英科学顧問、外出禁止は「効果が出ている」 新型コロナウイルス対策 (BBC NEWS JAPAN)
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英科学顧問、外出禁止は「効果が出ている」 新型コロナウイルス対策
2020年03月31日
ミシェル・ロバーツ保健編集長、BBCニュースオンライン
Getty Images
新型コロナウイルスの流行を受け、イギリスでは国民保健サービス(NHS)の負担を減らすために人々が自宅にとどまっているが、その効果が見え始めているという。
政府の首席科学顧問を務めるサー・パトリック・ヴァランスは、30日の記者会見で、他人と距離を取る戦略が「変化をもたらしている」と語った。
地域社会での新型ウイルスの伝染が減り、感染も少なくなっているという。また、病院で治療を受ける人の数も、当初の予測ほど急増していない。
現在、イングランドで病院に入院している人は9000人と、27日の6000人から増加している。これは全土の病床の10分の1が埋まっている状態だ。
イギリスにおける新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)での死者は1408人に上った。
サー・パトリックは、NHSでは1日当たり1000人ずつ患者が増えているが、この増加は「安定」していると述べた。
「患者数は急増ではなく、一定数ずつ増えている。つまり、すでにいくらかは効果が出始めているといえる」
1日当たりの死者数は2日連続で減少しているが、サー・パトリックは日々の増減に「注目しすぎる」ことに警鐘を鳴らしており、「長期的に何が起きているかを見極める必要がある」と述べた。
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1日当たり1000人ずつ患者が増えていることについてサー・パトリックは、「この数値は今後も継続するとみている。毎日病院に来る人は大体それくらいで、もう少し増えるかもしれない」との見解を示した。
「2~3週間のうちに安定し、その後は少し減るだろう」
また、数字の面からはイギリスではCOVID-19の患者は「急速には増加」していないものの、他人と距離を取る対策の効果が現れるには「間」があるため、向こう数週間は「悪化する可能性」もあると警告した。
その上で、この対策がどれくらいの期間必要なのかを見極めるには「時期尚早だ」と話した。
その代わり、病院で治療を受ける人の数がNHSの対処能力を超えないようにすることに集中すべきだと述べた。
各地にナイチンゲール病院を設置
イギリスでは、新型ウイルスの大流行を受けて設置する野外病院を「NHSナイチンゲール病院」と命名。第1号はロンドンの大規模展示場「エクセル・センター」に設置され、4000~5000床が確保された。今週にも最初の患者を受け入れる予定だ。
また、バーミンガムやマンチェスター、グラスゴー、カーディフなどでも設置が決まっている。
一方、王立医学協会の推計によると、国内の医師の4人に1人がCOVID-19を発症、あるいは家族が発症したために休暇を取っている。
BBCのヒュー・ピム保健編集長は、「最前線にいる人たちと話すと、大きな圧力がかかっていることが分かる。人員確保も問題だ(中略)特にロンドンでは非常に、非常に難しくなっていると話していた。バーミンガムでも悪化していて、ある人は、通常病棟がCOVID-19病棟に変わっているようなものだと話していた」と述べた。
また、「新しい病院を建て、退職していた看護師や医師らを呼び戻しても、人数の確保は問題になるだろう」と話した。
「一丸となって危機を乗り切る」
COVID-19を発症し首相官邸で自主隔離を行っているボリス・ジョンソン首相は29日夜にツイッターに掲載した動画で、電車の利用率が95%、バスの利用率が75%減ったと発表。感染拡大を抑えるための政府の制限に人々が従っていると話した。
また、この大流行に対処するため、NHSの元職員2万人が復帰したことを明らかにし、「一丸となって」危機を乗り切ろうと述べた。
ジョンソン首相は隔離中も、ビデオ会議などを通じて新型ウイルス対策に当たっている。
首相官邸は30日、首相の上級顧問を務めるドミニク・カミングス氏にも感染の兆候が見られたため、自主隔離を行っていると発表した。
その他のイギリスの状況は以下の通り。
(英語記事 UK coronavirus measures 'making a difference')
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