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2019年国別人権報告書―日本に関する部分(在日米国大使館)[2020.4.10]

2019年国別人権報告書―日本に関する部分(在日米国大使館)[2020.4.10]









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2019年国別人権報告書―日本に関する部分





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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。





米国国務省民主主義・人権・労働局





2020年3月11日





エグゼクティブ・サマリー



日本は、議院内閣制を採用する立憲君主制国家である。2012年、自由民主党安倍晋三総裁が首相に就任した。7月に実施された参議院議員選挙は自由かつ公正とみなされ、安倍総裁の自由民主党と連立政権を組む公明党が安定多数を確保し勝利した。



国務大臣がその長を務める政府機関である国家公安委員会警察庁を管理し、都道府県公安委員会が都道府県警察を管理する。文民当局は治安部隊に対する実効的な統制を維持した。



法律や慣行の中には、乱用されれば報道の自由を侵害する可能性が懸念されるものもあった。



政府は人権侵害を禁止する法律を執行し、侵害行為を行った政府職員を訴追した。





第1部 個人の人格の尊重(以下の状況からの自由)





a. 恣意的な人命のはく奪およびその他違法な、または政治的動機に基づく殺人



政府またはその職員による、恣意的、または違法な人命のはく奪は報告されなかった。





b. 失跡



政府当局による、あるいは政府当局の意向を受けた失跡の報告はなかった。





c. 拷問およびその他の残酷、非人道的、または屈辱を与えるような処遇または処罰



法律はこのような行為を禁止しており、政府職員がこうした行為を行ったという報告はなかった。



日本政府は依然として、死刑囚に対し、死刑執行日に関する情報を事前に提供せず、死刑囚の親族に対しては、死刑執行後、その事実を告知した。政府は、この方針は受刑者に自分の死期を知る苦しみを与えないものであると考えた。



また当局は通常、死刑囚を死刑執行まで単独室に収容するが、親族、弁護士、およびそれ以外の人々による面会を認めている。このような単独室での収容期間は事例によって異なり、数年間にわたる場合もある。ある非政府組織(NGO)関係者によると、死刑となり得る犯罪で訴えられた受刑者は、裁判前も単独室に収容されていた。





刑務所および収容施設の状況



刑務所の状況は、全般的に国際基準に合致したものであったが、中には医療体制が不十分で、冬季の暖房または夏季の冷房に不備があり、中には過密状態の施設もあった。



物理的な状況: 当局は、女性受刑者を男性受刑者とは別に収容し、刑務所や通常の収容施設では20歳未満の未成年者を成人とは別に収容した。



いくつかの独立性を持つ視察委員会は、受刑者を暑さと寒さから保護するため冷暖房設備を設置するよう施設に勧告した。施設は、冷暖房設備を設置する資金がなく、代わりに扇風機、ストーブを使用し、被収容者に冷たい飲み物、追加の衣類、毛布を提供していると報告した。東京の外国人受刑者は引き続き、寒さに長期間さらされたために重度の異なるしもやけができた手足の指を見せた。



2017年4月から2018年3月末まで、独立性を持つ視察委員会は、刑務官の被収容者に対する暴言、高齢者、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーインターセックス(LGBTI)、および障害者である被収容者の特別な要望が満たされていない状況、不十分な医療措置、不衛生の事例と不十分な冷暖房用品、そして刑務官不足を文書に記録した。法務省によると、2018年の矯正医官の数は19人増の294人となり、定員の約90%に達した。



管理: ほとんどの当局は受刑者と被勾留者が検閲を受けることなく司法当局に苦情を申し出、問題があると主張する状況の調査を要求することを認めていたが、独立性を持つ視察委員会は、被収容者が苦情を提出する書式を刑務官に要請するよう義務付け、実質的に刑務官が監視を行い、被収容者が視察委員会に意見を伝えることを思い止まらせる施設もあったと報告した。調査結果については、当局は、最終結論以外の詳細がほとんど書かれていない書簡を受刑者に送っただけであった。刑務所を監察する行政監察官は存在しなかったが、独立性を持つ委員会(下記「独立した監督」を参照)がその役割を果たした。



独立した監督: 政府は全般的に、NGOおよび国際機関による視察を許可した。



刑事収容施設法令では、法務省が管理する刑務所および拘置所と警察が管理する留置施設を、独立性を持つ委員会が視察する旨、規定されている。当局は、医師、弁護士、地方自治体職員、地域住民で構成される委員会が、刑務官の立ち会いなく被収容者と面接することを認めた。



法律により、入国者収容施設についても第三者による視察委員会が視察を行い、委員会が提出した意見に関し、概して真摯(しんし)な検討が行われた。



NGOおよび国連拷問禁止委員会は、この手続きに引き続き懸念を提起した。例えば、施設当局への面接の事前通知提出が義務付けられていることを懸念として挙げた。さらに、委員会の構成員の選定に透明性が欠けていること、中には刑事施設の収容に関する専門的な知見のない者が構成員として任命されていることに懸念を提起した。





d. 恣意的逮捕または留置・勾留



法律により恣意的逮捕や留置・勾留は禁止されている。市民社会団体は、引き続き警察が外国人イスラム教徒に対する民族的プロファイリングおよび監視をやめるよう要請した。国連人種差別撤廃委員会が2018年に提出した報告書に対し政府は、警察が外国人イスラム教徒に対して民族的および民族宗教的プロファイリングあるいは監視を行っているという申し立てを否定した。





逮捕手続きと被拘禁者の処遇



当局は、正当な権限を持つ当局者が証拠に基づいて発付した令状により公に個人を逮捕し、被拘禁者を独立した司法制度の下で裁いた。



法律により、被勾留者、その親族、または代理人は、裁判所に対して、起訴された被勾留者の保釈を請求することができる。起訴前の保釈は認められていない。NGOと法律の専門家は、自白なしに保釈が認められるのは非常に困難で、自白しない被勾留者との連絡は制限されていたと述べた。その結果、多くの被勾留者が、保釈を認めてもらうため最終的に自白した。法務省は2017年、99.96%の刑事事件が有罪判決を受けたと述べた。そのほとんどの事件で被疑者は自白した。政府は2014年、刑事訴訟法の下では、有罪が自白のみで決められることは決してないことを示す報告書を国連に提出した。



起訴前に勾留されている被疑者は、取り調べを受けることが法的に義務付けられている。警察庁の指針により、取り調べ時間は1日最長8時間に制限され、夜通しの取り調べは禁止されている。起訴前の被勾留者は、必要であれば、国選弁護人との少なくとも1回の接見を含め、弁護人と接見することができる。しかし、取り調べ中に弁護人が同席することは許されていない。



法律により、被疑者が逃亡する、あるいは証拠を隠匿または隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合、警察は被勾留者が弁護人および領事(被勾留者が外国人の場合)以外の人物と面会することを禁止できる(第1部d. 起訴前の勾留を参照)。薬物犯罪の容疑をかけられている被勾留者の大半を含む、多くの被勾留者は、起訴前までこの制約を受けたが、収容施設職員立ち会いのもと、親族からの面会を許可された者もいた。犯罪の種類と、当局が親族やその他の者による被勾留者への面会を拒否できる期間との間には法律上の関連性はない。しかし、薬物犯罪の容疑をかけられている被勾留者については、検察官が、親族やその他の者との接触が取り調べの妨げになると考え、他の被疑者と比べ長い間、面会を拒否する場合が多かった。



