新型コロナが流行も、南中国海で波風を立てる米軍(チャイナネット)

新型コロナが流行も、南中国海で波風を立てる米軍(チャイナネット)









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新型コロナが流行も、南中国海で波風を立てる米軍





タグ:南中国海 米軍 艦艇 戦略





発信時間:2020-04-21 15:14:13 | チャイナネット |






新型コロナウイルス感染症で米国が大ダメージを受けているが、その中には米軍に深刻な影響を及ぼす戦闘力と計画が含まれる。報道によると、現在米国の150以上の軍事基地と4隻の空母で感染が発生している。ところが米軍は最近、軍事的手段により西太平洋の覇権を求めるペースを落としておらず、むしろ南中国海で引き続き波風を立てる芝居を続けている。



(筆者・呉士存 中国南中国海研究院院長、中国・東南アジア南中国海研究センター理事会主席)





米軍は今年以降、南中国海で主に▽艦艇による航行・訓練・演習▽軍機の偵察飛行・通過▽航行の自由作戦▽南中国海周辺諸国との軍事外交、軍事交流・援助、合同軍事演習――という4つの軍事活動を展開している。「ルーズベルト」空母打撃群が感染発生により南中国海を離れグアムで隔離に入った後も、米軍の艦艇と軍機は依然として南中国海で常態的な軍事活動を維持している。水上艦の南中国海における活動の減少により生じうる力の不足を補うため、米軍はさらに軍機の南中国海方面の活動の数と頻度を大幅に上げた。



感染症により戦闘力にダメージが生じているにも関わらず、米軍が南中国海で増長しているのはなぜだろうか。トランプ政権が2017年に発表した初の国家安全戦略報告書は、中国を「戦略的な競争相手」と位置づけ、さらにその後「インド太平洋戦略」を発表した。中米の安全の駆け引きにおける南中国海問題の重要性がさらに顕在化した。米国から見ると、南中国海は西太平洋の海上の覇権を維持するため不可欠な海域であり、米国式の海洋権益を実現するための要所となる水路、かつ中国の台頭とシーパワーの発展をけん制する重要な手がかりでもある。



中国から見ると、南中国海は国の主権、安全、発展の利益に関わる、国家安全の天然の障壁、重要な海上戦略ルートだ。そのため中米の南中国海をめぐる駆け引きには戦略的・構造的な特徴が見られる。我々は当初より、米国が感染症により南中国海における中国との駆け引きを弱めるとは素直に考えていなかった。これは感染期間中、米軍が海や空から訪れても、中国が余裕を持って対応できる理由だ。



感染期間中と終息後、米軍の南中国海における行動にはどのような変化が生じるだろうか。



(一)米軍の南中国海における航行の自由作戦は約3カ月に2回の頻度を保つ。航行の自由作戦は実質的な意義よりも象徴的な意義が大きいことから、それほど多くの艦艇を必要としない。



(二)米国と地域内の同盟国の合同軍事演習などの軍事活動が中止、もしくは延期になる。隔年開催のリムパックは中止が正式に発表されていないが、米国が最近フィリピンとの合同軍事演習「バリカタン」を中止したことを考えると、リムパックが予定通り実施される可能性は低い。



(三)空母を除き、米インド太平洋軍の水上艦は依然として、南中国海の軍事行動の需要を満たすことができる。今後1−2カ月内に空母打撃群が再び南中国海に闖入する可能性は低いが、日本、シンガポール、グアムの基地に駐留する艦艇は依然として、南中国海の前線の軍事的存在を維持できる。



(四)感染期間中に中国が台湾海峡もしくは南中国海で行動する「懸念」から、米軍のけん制目的の軍事行動が大幅に増加する。米軍が最近、軍艦・軍機の東中国海及び南中国海における活動状況を大々的にアピールしていることから、感染症の特殊な時期に抑止力を示す意図は明らかだ。



世界で感染拡大が続き、国際政治、経済構造、グローバルガバナンス体制に深い影響を生む。感染症の中米関係への影響は、現状を見る限りマイナスかつ消極的なものだ。中米両国の貿易、テクノロジー、産業チェーン・サプライチェーンなどの分野をめぐる駆け引き、あるいは「断絶」の流れは弱まっていない。米国の大統領選が近づき、「中国問題」の喧伝も避けては通れない議題になる。



南中国海問題について、米政府は海上軍事行動のさらなる実施により中国への強硬姿勢を示すことで、国内の一部有権者の関心と主張に迎合でき、世界的にも同盟関係を強化する効果を発揮できる。言うまでもないことだが、米国が南中国海で頻繁に波風を立て、その他の当事国による係争地域における一方的な行動を放任・奨励するといった消極的な要素が重なることで、沈静化に向かい好転していた南中国海情勢に懸念すべき動乱が生じている。



南中国海は中国を含む南中国海沿岸国の共同の家、中国とASEAN諸国による海洋運命共同体の建設の重要な担い手だ。南中国海の長期的な平和と安定は地域諸国の利益に合致し、国際社会全体の共通の期待でもある。感染期間中及び感染終息後に米国が南中国海で軍事挑発活動を日増しに激化させることについて、我々は島の権益維持能力の建設、民事化機能の拡大(国務院は先ほど三沙市政府による西沙区及び南沙区の建設を批准し、実質的に民事化方向に重要な一歩を踏み出した)、シーパワーの統合、未来の海上作戦方法の変革への対応などの面から十分に準備するべきだ。



それと同時に、我々は南中国海周辺諸国との海上協力を積極的に推進し、干渉を減らし共通認識を促進し、「準則」をめぐる協議を加速するべきだ。公正・透明・開放・協力を主旋律とする地域の秩序の構築に取り組み、南中国海情勢のさらなる動乱、壊滅的な変化を回避するべきだ。





「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月21日