南シナ海における海事に関する主張についての米国の立場(米国国務省)/【CRI時評】ポンペオ式の「南海かき回し」は水泡に帰す(中国国際放送局)

南シナ海における海事に関する主張についての米国の立場(米国国務省)/【CRI時評】ポンペオ式の「南海かき回し」は水泡に帰す(中国国際放送局









(U.S. Position on Maritime Claims in the South China Sea: U.S. DEPARTMENT of STATE)

https://www.state.gov/u-s-position-on-maritime-claims-in-the-south-china-sea/





南シナ海における海事に関する主張についての米国の立場





記者声明





国務長官 マイケル・R・ポンぺオ






2020年7月13日






米国は自由で開かれたインド太平洋を擁護する。今日、私たちはこの地域において重要かつ論争の的となっている部分―南シナ海―における米国の政策を強化しつつある。私たちは次のことを明確にしたい。南シナ海の大部分に存在する沖合の資源に対する北京の主張は、それらを支配するためのいじめのキャンペーンと同様に、完全に違法である。



私たちは南シナ海において、平和と安定の維持、国際法と合致した方法による海の自由の擁護、スムーズな貿易の流れの保持、紛争解決のために抑圧や力を行使するあらゆる企てへの反対を求める。私たちは、ルールに基づく国際秩序を長年に亘り支持してきた多くの同盟国やパートナー国と、これらの深遠で永続的な利益を共有している。



これらの共通の利益は、中華人民共和国(PRC)から前例のない脅威を受けている。北京は脅迫を利用して東南アジアの南シナ海沿岸諸国の主権を侵害し、彼らを虐めて沖合の資源から遠ざけ、一方的な支配を主張し、国際法を「力による正義」に置き換えている。この数年間の北京の手法は明確だ。2010年、当時のの楊潔篪[Yang Jiechi]・中国外相はASEAN諸国の外相に、「中国は大国で、他の国は小国であり、それは確かな事実だ」と語った。中国の略奪的世界観は21世紀に相応しくない。



中国にはその意志を一方的に地域に押しつける法的根拠がない。北京は南シナ海における「九段線」の主張を2009年に公式に表明して以来、これについての筋の通った法的根拠を提供していない。2016年7月12日、1982年海洋法に関する国際連合条約―中国は締約国である―に基づいて設立された仲裁裁判所は、国際法上根拠がないとして海事に関する中国の主張を全員一致で却下する決定を行った。同法廷は殆ど全ての主張について、仲裁事件を提起したフィリピンを明確に支持した。



米国が以前に述べたように、そして、条約で明確に規定されているように、仲裁裁判所の決定は最終的であり、当事者の双方に対して法的拘束力を持つ。今日、私たちは南シナ海における海事に関する中国の主張についての米国の立場を裁判所の決定に一致させている。具体的には次の通り。



  • 中国には、仲裁裁判所がフィリピンの排他的経済水域EEZ)や大陸棚と認定した―スカボロー礁スプラトリー諸島から派生するあらゆる排他的経済水域EEZ)を含む―水域において、フィリピンに対して海事に関する合法的な主張を行うのは不可能だ。北京によるフィリピンの漁業に対する嫌がらせや、これらの水域における沖合エネルギー開発は違法であり、これらの資源を搾取する中国によるあらゆる一方的な行動は違法である。法廷の法的拘束力を持つ決定に従い、中国によるミスチーフ礁やセカンド・トーマス礁に対する領土や海事に関する主張に合法性はなく、これらは双方ともフィリピンの主権と管轄権に完全に属し、北京にはこれらの地物によって生じるいかなる領土や海事に関する主張も出来ない。

  • 北京は南シナ海において海事に関する合法的で筋の通った主張を提出できなかったため、米国は、スプラトリー諸島において中国が主張の対象とする島々から派生する12海里の領海を超える水域に対する中国によるあらゆる主張を拒絶する(他国によるこの島々をめぐる主権についての主張に対しては先入観を持たない)。このため米国は、バンガード堆(ベトナム沖)やルコニア礁(マレーシア沖)の周辺水域、ブルネイ大ナトゥナ島インドネシア沖)のEEZ水域における、中国による海事に関するあらゆる主張を拒絶する。これらの水域における他国の漁業や石油ガス開発に嫌がらせを行う―あるいは、このような活動を一方的に実行する―中国によるあらゆる行為は違法である。