6月1日より、裁判員裁判対象事件(死刑または無期懲役もしくは禁固に当たる罪にかかる事件、もしくは1年以上の懲役もしくは禁固に当たる罪で、故意の犯罪行為により被害者が死亡した事件)または検察の独自捜査および逮捕による事件の中の一定の事件において、警察官および検察官による取り調べの全過程の録音録画が義務付けられた。このような事件において、勾留あるいは逮捕された被疑者が取り調べ中に警察官および検察官に提出した供述調書は、録音録画がない場合原則として証拠として認められなくなった。法律の専門家によると、これは自白の強要や冤罪を防ぐことを目的している。6月1日に施行された改正法の中の別の規定により警察は、精神に障害のある被疑者の取り調べ過程を録音録画するよう最大限努めなければならなくなった。日本弁護士連合会は、これらの改正を前向きな進展と評価する一方、改正法下でも取り調べが録音録画されるのは日本の刑事事件の3%に過ぎず、また日本人以外には適用されないとした。よって法律の専門家は、特にホワイトカラー犯罪や外国人が関与する事件における自白の強要に引き続き懸念を表明した。



起訴前の勾留: 法律では、勾留は、ある人物が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があり、かつ証拠の隠匿もしくは隠滅、または逃亡のおそれがある場合に限られるが、当局は日常的に逮捕から起訴前の最初の72時間まで、警察が運営する留置施設に被疑者の身柄を拘束した。裁判官は逮捕から72時間が経過する時点で被疑者を面接した後、起訴前の勾留期間を10日間ずつ、最長20日間まで延長できる。検察官はこの延長を日常的に請求し、その許可を得た。暴動、外国からの侵略、暴力的な集会などの例外的な事案の場合、検察官はさらに5日間の延長を請求できる。



NGOと法律の専門家は、起訴前に被疑者を代用監獄に勾留する慣行は継続して行われていたと報告した。裁判官が習慣的に検察官の勾留延長請求を認めたがゆえ、起訴前の勾留は通常23日間続いた。さらに、23日間の勾留期間は、1件の容疑ごとに適用されるので、複数の容疑に直面する被疑者は、23日を超えて勾留されることがある。NGOおよびこの分野の外国の専門家は、代用監獄の被勾留者は、日常的に弁護人や、外国人の被勾留者の場合は自国の領事との接見以外は、他の者との接見を許されなかった者がいたと引き続き報告した。この報告期間中、被勾留者のほとんど全ては、代用監獄に勾留された。代用監獄の他、外国人被勾留者への起訴前の勾留延長が問題となった。



世間の注目を集めた事件として、日産自動車の元会長でフランスとブラジル国籍を持つカルロス・ゴーン氏が、2018年11月、財政上の違法容疑で逮捕されたが、その後さらに2度逮捕され、その結果、100日超勾留された。法律の専門家が異例に厳しいと説明した条件で保釈された後、4月4日に追加容疑で4度目の逮捕があり、再度勾留された。4度目の逮捕後、法律の専門家は、勾留は自白を強要するために利用されたと懸念を表明した。さらに、被告の弁護人は、被告の逮捕、勾留、被告と妻との接触禁止を含む保釈条件に関し、国連の恣意的拘禁作業部会に拘束力を持たない決定を求めた。法律は、被告が家族と接触する権利を明確に保証していないが、法律の専門家は、そのような制限はまれであると述べ、懲罰的と考えた。





e. 公正な公開裁判の拒否



法律により、独立した司法制度が規定されており、日本政府は、全般的に司法の独立性と公正性を尊重した。





審理手続き



法律により、公正で、公開された裁判を受ける権利が与えられおり、独立した司法制度により、全般的にこの権利は行使された。被告は、法律上有罪と証明されるまで推定無罪とみなされるが、NGOおよび法律家は、裁判前に被疑者に自白を迫る圧力を考慮すると、それが実践されているか引き続き疑問を呈した。ある事件では、外国人被疑者が黙秘権を行使したため、勾留延長に直面した。しかし被疑者は、期限付きの在留資格で日本に滞在しており、裁判のために在留期間を更新することが不可能であった。結局、事件を終局させるため、被疑者は、執行猶予付きの判決を交換条件に自白した。



被告は自らにかけられた容疑について速やかに、詳細な情報を知らされる権利がある。起訴された個人はそれぞれ、遅滞なく裁判を受ける権利(ただし、専門家は、精神疾患を患う被勾留者の裁判は無期限に延期される可能性があり、また被勾留者への起訴前の勾留延長が問題となっているとことを指摘した)、貧困にある場合に提供される国選弁護人を含め、弁護人を得る権利、ならびに反対尋問の権利が与えられている。重大な刑事事件に関しては裁判員制度が置かれており、被告は自己に不利益な供述を強要されない。刑事事件の被告が外国人である場合は、当局が、無償の通訳サービスを提供した。民事事件で被告となった外国人は、通訳費用を負担しなければならないが、裁判官は裁判所の判決を踏まえ、その費用の支払いを原告に命じることができる。



被告は弁護の準備、証拠の提示、および上訴のため、自らの弁護人を選任する権利を与えられている。裁判所は弁護士会を通じて、被告による弁護人の選任を支援することができる。弁護人費用を負担できない場合、被告は国選弁護人を要求できる。



審理手続きは検察側に有利となっている。この分野の専門家は、弁護人が依頼人との面会時の電子的な録音・録画機器の使用を禁止されていることで、相談・助言の有用性が損なわれていると述べた。また法律では、被告側の弁護人が開示手続きに関する厳しい条件を満たす場合を除いて、検察官による資料の全面開示を義務付けていないため、被告側に有利な資料の隠蔽につながる可能性がある。



NGOは、死刑囚の再審手続きについて懸念を表明した。法務省は、111人の死刑囚のうち、82人が再審請求を行っていると報告している。再審の申し立て中であっても、死刑執行は保留されず、日本弁護士連合会は、刑執行の正当性を疑問視している。





政治囚と政治的被拘禁者



政治囚または政治的被拘禁者が存在するとの報告はなかった。





民事司法手続きと救済



民事事件に関しては、独立した公正な司法制度がある。個人は、人権侵害に対する損害賠償、あるいは人権侵害の中止を求める訴訟を起こすことができる。不正行為の申し立てに対しては、行政による救済措置と司法による救済措置の両方がある。





f. プライバシー、家族、家庭、または信書に対する恣意的または違法な干渉



法律により上記のような行動は禁止されており、日本政府がこれらの禁止行為の規定の順守を怠ったという報告はなかった。





第2部 市民の自由の尊重





a. 報道の自由を含む表現の自由



憲法は、報道に対しても同様に、言論と表現の自由を規定し、日本政府はおおむねこうした自由を尊重した。独立した報道機関および機能する民主的政治制度は、本報告書の期間中、表現の自由を維持した。



表現の自由ヘイトスピーチに対処する法律はあるものの、政府はヘイトスピーチを処罰も禁止もしていない。デモにおけるヘイトスピーチの数は減少したが、プロパガンダ、選挙運動、オンライン上ではヘイトスピーチは増加した。憎悪犯罪もまた増加した。



これに応じた措置を講じた県や地方自治体があった。4月、東京都は、ヘイト集会やその他のヘイトスピーチ関連のイベントである可能性がある場合、公園やその他の公共施設の使用を制限する条例を施行した。同条例は、東京都管内の大学や企業に不当な差別を解消する取り組みを義務付け、正当な表現行動を制限するのを防ぐため、審査委員会と協議の上、インターネット上で特定のヘイトスピーチの拡大を防ぐ措置を講じるよう東京都に義務付けた。この条例は、大阪や川崎の同様の条例を手本とした。条例があいまい過ぎる、表現の自由を抑圧する懸念があると表明した法律家団体、ジャーナリスト、政治団体があった。12月、川崎市は、市内の公共の場所での外国人に対する差別的言動を禁止し、禁止言動を繰り返した者に最高50万円(約4600ドル)の罰金を科す条例を成立させた。



報道によると、7月、東京地方裁判所は、反朝鮮ヘイトスピーチを行うことで知られる氏名が明かされていない者が、北朝鮮系列の東京朝鮮中高級学校から半径550ヤード以内で、反朝鮮デモを組織することを禁止する仮処分を決定した。



