米下院、香港めぐり中国制裁の法案を可決 国家安全法を非難 (BBC NEWS JAPAN)

米下院、香港めぐり中国制裁の法案を可決 国家安全法を非難 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/53260090





米下院、香港めぐり中国制裁の法案を可決 国家安全法を非難





2020年07月2日







AFP / Getty

抗議デモでペッパースプレーをかけられた女性(香港、1日撮影)






米下院は1日、中国による「香港国家安全維持法」の施行を受け、香港の自治侵害に関して制裁を科す「香港自治法案」を全会一致で可決した。



法案は、香港の民主化デモの取り締まりに当たる中国当局者と取り引きする銀行に罰則を与えるというもの。



上院でも可決されればドナルド・トランプ米大統領に送られ、署名されると成立する。





「残忍で徹底的な弾圧」



米野党・民主党ナンシー・ペロシ下院議長は、「国家安全維持法は香港の人々に対する残忍で徹底的な弾圧であり、約束されていた自由を破壊しようしている」と述べた。



また、「香港自治法」は「香港の民主的自由を廃止することを目的とした(中略)いわゆる『国家安全保障』法への、緊急に必要な対応」だと述べた。





<関連記事>





香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。



返還から50年は、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護されるというものだ。



こうした香港の自由が、国家安全維持法(国安法)によって失われてしまうとの批判の声が上がっている。



ボリス・ジョンソン英首相は、国安法の可決は、1985年の英中共同声明の「明らかな、重大な違反」だと述べた。



一方で中国は、昨年6月に始まった反政府デモのような活動を止めるために新法が必要だと主張した。







香港で国家安全維持法が施行 市民の反応は





国安法をめぐっては、アメリカはすでに中国への対抗措置として、香港に認めてきた貿易や渡航における優遇措置を停止したほか、昨年には香港での人権や自治を支持する「香港人権・民主主義法案」が成立させた。





各国の反応は



イギリスは最大300万人の香港市民に、イギリスでの定住と、最終的に英市民権を申請する機会を与える方針だとしている。



オーストラリアもまた、香港居住者に安全な避難先を提供することを「積極的に検討」している。スコット・モリソン首相は、「間もなく内閣で検討される」案が複数あるとしている。



日本を含む複数の国が「遺憾」の意を表明している。茂木敏充外相は6月30日、「一国二制度に対する信頼を損ねる」と記者会見で述べた。



シャルル・ミシェル欧州理事会会長は、国安法の制定は「遺憾」だとし、「司法の独立性と法の支配に有害な影響を与える」ことになると付け加えた。



カナダは香港への渡航情報を更新。「国家安全保障上の理由から、恣意的な拘束のリスクが高まり、中国大陸へ引き渡される可能性がある」としている。



中国高官は1日、香港での問題は「他国には関係ない」とし、国外からの批判を一蹴した。





全ての国が批判しているのか



世界中の全ての国が中国を批判しているわけではない。



スイス・ジュネーブで6月30日に開催された第44回国連人権理事会では、53カ国を代表してキューバが国安法を歓迎した。



主権国家の内政への不干渉は、国連憲章でうたわれている重要な原則だ」



「我々はすべての国に、立法を通じて自国の安全保障を守る権利があると信じており、その目的のために取られた必要な措置を称賛する」





(英語記事 US passes HK sanctions as nations condemn new law





関連トピックス デモ・抗議 中国 政治 アメリカ 香港 デモ 法律 表現の自由