トランプ大統領、WHOに最後通告 新型ウイルス対応を批判 (BBC NEWS JAPAN) This is the letter sent to Dr. Tedros of the World Health Organization. It is self-explanatory! pic.twitter.com/pF2kzPUpDv
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トランプ大統領、WHOに最後通告 新型ウイルス対応を批判
2020年05月20日
Getty Images
ドナルド・トランプ米大統領は、世界保健機関(WHO)が中国からの「独立性を危険なほど欠いている」と批判した
アメリカのドナルド・トランプ大統領は18日夜、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長に書簡を送り、資金を恒久的に引き上げると通告した。トランプ大統領は以前から、WHOの新型コロナウイルス対策を批判している。
書簡の中でトランプ氏は30日間の期限を設け、その間にWHOに「本質的な改善」がみられなければ、何百万人もの命を危険にさらすことになり、アメリカは脱退すると書いている。
トランプ氏はこの日、WHOは「中国の操り人形だ」と持論を展開。中国が新型ウイルスのアウトブレイクを隠そうとし、WHOも中国の隠ぺいを支援したと非難した。
中国はトランプ氏のこうした非難に繰り返し反論し、自分たちは新型コロナウイルスと感染症「COVID-19」について情報を、「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」と主張している。
米政府によるのWHOへの資金拠出は世界最大で、2019年は4億ドル以上とWHO予算の約15%を占めた。
トランプ氏は今年11月に再選をかけた大統領選を控えており、その新型ウイルス対策にも批判が集まっている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(日本時間5月19日午後時点)によると、アメリカで確認された感染者数は150万人を超え、死者も9万人以上に達している。
トランプ氏の書簡の内容は?
トランプ氏はこの日、WHOをしきりに非難した後、「一目瞭然だ!」というコメントと共にツイッターで書簡を公開した。
トランプ氏は書簡で、WHOは中国からの「独立性が危険なほど欠けている」と批判した。
また、武漢で新型ウイルスが12月上旬かそれ以前から広がっていたという「信頼できる報告書」と呼ばれるものを、WHOは「一貫して無視していた」と指摘した。
このほか、トランプ氏は次のようにWHOを批判した。
総括としてトランプ氏は、テドロス氏とWHOが「繰り返し間違った判断した」せいで「世界中に大きな負担がかかった」としている。
「WHOが前に進む唯一の方法は、本当に中国からの独立を示した時だ」
その上でWHOに対し、30日以内に「大きな本質的改善」をするよう求めた。ただし、改善の詳細については明確にしていない。
変化が見られなかった場合は、アメリカは一時的に停止しているWHOへの資金拠出を恒久的に止め、「加盟について再考」するとしている。
トランプ氏は4月に、WHOへの資金拠出を停止するよう指示したと表明。アメリカは国連機関のWHOにとって最大の拠出国で、昨年はWHOの年間予算の15%弱に当たる4億ドル(約430億円)を拠出している。
ジュネーブの国連事務局では現在、WHOの最高意思決定機関の世界保健総会がビデオで開かれている。トランプ氏からの最後通告は、その総会期間中を意図したものと思われる。
総会では加盟194カ国が、WHOの事業計画や予算を検討する。今年の総会では、WHOのパンデミック対応が適切だったのかについて、調査を求める声も上がっている。
アレックス・アザール米保健長官はトランプ氏の書簡に先駆け、WHOの失策からCOVID-19は「制御不能」な状態に陥り、それによって「多くの命」が犠牲になったと総会で非難した。
一方テドロス事務局長は、WHOのパンデミック対応の点検を支持。「最速かつ的確なタイミング」で、第三者による点検と評価が実施されることになると述べた。
(英語記事 Trump gives WHO ultimatum over virus handling)
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