法律の専門家とNGOによると、朝鮮半島の民族に対するヘイトスピーチ憎悪犯罪は特に顕著であり件数も多かったが、その他の人種や少数民族に対しても行われた。8月、在日韓国・朝鮮人1名は、東京の大学の教授に対して川崎市が新たに制定した民族的差別を禁止する条例に基づき、人権救済を申し立てた。同大学教授は、授業中やオンライン上で韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチを繰り返したとして非難された。



オンラインメディアを含む出版および報道: 独立性のある報道機関は、活発に活動し制限を受けることなく幅広い意見を表現した。



この件に関する立件はなかったが、法律により政府は特定秘密に指定された政府情報を出版もしくは公表した者を告発することができる。有罪判決を受けた者は、最長5年の懲役かつ500万円(4万6000ドル)以下の罰金が科せられる。



検閲または内容の制限: 国内および国際的な専門家は、政府機関に属する「記者」クラブ制度が検閲を助長している可能性について引き続き懸念を表明した。こうした記者クラブは、省庁などさまざまな組織内に設置されており、フリーランスおよび外国人の記者を含む、記者クラブ非加盟者による省庁などの組織に対する取材を妨げる可能性もある。



政府は報告期間中、2人のジャーナリストの海外渡航を禁じた。2月、常岡浩介氏は、オマーン経由のイエメン行きの便への搭乗を拒否され、所持している旅券は無効になったと告げられた。7月、外務省は、インドとヨーロッパへの渡航を計画していた安田純平氏への旅券発給を拒否した。両事案について政府職員は、旅券所持者の目的国への入国が認められない場合、外務省が旅券発給を拒否できる法規定を挙げた。常岡氏は、オマーンへの入国が禁止されていた。安田氏は、トルコへの入国が禁止されていたが、トルコは渡航計画に入っていなかった。法律はまた、予定された渡航国益を害する場合には旅券発給を拒否できるが、政府は、説明文の中でその規定を挙げなかった。多くの国内および国際的な専門家と団体は、これらの措置を非難した。



名誉毀損・中傷法名誉毀損は刑事上ならびに民事上の違法行為にあたる。法律は、発言自体の真実性を抗弁として認めていない。政府が本報告書期間中にこれらの法律を乱用し、公的議論を制限した証拠はない。





インターネットの自由



政府はインターネットへのアクセス制限や介入、またはオンライン上のコンテンツの検閲をしなかった。また政府が適切な法的権限なく、個人的なオンライン通信を監視したとの信じるに足る報告もなかった。





学問の自由と文化的行事



憲法表現の自由の権利を保障しているにもかかわらず、8月、愛知県知事は、名古屋で行われた芸術祭の展示の1つである「表現の不自由展・その後」を開始から3日後に中止した。この展示は、以前に日本やその他の地域で除外あるいは排除された作品を特集し、表現の自由を称賛することを意図したものであった。同展示の特色は、戦時中2万人いたと推定される「慰安婦」と言われる性奴隷を象徴する彫像であったが、国内最大級の国際芸術祭の1つである同祭典は、開始3日後に中止された。知事は、安全上の懸念を閉鎖の理由として挙げたが、名古屋市長は、「日本国民の心を踏みにじる行為」で、表現の自由は、「人々が何でも好きなことをやってもよい自由ではなく」、公金が芸術祭を支援していることにより、「表現の自由には一定の制約がある」ので、同展示の中止を望むと公言した。最終的に同展示は、75日間の芸術祭の最後の2週間に再開されたが、主催者側は、同展示が祭典の運営に影響を及ぼしかねない激しい抗議を引き起こす可能性を事前に文化庁に通知しなかったなどの理由で、国の助成金を受けることができないと通知された。



文部科学省による歴史教科書検定は、特に日本の20世紀の植民地支配および軍事に関する歴史の扱いについて、引き続き論争になった。





b. 平和的な集会および結社の自由



法律により集会と結社の自由が規定されており、日本政府は、全般的にこれらの権利を尊重した。





c. 信仰の自由



国務省「信仰の自由に関する国際報告書」を参照。





d. 移動の自由



法律により、国内の移動、外国旅行、移住、本国帰還の自由が規定されており、日本政府は、全般的にこれらの権利を尊重した。





e. 国内避難民(IDPs)



2011年の東北地方での地震津波および原子力発電所の事故の後、政府は全般的に、避難所およびその他の保護サービスを十分に提供するとともに、移住または再建の選択肢を提供しようと努めた。3月現在、3418人が依然として仮設住宅で生活している。





f. 難民の保護



移住者、難民、無国籍者に対する虐待: 日本政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)およびその他の人道支援組織と協力して、難民、庇護申請者、無国籍者、およびその他の関係者に保護と援助を行った。



難民認定申請者のほとんどは、庇護申請書を提出した時点で合法的な在留資格を有していた。不法滞在している申請者の多くは、無期限、場合によっては長期間、入国者収容施設に収容された。収容されうる期間に制限は設けられていない。NGOは、これら収容施設での外国人の死亡が深刻な懸念であると報告した。市民社会グループは、庇護申請者を無期限に収容すること自体が問題と述べ、劣悪な生活環境にも懸念を表明した。法律の専門家とUNHCRは、収容が長期にわたるため、収容者達が自分達の置かれた状況に抗議し、ハンガーストライキを行っていると指摘した。ハンガーストライキは、医療的な理由による仮放免を正当化する健康状態悪化を意図したものであった。



6月24日、国外退去命令を受けたナイジェリア人の被収容者1名が、長崎県の大村入国管理センターで死亡した。法務省出入国在留管理庁は、死亡を調査したが死因を公表しなかった。8月8日、日本弁護士連合会は、死亡した男性は、日本国籍を持つ子どもが1人いる父親であり、3年7カ月に及ぶ収容に抗議するため、死亡した当時収容施設でハンガーストライキを行っていたと述べた。日本弁護士連合会は、入国者収容施設に関する独立性のある視察委員会に、ナイジェリア人男性の死亡を調査し結果を公表するよう要請した。10月、出入国在留管理庁は、カウンセリング、医療、収容施設職員による情報共有を改善する措置を提案した。



9月現在、198人の収容者が全国でハンガーストライキを行っていた。



庇護へのアクセス: 法律は、庇護の付与あるいは難民の認定を規定しており、日本政府は難民を保護する制度を確立している。しかし日本の難民認定審査手続きは厳格で、2018年、10493人の申請件数中、42件(2017年は20)の申請が認められた。NGOとUNHCRは、低い認定率(0.25%)に懸念を表明した。市民社会グループは、実際に難民認定審査を受けた申請件数以外に、自ら申請を撤回した件数は2923件あり、これは2018年に一層厳しい審査手続きが実施された結果であると述べた。NGOは、庇護を認められる個人の区分が拡大したと指摘し、LGBTIであることを理由に自国で迫害に遭っていた1人が難民に認定された例を挙げた。



難民とは認定されなかったものの、人道的な配慮を理由に在留を認められた外国人が40人いた。



通常の庇護申請制度に加え、政府は、2010年に始まった第三国定住パイロット事業により他の難民を受け入れることができる。9月25日、この事業の一環として政府は、マレーシアに一時滞在していた6家族20人のシリア難民を受け入れた。政府は、パイロット事業の範囲内で、ビルマから受け入れる難民数を年間30人とする上限を設けた。およそ300人のロヒンギャ族イスラム教徒は、人道的理由による特別在留許可あるいは、ビルマでの民族的および宗教的迫害を理由に、一時滞在の在留資格により日本で生活していた。ロヒンギャ族の庇護申請者で難民認定されたのは18人だけであった。



未成年あるいは障害のある難民認定および庇護申請者は、難民審査参与員制度の下での第1回目の審問への参加を弁護士に依頼することができる。法的支援を求めるほとんどの難民および庇護希望者は、政府の援助による法的支援を受けることができなかったので、日本弁護士連合会が、経済的余裕のない申請者に対して無償で法律支援を行うプログラムに、引き続き資金を提供した。