  • 中国は、ジェームズ礁に対する(または、同礁から派生する)合法的な領土や海事に関する主張が出来ない。同礁は完全に水没した地物で、マレーシアからは僅か50海里だが中国の海岸からは1,000海里も離れている。ジェームズ礁は、中国のプロパガンダにおいて「中国の最南端の領土」として良く引用される。国際法は次のことを明確に示している。ジェームズ礁のような水面下の地物はどの国も主張の対象に出来ず、海事に関する区域を生ぜしめることは出来ない。ジェームズ礁(水面下約20メートル)は中国の領土でなく、これまでそうであったことは一度もなく、また、中国は同礁に由来する海事に関するいかなる合法的な権利も主張できない。


北京が南シナ海を自国の海上帝国として扱うのを、世界が許すことはないだろう。米国は東南アジアの同盟国やパートナー国と協力して、国際法に基づく彼らの権利や義務と整合するように沖合の資源に対する彼らの主権を保護する。私たちは国際社会と協力して海の自由と主権の尊重を擁護し、南シナ海や更に広いこの地域において「力による正義」を押しつけるためのあらゆる圧力を拒絶する。











中国国際放送局

http://japanese.cri.cn/20200719/7f4d75fc-41a4-64fe-b7f9-a03b224d50cf.html





【CRI時評】ポンペオ式の「南海かき回し」は水泡に帰す





2020-07-19 17:20 CRI





米国のポンペオ国務長官はこのところ、南海が緊張状態にあると尾ひれをつけて誇張する発言を繰り返し、中国と該当地域の国の関係を挑発することを繰り返している。米国は同時に、軍用機と軍艦を南海に派遣して武力を誇示する挑発行為を続けている。米国政府はこれまでに、南海の主権問題では特定の立場を取らないと公式に認めている。米国の最近の言動は政府自らの表明に背いている。米国は理性と道徳、信用を放棄したと考えざるをえない。



米国は南海の域外の国であり、南海を巡る争議の当事者ではない。つまり、南海の問題についてはそもそも、発言権を持っていない。しかし、米国の一部政治家は私的な利益追求のために、なんとしてでも南海の波風を高めようとしている。これらの政治家は、地域の平和と安定にとっての最大の破壊者だ。



この時期になって南海の問題をあおり立てたポンペオ長官のやり方は、主に中国と東南アジア諸国連合ASEAN)の安定した関係を破壊することを狙ったものであり、中国封じ込めの戦略を続けていこうとするものだ。それ以外にも、米国で新型コロナウイルス感染症の流行が続いていることからすれば、「南海カード」を切ることは米国の政治家にとって、人々の目を国内問題からそらし、感染症対策の失敗を覆い隠す方策でもある。南海が緊張状態にあると尾ひれをつけて喧伝することは、米国内の軍需産業の求めに応じて該当地域の国々に武器を売却するチャンスを拡大することにもなる。



中国とASEAN諸国は共に努力することで、南海の情勢を総体的に安定に向かわせている。中国とASEANによる「南海行動規範(COC)」はすでに、交渉草案の第2次検討に入っている。このことは、南海の平和と安定、航行の自由を共に維持するという、関係各国の断固たる決意を示している。中国とASEAN諸国は同時に、感染症対策での協力を通じて確固たる関係を発展させた。今年上半期には国際貿易が逆境にあったのにも関わらず、中国の対ASEAN輸出は増加し、ASEANは中国にとっての最大の貿易パートナーになった。ASEAN側からすれば、中国は11年連続で最大の貿易パートナーでありつづけている。双方はまた、地域における全面的な経済パートナーシップ協定の交渉を積極的に進めている。このことにより地域一体化のレベルがさらに向上し、双方にとってのさらに多くの発展のチャンスがもたらされることは間違いない。



中国とASEAN諸国は、自らの問題を解決する能力と知恵を持ち合わせている。いかなる域外国家であれ干渉する必要はなく、また、干渉も許されない。米国の政治家に対しては、焦眉の急である感染症防止対策にただちに精力を注ぎ、無責任な言動で国際社会にもめ事を引き起こすことを一刻も早くやめるようご忠告する。(CRI論説員)