した社会環境、整備されたインフラなどがあり、国際資本にとっては大きな魅力がある。最大の利益を追求する企業にとって、それらを放棄し、新たな移転先で再び一から事業を立ち上げるのは困難を極める。政治家は大言壮語するものの、最終的には資本やビジネスの利益に動きを合わせるしかない。そして、サプライチェーンの調整を決定する根本的な原動力となるのは経済の法則や資本の属性、そして科学技術の進歩であることに変わりはない。





 「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年8月27日