法務省、日本弁護士連合会、およびNGO「なんみんフォーラム」は、成田空港、羽田空港、中部空港、および関西空港に到着し、仮上陸または仮滞在の許可を得た難民認定申請者に対し、住居、社会福祉および法的サービスを提供する収容代替措置(ATD)事業を引き続き協力して実施した。ATD事業は、日本政府が助成する市民組織の資金および寄付金で賄われている。NGOは、空港や港での難民申請者数が、2018年1月から6月までは12人であり、2017年の133人からに大幅に減少したと報告した。



移動の自由: 難民あるいは庇護申請者は、いくつかの制限付きで収容施設から仮放免を認められる。仮放免となった場合、外国人は月に1度出入国在留管理局への出頭、居住する都道府県以外への移動禁止、居住先の変更があった場合は出入国在留管理局への届け出が義務付けられる。仮放免制度は、個人により異なるが、最高300万円(27600ドル)の保証金が義務付けられる。もし難民あるいは庇護申請者が仮放免の要件に従わない場合、保証金は没収の対象になる。法律家は、不法就労で摘発された者は、最低3年以上の収容処分を受けたと指摘した。



雇用難民認定申請者は、有効な短期滞在ビザを所持しない限り、通常就業が認められない。収入を得る活動に従事するには、ビザの有効期限内に許可を申請しなければならない(資格外活動許可)。許可を得るまでの間、経済的に困難な状況にある一部の申請者に対し、政府が出資するアジア福祉教育財団の一部門である難民事業本部が、少額の給付金を支給した。



基本的なサービスへのアクセス: 難民は依然として、しばしば他の外国人が経験するものと同様の、住居、教育、雇用の機会を制限される差別を受けた。就業する権利を得る条件を満たす人を除き、難民申請が未決、または異議申し立て手続き中の人は、社会福祉を受ける権利がなく、こうした状況下では、過密状態の政府のシェルターや、違法就労、またはNGOの援助に頼らざるを得なかった。



一時的な保護: 政府は2018年、難民と認定されない可能性のある40人を一時的に保護した。





g. 無国籍者



第2次世界大戦終結時、日本による朝鮮統治が終わると、日本国籍を剥奪されたおよそ7万人の日本生まれの韓国・朝鮮人の子どもは、厳格な血統に基づく国籍を基本とする法律により外国人とみなされた。このような人たちは、韓国籍あるいは朝鮮籍を選択するか日本国籍を求めることができたが、そうしなかった多くが事実上無国籍となった。こういった韓国・朝鮮人は旅券を所持しないが、日本政府が発行する一時渡航書で海外に渡航することができる。こういった人たちは、投票や公職に就くことに関し制限を受ける。



日本に居住するロヒンギャ族に子どもが生まれた場合、依然として無国籍となる。





第3部 政治プロセスに参加する自由





法律により、日本国民には、平等な普通選挙権に基づき、無記名で実施される、自由かつ公正な選挙により政府を選ぶ力が与えられている。





選挙と政治参加



最近の選挙: 日本政府が2017年に実施した衆議院解散総選挙は、自由かつ公正であった。自由民主党は、得票率が小選挙区で47.8%、比例代表で33.2%を得て、衆議院で465議席中283議席を獲得し、安倍首相が首班となった。7月に実施された参議院議員選挙は、自由かつ公正とみなされ、安倍総裁の自由民主党と、連立政権を組む公明党が安定多数を確保し勝利した。



法律家と有権者の団体は、7月の参議院選挙後に訴訟を提起し、1票の格差に基づき結果の合憲性に異を唱えた。最も有権者の少ない選挙区の票を、最も有権者の多い選挙区の票と比べると、格差はおよそ3倍となった。憲法は、票には平等の価値があると規定している。香川県高松高等裁判所は、10月16日、7月の参議院選挙は、票の平等性に反する状態で実施されたと判断したが、選挙結果を違憲とはせず、1票の格差を是正する政治家の取り組みを挙げ、選挙無効を要求した原告の請求を棄却した。



女性およびマイノリティーの参画: 女性およびマイノリティーの政治過程への参画を制限する法律はなく、実際に参画した。女性の投票率は男性と同等か、もしくは高い状況にあった。総務省のデータによると、1960年代後半以降に行われた全ての国政選挙において、女性は投票者の多数を占めた。しかし、女性はどのレベルにおいても、この傾向を反映した比率では選出されていない。



法律は各政党に対して、国政および地方選挙の候補者名簿において、男性と女性の候補者数を同等にするよう最大限の努力を求めている。衆議院では465議席中47議席参議院では245議席中56議席を女性議員が占めた。20人の閣僚のうち女性は2人であった。しかし、与党・自由民主党の党四役に女性はいなかった。2018年末時点で、47の都道府県のうち、女性知事は2人であった。全国のおよそ45%の地方議会は、女性議員が1人のみか、または全くいない状態であった。



選挙に立候補する障害者の数は非常に少ない。7月の参議院選挙では、車いすを使う2人の候補が国会に選出され、全国で当選した非常に数少ない障害者の中で、初の車いす議員となった。



民族に基づくマイノリティー・グループの中には混合民族の血を引く人で国会議員を務める人もいたが、マイノリティーであることを自ら明らかにしない人もいるため、その数を把握するのは困難であった。





第4部 政府の汚職と透明性の欠如





法律により、公務員による汚職には刑事罰が規定されており、日本政府は全般的に法律を効果的に執行した。文書に記録された公務員の汚職事例があった。



独立した立場の学識経験者は、政・官・財のつながりは密接であり、汚職は依然として懸念される問題だと述べた。NGOは、退職した政府の幹部職員が、政府との契約に頼る民間企業で高報酬の職を得る慣行があることを引き続き批判した。公務員が関与した財務会計に関する不祥事が捜査された。



汚職: 報道機関は、汚職に関係するいくつかの有罪判決を報告した。9月、関西電力原子力発電所を抱える福井県高浜町の元助役が、地元の建設会社が25億円(2300万ドル)相当の原子力発電所関係の工事を受注する見返りに、2011年から7年以上にわたり3億2000万円(295万ドル)相当の金品を、同電力会社の社長、会長、および他の幹部に渡していたことが明らかになった。8月、国会議員であり厚生労働省政務官でもある者が、外国人労働者在留資格発行を急ぐよう法務省に圧力をかけた見返りに賄賂を受け取る計画があったという疑惑が発覚した後、同省政務官の職を辞任した。本人は違法なことは何も行っていないと疑惑を否定し、国会議員の職を継続した。



資産公開: 法律により、国会議員には、所得、および不動産、有価証券ならびに輸送機の所有状況を含む資産(ただし普通預金を除く)の公開が義務付けられている。地方条例は、47都道府県全ての県知事、県議会議員、市長および主要20都市の市議会議員に対して、所得および資産の公開を義務付けている。残る約1720の市区町村の議会議員に対しては、同様のことは義務付けられていない。虚偽の公開をした場合の罰則はない。同法は、選挙で選ばれない公務員には適用されない。これとは別に、内閣の規範は、閣僚、副大臣、および大臣政務官に対して、本人、配偶者および扶養する子の資産を公開するよう規定している。





第5部 人権侵害の疑いに対する国際機関および非政府機関の調査に対する政府の姿勢





国内外の多くの人権団体は、全般的に、政府による制約を受けずに活動し、人権侵害の事例について調査し、調査結果を公表した。政府関係者は、通常協力的であり、こうした団体の見解に対応した。



政府の人権機関法務省の人権相談所が全国300カ所以上に設置されていた。約1万4000人のボランティアが、直接面談して、あるいは電話やインターネットを通じて質問に答え、秘密厳守で相談に応じた。50カ所の相談所では、6カ国語での相談が可能であった。こうした相談所は、問い合わせに対応したが、個人や公的機関による人権侵害を調査する、助言を与える、あるいは仲裁する権限がない。地方自治体には、さまざまな人権問題を扱う人権担当部署が設置されている。





