マスクを着けるべきなのか? WHOが最新研究を検討 (BBC NEWS JAPAN)

マスクを着けるべきなのか? WHOが最新研究を検討 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/52130818





マスクを着けるべきなのか? WHOが最新研究を検討





2020年04月2日





デイヴィッド・シュクマン科学担当編集長







Reuters





新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、私たちはマスクをつけるべきなのだろうか?



この疑問について、世界保健機関(WHO)の諮問委員会「感染ハザードに対する戦略・技術顧問グループ」が議論を進めている。



同委員会では、ウイルスが当初考えられていたよりも広く拡散するかについての研究を精査している。アメリカで行われた研究によると、せきは6メートル、くしゃみは最長8メートル先まで届くという。



委員長を務めるデイヴィッド・ヘイマン教授はBBCニュースの取材に対し、この新しい研究によって、マスクに関するアドバイスが変わるかもしれないと述べた。



「マスクを使うべきかの指針に変更を加えるべきかどうかを見極めるため、WHOは新しい証拠を確認し、この議論を再開することに前向きだ」





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現状のアドバイスは?





WHOは、感染を防ぐためにはせきやくしゃみをしている人から少なくとも1メートルは距離を取るよう推奨している。



また、具合が悪かったり、COVID-19の症状がある人はマスクをするよう呼びかけている。



一方で健康な人については、感染の疑いのある人を看病している場合や、せきやくしゃみといった症状がある場合のみマスクが必要だとしている。







Getty Images





また、マスクの効果が得られるのは小まめな手洗いをしている場合に限り、正しい方法で使い、適切に捨てる必要があると強調している。



イギリスやアメリカでは、当局は他者との距離を少なくとも2メートルは開けるよう呼びかけている。



これは、ウイルスは飛まつの中に含まれている時だけ感染の恐れがあるという証拠に基づいたアドバイスだ。



こうした飛まつのほとんどは蒸発してしまうか、くしゃみやせきをした人の周囲に落ちると考えられている。





新しい研究の内容は?





マサチューセッツ工科大学(MIT)はハイスピードカメラやセンサーなどを利用し、せきやくしゃみをした際に何が起きるのかを正確に観測した。



その結果、くしゃみやせきをすると、高速で動くガスの霧のようなものが作られ、そこにさまざまな大きさの飛まつが含まれることが分かった。飛まつの中には、この霧に乗って遠くまで運ばれるほど小さなものも含まれているという。



ラボ内で行われたこの実験では、せきは6メートル、くしゃみは最長8メートル先まで飛まつを飛ばすことも分かった。







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「安全な距離」に疑問





この実験を主導したリディア・ブルイバ教授は、現在の「安全な距離」の基準に懸念があると述べた。



「せきやくしゃみで私たちが吐き出すのは、勢いがあって遠くまで行く可能性のあるガスの霧で、あらゆる大きさの飛まつが含まれ、部屋中に広がる」とブルイバ氏は説明した。



「1メートルか2メール間を開ければ安全だという間違った考え、その範囲内に飛まつが落ちるだけだという考えは、私たちが計測し、直接可視化したものには依拠していない」





この研究でマスクの指針は変わるか





ブルイバ教授は、換気の悪い室内といった特定の環境では、マスクを着用することでリスクを軽減できると考えている。



たとえば、感染者と対面している場合であれば、マスクは患者の呼吸の流れを遮断し、大量のウイルスをあなたの口から遠ざける助けになり得る。



「薄いマスクにはフィルター効果がないため、空気中の一番小さな飛まつからは守ってくれないだろう」とブルイバ教授は指摘する。



「しかし、勢いをもって吐き出された霧を正面から受け止めず、横に流すことはできるかもしれない」





WHOの専門家の考えは?







Reuters





WHOのヘイマン教授は、MITなどによる最新研究は、せきやくしゃみに含まれる飛まつが当初の予想よりも遠くまで飛ぶ可能性があることを示唆しており、検討する予定だと話した。



また、これらの研究の裏付けが取れた場合には、「マスクの着用は他者と距離を取るのと同等、あるいはそれ以上に効果のある対策になるかもしれない」と述べた。



一方で、マスクは鼻までを覆うよう正しく装着する必要があると警告した。



また、マスクが湿ってくると細かな粒子が間を通り抜けてしまうこと、外すときには表面についたウイルスなどに手が汚染されないよう気をつける必要があること、継続して着用する必要があることなどを指摘した。



「一度マスクを付けた後、喫煙や食事のために外すのは良くない。フルタイムで着用するべきだ」



WHOの諮問委員会は、向こう数日のうちにビデオ会議を開く予定だ。



一方、イギリスのイングランド公衆衛生庁の報道官は、医療施設外でのマスク着用の効果を示す証拠はほとんどないと話した。



「マスクは正しい方法で着用し、小まめに取り替え、適切に取り外し、安全に廃棄され、その他の衛生慣行と共に利用することで効果を発揮する」



「研究ではまた、長期間マスクをつけていると、(手洗いなど)推奨されている慣行を守らなくなる傾向があることが分かっている」





各国はマスクについてのアドバイスを変えるか







EPA





アジアの多くの国では以前から、マスクを使う人が多い。そして現在、アメリカの疾病対策センター(CDC)も公衆での利用について検討を始めている。



オーストリアでは警官がマスクを着用しはじめ、警官が接触する人もマスクを付けなくてはならない。同国のスーパーマーケットでも、顧客にマスクをするよう呼びかけている。



欧州では珍しかったマスクが、見慣れたものなりつつある。WHOの新しいアドバイスの内容によっては、この変化はさらに加速するかもしれない。







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(英語記事 Should more of us wear face masks?)





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