第6部 差別、社会的虐待、人身取引





人種、民族、国籍、性的指向、性同一性に基づく差別は禁止されていない。





女性



強姦および配偶者からの暴力: 法律により、被害者の性別を問わず、さまざまな形態の強姦が犯罪とされている。また、18歳未満の未成年者に対する監護者による強姦も犯罪とされている。法律は、配偶者間の強姦可能性を否定しないが、婚姻が破綻している状況にある場合(正式な離婚または別居など)を除いて、そのような判決を下した裁判所はこれまでにない。法律は、強姦の有罪判決に5年以上の懲役を義務付けている。検察官は、暴力または脅迫があったこと、あるいは被害者が抵抗できなかったことを証明しなければならない。配偶者からの暴力も犯罪にあたり、被害者は裁判所による保護命令を申し立てることができる。暴行加害者は有罪になると、2年以下の懲役、もしくは30万円(2760ドル)以下の罰金が科せられる。人の身体に傷害を加えた者は、有罪となった場合、15年以下の懲役、もしくは50万円(4600ドル)以下の罰金が科せられた。保護命令に違反した者は、1年以下の懲役、もしくは100万円(9200ドル)以下の罰金が科せられる。



強姦訴訟におけるいくつかの無罪判決により、NGOが主張する、被害者に不当な負担を強い、名乗り出ることを阻む高い法的基準と訴追負担に注目が集まった。3月、名古屋地方裁判所は、19歳の娘を強姦したとして起訴された父親に対し、性交に同意はなく暴力が伴ったと認定しながらも無罪を言い渡し、娘に服従以外の選択肢がなかったかどうか疑問が残るという判決を下した。7月、名古屋地方検察庁は、就寝中の知人女性に性的暴行をはたらいた疑いの元国会議員を不起訴処分とした。



2019年、報道機関はまた、大手民間企業の男性職員による就職活動中の女子大生への強姦および性的暴行の逮捕事案が少なくとも2件あったと報告した。



NGOと法律の専門家は、性犯罪とその被害者に関する研修が裁判官、検察官、弁護士に不足していると指摘した。強姦および配偶者からの暴力は、届け出がかなり少ない犯罪である。政府の男女共同参画局の調査によると、性的暴行被害者で警察に被害届を提出したのはわずか2.8%で、強姦被害者のおよそ60%が被害届を出していない。この分野の専門家は、女性が強姦の届け出に消極的なのは、非難されることへの不安、公の場で辱めを受けることへの恐れ、被害者支援の不備、警察の対応の際の2次被害の可能性、強姦被害者に対する共感を欠く裁判手続きなどさまざまな要因にあるとした。



生活の本拠を共にする交際相手、配偶者、元配偶者からの暴力の被害者は、シェルターにおいて保護を受けることが可能であった。



セクシュアルハラスメント: 職場におけるセクシュアルハラスメントは依然としてあった。法律ではセクシュアルハラスメントを犯罪と規定していないが、セクシュアルハラスメント防止を怠った企業を特定する措置が規定されている。都道府県労働局および厚生労働省はこれらの企業に対し、助言、指導、勧告を与えた。政府の指針を順守しない企業名は公表できるが、このような事案は長年起きていない。



政府は、国家公務員の全幹部職員への研修の義務化や、各省庁内に一般国民がセクシュアルハラスメントを報告できる相談窓口の設置など、セクシュアルハラスメント防止に向けた一連の対策を講じている。それにもかかわらず、政府機関でのハラスメントは続いた。



在外公館の元大使2人による赴任先でのセクシュアルハラスメント疑惑に関する公的報告書は、セクシュアルハラスメントに対する外務省の対応に疑問を投げかけた。5月、警視庁は、在イラン日本大使館内で外務省の女性職員に強制わいせつを行った疑いのある元イラン大使を検察に刑事告訴した。告訴人の代理を務める弁護士は、女性職員の上司が彼女に対して、外務省に提出したハラスメントの内部文書から性的暴行の記述を削除するよう指示したと主張した。3月、外務省は、具体的な理由を公表することなく前ケニア大使を停職処分にしたが、この人物がナイロビの大使館内でセクシュアルハラスメントに関わったとする申し立ては否定しなかった。



5月、国会は、職場のパワーハラスメント防止策を企業に義務付ける労働法の一連の改正を可決した。2020年4月に施行される改正法はまた、企業がセクシュアルハラスメントを防止する追加要件も設けた。



報道機関は、就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメントが横行していると報告した。政府は企業に対して職場でのセクシュアルハラスメントを防止することを義務付けているが、規制は就職活動中の学生には適用されない。これに対応するため、大学側は学生に警告を出し、企業の中には、従業員に対して就職活動中の学生と面談する際の新たな行動規範を発表したところもあった。(第7部d. を参照)



人口抑制の強制: 強制中絶や不本意な避妊手術に関する報告はなかった。



4月、政府は、1948年から1996年に旧優生保護法の障害者を対象とした政策の下で不本意な避妊手術を受けた個人を補償する法律を制定した。対象者は1人当たり約257万円(2万8000ドル)が支給され、正式な謝罪を受け取った。厚生労働省は、2万5000人が旧優生保護法下で強制避妊手術の対象となったと推定した。



差別: 法律により性差別は禁止され、全般的に女性には男性と同じ権利が与えられている。内閣府男女共同参画局は引き続き、政策を検討し、その進捗状況を監視した。



このような政策にもかかわらず、NGOは引き続き、性差別撤廃措置の実施が不十分であるとし、法律における差別的な条項、労働市場での女性に対する不平等な扱い(第7部d. を参照)、選挙で選ばれた高位の議員の中に女性が少ないことを指摘した。



6月、ある団体が、男女平等、職場での性差別、健康懸念を例に挙げ、女性にハイヒールを履くことを義務付ける職場服務規程の禁止を求める嘆願書を厚生労働省に提出した。嘆願書は約3万人の署名を集めた。嘆願書が提出された後、厚生労働大臣は「(ハイヒールを履くことは)業務上必要かつ相当の範囲内であれば社会的に受け入れられる」という見解を述べた。その後、大臣は、「特定の状況によるものであり、社会通念に照らして、業務上必要かつ相当な範囲を超えない限りハラスメントとは見なされない」とつけ加えた。報告によると、約60%の女性が業務または就職面接でヒールを履くことを求められた。



NGOは政府に、選択的夫婦別姓制度の採用を引き続き要請した。





子ども



出生届: 法律では、子どもの父親が日本人でその子の母親と結婚しているか、子どもを認知している場合、子どもの母親が日本人である場合、または子どもが日本で生まれ、その両親が不明あるいは無国籍の場合に、生まれた子どもに日本国籍を認めている。法律により、国内で生まれた子の場合は14日以内に、国外で生まれた子の場合は3カ月以内にそれぞれ出生届を出すことが義務付けられており、この期限はおおむね順守された。提出期限を過ぎた出生届も受理されたが、罰金が科せられた。



法律により、出生届に子が嫡出子か非嫡出子かを明記することが義務付けられている。法律は、離婚成立から300日以内に生まれた子は離婚した男性の子であると推定しており、そのため、正確な人数は不明だが、子どもの出生届が出されず無戸籍となる状況が発生している。



子どもに対する虐待児童虐待の報告件数は引き続き増加した。警察は多数の犠牲者を保護する一方で、身体的、性的あるいは精神的暴行、殺害、または育児放棄の虐待者(主に父親、母親、義父または親の知人男性)を多数逮捕した。厚生労働省は、家庭で配偶者暴力を目撃したことに起因する心理的虐待の報告を多数受け取った。



法律の専門家は、厚生労働省の育児施設および警察に対して、新たな虐待を特定、防止するため、児童虐待事案を徹底的に共有することを求めた。法律は児童虐待が疑われる家庭の臨検手続きを簡素化し、児童相談所に法律、心理学、医療の専門家を配置することを義務付け、より多くの自治体に児童相談所の設置を認め、公共の施設への入所対象年齢を引き上げた。



教師による児童虐待の報告が引き続きあった。文部科学省によると、全国にある各地域の教育委員会は2017年4月から2018年3月までの間に、児童にわいせつ行為をしたとして公立学校教員210人を懲戒処分とした。児童支援の専門家は、学校での児童の被害を防止するため、文部科学省に対して、児童への性的虐待に関与した教員についての情報を積極的に警察と共有するよう求めた。



早婚および強制婚: 法律は、婚姻適齢について、男性は18歳以上、女性は16歳以上と規定している。20歳未満の者は、少なくとも両親のいずれかの同意がなければ結婚できない。男女の婚姻年齢を共に18歳とし男女間の婚姻開始年齢を統一する法律は、2022年に施行される。



子どもの性的搾取: 児童買春は違法であり、懲役もしくは罰金を含む罰則に処せられる。法定強姦に関する法律は、同意の有無にかかわらず13歳未満の少女との性交を犯罪としている。法定強姦をした者は3年以上の懲役に処せられ、法律は執行された。加えて、法律や条例は、未成年者の性的虐待に対処する。児童ポルノの単純所持は犯罪である。児童ポルノの商用化は違法であり、3年以下の懲役もしくは300万円(2万7600ドル)以下の罰金に処せられる。警察はこの犯罪の厳重な取り締まりを続けた。



引き続き行われている「援助交際」や、出会い系、ソーシャル・ネットワーキング、「デリバリー・ヘルス」などのウェブサイトの存在が、性的搾取を目的とする児童の人身取引、およびその他の商業的性産業を助長した。成年男性と未成年の少女を結びつけるデートサービスやポルノ強要などの性的搾取を目的とする児童の人身取引「JK(女子高生)ビジネス」を取り締まる関係府省対策会議は、引き続き取り締まりを強化した。2018年、当局は全国でこのような事業を行う137カ所を特定した。JKビジネス関連の不特定犯罪活動に関与した疑いがある計69人が逮捕された。主要7都道府県は、JKビジネスの禁止、18歳未満の少女による「援助交際」の禁止、またJKビジネス営業者に対して各都道府県の公安委員会に従業員名簿を登録することを義務付ける条例を制定した。「JKビジネス」で働く少女を支援するNGOは、これらの事業と買春による子どもの商業的性的搾取の関連性を報告した。



日本は、児童ポルノの製造および人身取引犯による子どもの搾取の現場であった。



性描写が露骨なアニメ、マンガ、ゲームには暴力的な性的虐待や子どもの強姦を描写するものもあるが、日本の法律は、こうしたアニメ、マンガ、ゲームを自由に入手できるという問題に対処していない。



国務省「人身取引報告書」を参照。



国際的な子の奪取: 日本は、1980年に採択された「国際的な子の奪取の民事面に関する条約ハーグ条約)」の締約国である。「ハーグ条約の順守状況に関する国務省の年次報告書」を参照。





反ユダヤ主義



日本に居住するユダヤ人の公式な人口統計は入手できなかった。ユダヤ人コミュニティーの代表によると、コミュニティーを実際に構成しているのは約100世帯である。まれではあるが、反ユダヤスピーチが公共の場やサイバー上で続いた。2018年初め、人気アニメ監督の柳沼和良が、ホロコーストを疑問視し、その他の反ユダヤ的ツイートを支持するツイートを投稿した。2019年に反ユダヤ的な事件の報告はなかった。





人身取引



国務省「人身取引報告書」を参照。





障害者



法律により、身体障害者知的障害者精神障害者、あるいはその他の心身に影響を及ぼす障害のある人たちに対する差別は禁止されており、公共および民間部門における障害を理由とする権利および利益の侵害は禁止されている。同法は、雇用、教育、医療およびその他のサービスの提供に関し、公共部門には合理的配慮の提供を義務付け、民間部門には努力義務を規定している。法律は、差別を経験した障害者の救済を規定しておらず、また違反した場合の罰則を設けていない。法律はまた、政府および民間企業に対し、障害者(精神障害者を含む)を一定の比率(それぞれ2.5%と2.2%)以上雇用することを義務付けており、違反すると罰金が科せられる。障害者の権利擁護団体は、障害者を雇用するより罰金の支払いを選択する企業もあると主張した(第7部d. を参照)。



公共施設の新たな建設プロジェクトでは、障害者のための設備を整備することがアクセスビリティに関する法律で義務付けられている。政府は、病院、劇場、ホテル、およびその他の公共施設の経営者が、障害者用の設備を改善または設置する場合には、低金利の融資および税制上の優遇措置を認めることができる。



それにもかかわらず、一部の公共サービスについては障害者の利用が制限された。障害者の虐待は深刻な懸念事項であった。家族、障害者福祉施設職員および雇用者からの虐待を経験した障害者は、全国でみられた。民間の調査によると、障害のある女性に対する差別や性的虐待があった。



7月、政府は元ハンセン病患者の家族に対して損害賠償金の支払いを命じる裁判所の判決を履行することに同意した。裁判所は、国が1960年までにハンセン病患者の隔離政策を止めず違法な対応を行ったこと、かつハンセン病に対する差別的な法律を1996年まで維持したと認定した。



NGOは、障害者は不名誉なものとみなされ、一般の人から隔離される傾向にあったと引き続き懸念を表明した。統合教育を提供した学校もあったが、障害のある子どもは一般的に特別支援学校に通学した。



精神衛生の専門家は、精神障害への偏見を軽減し、うつ病やその他の精神疾患は治療可能な、生物学に基づく疾患であることを一般の人々に知らしめる政府の努力が十分でなかったと主張した。





国籍・人種・民族に基づくマイノリティー



マイノリティーは、その程度はさまざまであるが社会的差別を受けた。



法律は部落民(封建時代に社会的に疎外された者の子孫)に対する差別の問題に取り組むことに特化している。この法律は、国および地方公共団体に部落差別について調査し、啓発教育を行い、相談体制を充実させるよう義務付けている。



部落民の権利擁護団体は引き続き、多くの部落民が社会経済的状況の改善を実現したにもかかわらず、雇用、結婚、住居、不動産価値評価の面での差別が横行している状況が続いたと報告した。公式に部落民というレッテルを貼って部落出身者を識別することはもうなかったが、戸籍制度を利用して部落民を識別し、差別的行為を促すことが可能であった。部落民の権利擁護団体は、多くの政府機関も含め、就職希望者の身元調査のため戸籍情報の提出を求めた雇用者が、戸籍情報を使って部落出身の就職希望者を識別・差別することがあるかもしれない、と懸念を表明した。



日本で生まれ、育ち、教育を受けた多くの外国人を含む、日本で永住権を有する外国人と帰化した日本人は、差別に対する法的な保護措置があるにもかかわらず、住居、教育、医療、および雇用の機会の制限など、さまざまな形で根深い社会的差別を受けた。外国人や、「外国人のように見える」日本国民は、ホテルやレストランなど一般の人々にサービスを提供している民間施設への入場を、時には「外国人お断り」と書かれた看板によって禁じられたと報告した。こうした差別は通常あからさまで直接的なものであったため、NGOは政府がそのような制限を禁止する法律を執行していないと訴えた。



韓国・朝鮮人の社会的受容が向上した兆候はなかった。韓国・朝鮮人コミュニティーの複数の代表は、公共の場とソーシャル・ネットワーキングのウェブサイトで韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチが続いたと述べた。5月に発生した20人が負傷・死亡した無差別殺傷事件の後、加害者は韓国人であると主張する誤った噂がインターネット上に広まった。3月、政府の日本年金機構は、韓国人に対して侮辱的なメッセージをツイッターに投稿したとして年金事務所の所長を解雇した。帰化申請のほとんどは当局により許可されたが、支持団体は、帰化手続きを複雑にする過度の官僚的な障壁や、不透明な許可基準について引き続き抗議した。帰化しないことを選択した韓国・朝鮮人は、公民権および政治的権利の面で困難に直面し、仕事での昇任、住居、教育、その他の給付を得る上で頻繁に差別を受けた。



政府高官は、民族集団への嫌がらせが差別を助長するとして公に拒絶し、国内のあらゆる人の個人の権利を保護することを再確認した。





先住民



4月、アイヌ先住民族として正式に認め、アイヌ差別と権利侵害を禁止し、アイヌの文化を保護・促進する法律が成立した。法律は、国および地方自治体に対して、地域を支援し、地域経済と観光業を振興する対策を講じることを義務付けている。法律は、自決権やアイヌの教育権を明記していない。



日本政府は琉球民(沖縄と鹿児島県の一部の住民を指す言葉)を先住民族と認定していないが、彼らの独自の文化と歴史を公式に認め、その伝統を保存し尊重する努力をした。





性的指向および性同一性に基づく暴力行為、差別、その他の虐待



法律はトランスジェンダーの人々に対して、性同一性を法的に認定するため、生殖機能を持たないこと義務づけており、事実上ほとんどの人に対して不妊手術を義務付けている。トランスジェンダーの人々はまた、精神鑑定、世界保健機関が5月に発表した国際疾病分類で精神疾患から正式に除外した「性同一性障害」であるとの診断、未婚かつ20歳以上であること、20歳未満の子どもがいないことなどの追加条件も満たさなければならない。1月23日、最高裁判所は2016年に提起された訴訟に関して、上記条件を合憲とする判決を出した。



性的指向または性同一性に基づく差別を禁止する法律はなく、そのような差別に対する罰則は存在しない。2月、東京地方裁判所は、自身の承諾なしに同級生にゲイであることを公表された後、2015年に校舎から転落した学生の両親が一橋大学を相手に起こした損害賠償請求を却下した。裁判所は、死亡に関して大学側に責任はないと述べた。



法務省は2018年、性的指向および性同一性に基づいた人権侵害の可能性に関する問い合わせを33件受け、相談者に法的な助言を提供した。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーインターセックス(LGBTI)の人々の権利を擁護する団体から、差別、アウティング、いじめ、嫌がらせ、および暴力行為の報告があった。



LGBTIの人々を取り巻く偏見が、依然として、差別や虐待を自ら報告する妨げになっていた。



報道によると、与党自由民主党平沢勝栄国会議員は、1月3日に開かれた公的な集会で、皆がLGBTIのような人ばかりなると国がつぶれると発言した。LGBTIの権利擁護団体は、この発言を性の多様性を否定し、ありえない事実を誇張して差別しているとして批判した。



8月初めて、トランスジェンダーの人が同性パートナーとの関係に基づく在留特別許可を与えられた。



立憲民主党の石川大我国会議員は、7月の参議院選挙でLGBTIであることを公言し当選した2番目の国会議員となった。3月25日、茨城県は性同一性や性的指向による差別を禁じる条例を制定し、そのような条例を制定した東京都に続く2番目の都道府県となった。多くの自治体も同様の条例を制定している。LGBTIの権利擁護団体はこのような動きを歓迎する一方で、一般的に救済条項がないことを理由に条例の有効性に懸念をも表明した。





HIVエイズ感染者に対する社会的不名誉



HIVエイズ感染者に対する差別を禁止する法律はないが、拘束力のない厚生労働省ガイドラインには、事業者にはHIV感染を理由に人を解雇あるいは不採用にしてはならないと明記されている。裁判所は、HIV感染が理由で解雇された個人に損害賠償請求を認めてきた。



HIVエイズ感染者に対する差別についての懸念、この疾患に伴う不名誉、および解雇の恐れが、多くの人にHIVエイズの感染を公表させなかった。





その他社会的暴力や差別



警察は高齢者を虐待した個人を相次いで逮捕した。厚生労働省は、高齢者への肉体的、精神的および性的虐待と、家族や介護施設職員による介護放棄の割合が増加していると報告した。





第7部 労働者の権利





a. 結社の自由と団体交渉権



法律は、民間部門の労働者が事前認可あるいは過度の要件なしに、組合を結成し、自分が選んだ組合に所属する権利を規定し、ストライキおよび団体交渉を行う権利を保護している。



公共部門の職員および公共企業体の従業員には、法律により、組合を結成し、自分が選んだ組合に所属する権利に制限が課されている。公共部門の職員は、公共部門職員の組合に参加することが許されており、こうした団体が公共部門の雇用者と賃金、労働時間、その他の雇用条件について一括して交渉することができる。公共部門の職員にはストライキをする権利がない。公共部門でストライキを扇動する労働組合の指導者は免職され、罰金または懲役に処せられる場合がある。消防職員および刑事施設職員には団結権と団体交渉権が認められていない。政府は4月、消防職員が管理職に意見や情報を提供できる合理化制度を導入したが、この制度は引き続き消防職員の団結権を認めていない。



発電および送電、運輸および鉄道、通信、医療および公衆衛生、郵便などの必要不可欠なサービスを提供する部門の労働者は、ストライキをする日の10日前までに当局に通知しなければならない。必要不可欠なサービスの提供に関わる従業員には団体交渉権がない。



法律は組合に対する差別を禁止し、組合活動のために解雇された労働者の職場への復帰を規定している。



日本政府は結社の自由、団体交渉権、および合法的なストライキについて規定する法律を効果的に執行した。政府の取り締まりと罰則は、全般的に違反の防止に十分であった。違反があった場合には、労働者または労働組合労働委員会に異議を申し立てることができ、労働委員会は雇用者に救済命令を発することができる。その後、原告はその問題について民事訴訟を起こすことができる。裁判所が救済命令を支持し、救済命令違反を認定した場合、罰金、禁固、またはその両方の罰則に処すことができる。



政府と雇用者は結社の自由と団体交渉権を全般的に尊重したが、短期雇用契約の増加は、正規雇用を損ない、団体活動を妨げた。団体交渉権は民間部門で一般的であった。





b. 強制労働の禁止



法律によりあらゆる形態の強制労働は禁止されている。



外国人労働者が雇用される部門で見られるように、労働市場の一部では、違反が根強く残っており、法の執行が十分ではなかった。しかし全般的には政府は法律を効果的に執行した。強制労働に対する法律上の刑罰は、強制労働の形態、被害者、このような犯罪を訴追する検察官が適用した法律により異なった。全ての形態の強制労働が法律によって明確に定義されているわけではなく、また違反を防止するのに十分な刑罰が科せられているわけでもなかった。例えば、法律は強制労働を犯罪とし10年以下の懲役を規定するが、収監に代わる罰金刑も認めている。NGOは、複数で重複する法令に依拠することが、特に心理的抑圧の側面がある強制労働に関わる人身売買の犯罪について、政府による特定と訴追を阻害していると主張した。



製造業、建設業および造船業において強制労働の兆候が引き続きあった。これは主に、技能実習制度(TITP)を通じて外国人を雇用している中小企業にみられた。TITPは、外国人労働者が日本に入国し、事実上の臨時労働者事業のような形で最長5年間の就業を認める制度であり、この分野の多くの専門家は人身取引およびその他の労働者虐待の温床になりやすいと評価した。



このような職場で働く労働者は、政府が禁止しているにもかかわらず、移動の自由およびTITP関係者以外の人物との連絡の制限、賃金の未払い、長時間労働、母国の仲介業者に対する多額の借金、ならびに身分証明書の取り上げを経験した。労働者は時として「強制貯金」も求められたが、こうした貯金は実習の切り上げ、あるいは強制送還の場合には没収された。例えば、報告によると、技能実習生の中には、仕事を得るため自国で最高100万円(9200ドル)を支払った者もいた。また、実習を切り上げようとした場合に、このような資金が自国の仲介業者に没収されることが義務付けられていた契約の下で雇用されていた技能実習生もいた。こうした行為はいずれも、TITPの下で違法である。外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習生の職場を立入検査するなど、TITPプログラムを監督する。OTITは、新たに検査官を採用するなど人員を増加したが、OTITは人員不足で、日本語を話せない人たちとの接触が不十分であり、強制労働の事案を訴追するには効果的でないという懸念を労働者団体は引き続き挙げた。



国務省「人身取引報告書」を参照。





c. 児童労働の禁止と雇用の最低年齢制限



15歳から18歳未満の年少者は、重量物の取り扱いや、運転中の機械の掃除、検査または修繕など、危険な、あるいは有害と指定される仕事でなければ、いかなる仕事にも従事することができる。また年少者の深夜業は禁止されている。13歳から15歳までの児童は「軽易な労働」であれば従事でき、13歳未満の児童でも芸能界であれば働くことができる。



政府はこれらの法律を効果的に執行した。児童労働に関する違法行為に対する罰則には罰金と懲役があり、違法行為の防止に十分なものであった。



子どもは、商業的性的搾取の対象となった(第6部 子どもを参照)。





d. 雇用および職業に関する差別



法律は雇用および職業に関し、差別を禁止している。法律は雇用および職業に関し、宗教、性的指向または性同一性、HIVの感染、あるいは言語に基づく差別を明確に禁止していない。



法律は、募集、昇進、研修や契約更新など、ある特定の状況での性差別を禁止するが、強制的な服務規程には対処していない。



法律はまた、男女平等の同一賃金を義務付けている。しかし国際労働機関は、「同一労働同一賃金」という概念が取り入れられていないため、賃金差別に対する法の保護はあまりにも限定されていると指摘した。男女雇用機会均等法施行規則にはまた、全ての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更に関して、差別する意図なく採用されたが、差別的な効果のある(法律で「間接差別」と呼ばれる)方針や行為の禁止が含まれている。女性は依然として、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントなど、職場での不平等な待遇について懸念を表明した。女性の2018年の平均月給は、男性の約73%にとどまった。



法律は、業務内容が同一で、予想される職務内容と配置の変更範囲が同一の場合は、正規および非正規雇用労働者を同等に処遇するよう雇用者に義務付ける規定を含んでいた。同一労働同一賃金に関する改正法は、大企業は2020年4月に、中小企業は2021年に施行される。



女性活躍推進法は、国および地方公共団体、ならびに301人以上の従業員を雇用する民間企業に、それぞれの組織における女性の雇用状況の分析と、女性の参画と活躍を推進する行動計画の提出を義務付けている。この法律の改正案は5月に可決され、2021年に施行される。報告義務が101人以上の従業員を雇用する中小企業に拡大されるほか、情報公表項目が強化される。



複数の政府機関が2018年に法定雇用要件を満たすため障害者雇用を水増ししていたことを受けて、政府は6月、法律を改正した。改正には、求職者が障害者であることを示す障害者手帳の確認を義務付けるなど、新たな防止規定が盛り込まれた。8月、厚生労働省は、およそ40%の政府機関が障害者雇用目標に到達しなかったことを示す統計を発表した。法律は、政府および民間企業に対し、障害者(精神障害者を含む)を法定雇用率以上雇用するよう義務付けている。法律は、国および地方公共団体に対して法定雇用率2.5%、民間企業に対して2.2%を義務付ける。法律により、従業員100人超の企業が障害者を一定の比率以上雇用する義務に従わなかった場合には、法定雇用数に足りない障害者1人当たりの罰金を毎月支払わなければならない。政府機関による障害者の雇用が法定雇用率に満たない場合の罰則はない。障害者の権利擁護団体は、障害者を雇用するより義務付けられた罰金の支払いを選択する企業もあると主張した。



男女雇用機会均等法違反があった場合、厚生労働省はその問題について雇用者に報告を求めることができ、また助言、指導、是正勧告を行うことができる。雇用者が厚生労働省の勧告に従わない場合、企業名を一般に公表する場合もある。雇用者が報告を怠る、あるいは虚偽の報告をした場合は、罰金を科すことができる。都道府県の労働局雇用均等室の政府ホットラインは、セクシュアルハラスメントに関する相談に対処し、可能な場合は紛争を調停した。





e. 許容される労働条件



法律は都道府県ごとに異なり、公式貧困線を上回る収入を提供するよう最低賃金を定めている。



法律により、ほとんどの産業で労働時間は週40時間と規定されており、例外もあるが、一定の期間に認められる時間外労働の時間数は制限されている。1日8時間を超えて働いた場合、1カ月45時間を超えない範囲の時間外労働には、賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられている。1カ月45時間から60時間までの時間外労働については、法律は企業に25%以上の割増賃金を支払う努力をすることを義務付けている。1カ月に60時間を超える時間外労働については、少なくとも50%の割増賃金を支払うことを義務付けている。1カ月に60時間を超える時間外労働に対する50%の割増賃金の支払いを免除するという中小企業に与えられている猶予期間は、2023年4月に廃止される。



法律は大企業に対して、時間外労働の上限を設け、違反者に対して罰金および懲役を含む罰則を科している。中小企業は2020年に対象となる。原則として時間外労働は月間最長で45時間、年間最長で360時間が認められる。特別および臨時の事情がある場合でも、年間720時間以内および月間100時間未満(休日出勤を含む)、かつ2カ月を超える期間の平均時間外労働時間は80時間以内(休日出勤を含む)にしなければならない。法律にはまた、高度プロフェッショナル制度ホワイトカラー・エグゼンプション)を導入する規定が含まれ、年収が約1000万円(9万2000ドル)以上の少数の技能専門職に対して一切の残業代(休日出勤手当や夜勤手当を含む)を支払う義務を除外することになった。労働組合は、依然として、政府が労働時間制限の執行を怠っていると批判し、政府職員を含め労働者は日常的に、法律で定められた労働時間を超えて働いた。



日本政府は労働安全・衛生基準を定めている。労働者は、自らの雇用を危険にさらすことなく、健康や安全を脅かす状況から離れることができる。



厚生労働省が、ほとんどの業種の賃金、労働時間および安全・衛生に関する法律・規則の執行について責任を負う。国家公務員の労働安全・衛生については人事院が所掌する。鉱業については経済産業省が、海運業については国土交通省が労働安全・衛生をそれぞれ所掌する。



法律は、最低賃金を支払わなかった雇用者に対し、対象となる従業員の数や違反の期間に関係なく罰金を規定し、労働安全・衛生基準法に従わない雇用者に対しても罰金を規定している。



労働安全・衛生基準違反に対する罰則には罰金と懲役があり、全般的に違反の防止に十分であった。労働基準監督官は、重大な違反の場合には、安全でない操業を直ちに停止させる権限を有するが、重大でない場合は、拘束力のない指導を与えることができる。厚生労働省の職員は、430万カ所以上の事業所を監督するには資源が不十分であったことと、違反を防止する労働監督官の数は十分ではなかったことを認めた。



危険な装置や不十分な研修に起因するけが、賃金や残業手当の未払い、過度の、時として誤った賃金控除、強制送還、および標準以下の生活環境など、TITPにおける労働安全・衛生基準違反の報告がよくみられた(第7部b. 参照)。



労働災害による死亡の原因として最も多かったのは、墜落・転落、道路交通事故および重機によるけがであった。また厚生労働省は引き続き、過労死による被害者を正式に認定した。被害者の元雇用者と政府は条件が合致した場合、家族に対して賠償金を支払った。



5月、国会は、職場のパワーハラスメント防止策を企業に義務付け、企業にセクシュアルハラスメントを防止する追加要件を設ける一連の労働法改正案を可決した。改正法は2020年4月に施行され、大企業では義務化、中小企業には「努力義務」が生じる。





By U.S. Mission Japan | 2020年4月10日 | トピックス: ニュース, 主要報告書