コロナウイルス:日本の学校閉鎖はオリンピックを救うための政治的な動きか? (DW English)

コロナウイルス:日本の学校閉鎖はオリンピックを救うための政治的な動きか? (DW English)









(Coronavirus: Are Japan's school closures a political move to save the Olympics?: DW English)

https://www.dw.com/en/coronavirus-are-japans-school-closures-a-political-move-to-save-the-olympics/a-52574748





アジア





コロナウイルス:日本の学校閉鎖はオリンピックを救うための政治的な動きか?





数週間にわたる曖昧なコロナウイルス危機管理の後、日本政府は国内の全ての学校を閉鎖すると表明した。批評家たちは、この動きは公衆衛生よりもオリンピック前の政治に基づくものだと語った。











木曜日の夜、多くの日本の家族は、COVID-19病の蔓延を止めるための取り組みの1つとして、月曜日から1ヶ月間、日本の全ての小学校・中学校・高校が閉鎖されるというニュースに不意を突かれた。



政府は、日本の1300万人の学生は春休み後の日本の新学期が始まる4月に授業に戻ると語った。突然の思い切った措置は日本に衝撃を与え、教師・企業・親たちは子供たちにどう対応しようかと訝った。



計画がどのように実施されるかについて、現在のところ当局者からの言葉は殆どない。安倍晋三・日本首相は土曜日に記者会見を開く予定だ。



木曜日に対策を発表した際、安倍首相は国内の子供たちの健康と安全が最優先事項だと語った。しかし、このウイルスが子供たちに蔓延している証拠は公衆衛生当局から何も提供されていない。



「子どもたちに殆ど危険はなく、重病にはならない」と日本の感染症専門家・岩田健太郎氏はDWに語った。





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安倍氏は両極端の間を動く





この動きは、これまで無関心と自己満足の入り混じった感情でCOVID-19危機を管理してきた安倍氏にとって思い切った転換だ。



首相は危機チームの会議を僅か数分で退席することが何度か見られた。日本の国境は、ウイルスの震源地・湖北省以外から来た中国市民に対して開かれたままだ。ウイルスの蔓延を防ぐために、安倍首相は人々に自宅で仕事をし人混みを避けるよう提案しただけだ。



「政治指導力の欠如は甚だしかった」と、東京大学の日本専門家セバスティアン・マスロウ氏は語った。



日本では現在、200例を上回るCOVID-19感染症の症例が記録されている。その中で死亡例は現在5例だ。この数には、横浜港で2週間以上検疫を受けたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの705例は含まれない。



岩田氏は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの検疫措置を「完全に混沌としていた」と表現した。



COVID-19病の検査で陰性の結果が出た日本人乗客は、下船して電車で帰宅することが出来た。ドイツや米国のような他の国々は、被災地からの帰還者に14日間の検疫を行った。乗船した日本の保健当局者たちはその後検査を受けなかった。





オリンピックは続けねばならない





国際五輪委員会(IOC)副会長のカナダ人ディック・パウンド氏が先日、日本は夏の東京五輪大会を開くか否かを5月末までに決定する必要があると語ったことに動揺を受け、安倍氏と内閣は行動したようだ。



テレビ放映権と選手たちのスケジュールのため、7月24日に始まる予定の大会を遅らせるのは論外だとパウンド氏は語った。





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安倍首相はIOCの発表を受けて急遽行動を始め、今後2週間の間に行われる大規模な公共イベントの中止や延期を始めた。ウイルスの潜伏期間は14日だ。



現在、企業は会議や見本市を取り止め、博物館は閉鎖され、スポーツ行事は中止された。



安倍首相がこれらの発表を行ったのと同じ日に、日本の五輪組織委員会武藤敏郎事務総長は大会の実施を請け合った。彼は、日本を縦断する聖火リレーが計画通り3月26日に福島で始まると語った。



トーマス・バッハIOC会長は日本のメディアに対し、IOCは予定通りに大会を始めるために「全力を尽くす」と語った。





症例数は報告以上?





IOCの積極的な対応にも係わらず、COVID-19病が世界中に急速に広まったため、日本のウイルス対応が十分か否かについて国際的な懸念が高まっている。



症例の存在は全国に広がったが、新しい症例の数は殆ど増えていない。このため、報告された症例は氷山の一角に過ぎないのではないか、という疑問が提起されている。



「検査で陽性になった人1人に付き、恐らく軽度の症状を持つ数百人の未検査者がいる」と、東京・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長はブルームバーグ・ニュースに語った。





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これは、韓国とは異なり、日本では検査が殆ど行われていないためだ。その理由の1つとして、病気の可能性のある患者は検査を受けるために、長引く発熱などのいくつかの条件を満たさねばならない。



これらの基準が設けられたのはほぼ間違いなく、パニックの防止・医療システムの保護・コスト節約のためだ。



一部の病院は患者の検疫が必要になることを恐れて、検査の要望を拒否している。



加藤勝信・日本厚生相は国会に対して、2月18日~23日に実施されたCOVID-19の検査件数はクルーズ船のものを含めて5,700件に過ぎないと語った。





同意しない教育関係者





野党は安倍首相のふらつく危機管理を批判しており、安倍首相は決断する意思のあることを示すために学校を閉鎖した可能性がある。



しかし、多くの親は今やこの動きのせいで、子供の世話のために仕事を休まざるを得なくなった。多くの人々がツイッターを利用して安倍氏を批判した。彼はまた、自民党の一般党員たちの間に怒りと混乱を引き起こした。文部省当局者たちはこの決定について、悪い考えだと語った。



「誰が低学年の小学生を世話するのか?全国的な学校閉鎖により多くの問題が持ち上がるので、恐らくは選択肢になり得ない」と激怒した高官は語り、安倍氏は学校閉鎖について説得力ある医学的根拠を提供していないと付け加えた。



「彼は、危機管理者としての自分の役割について失われた信頼を取り戻したいのだ」と政治アナリストのマスロウ氏は語った。





一部のウォッチャーたちは安倍政権の行動の欠如について、当時の菅直人首相が辞任を強いられた2011年の福島原発の大事故への対応と比較している。



安倍氏は今この運命を避けようとしているようだ。しかし、彼の予想外の政策転換によりパニックの水準が上がる恐れがある。







発表 2020年2月28日

記者 マーティン・フリッツ(東京)

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(投稿者より)



呆れるほど杜撰な危機管理であることが読み取れます。これが外国のことなら良かったのですが、残念ながら私たちの国のことです。現代日本の壊れっぷりがよく分かる記事でもあります。



週末の電車はいつもなら立ち席が出て終点近くまで座れないのですが、この土曜日はガラガラでした。子供の通学客がなくなるので平日もガラ空きでしょう。通勤者としては嬉しいのですが、子供の定期券はどうなるのだろうと、ふと要らぬ心配をしました。



" (...) has raised concerns internationally as to whether Japan is doing enough to counter the virus"「(…)日本のウイルス対応が十分か否かについて国際的な懸念が高まっている」とはいえ、政府の方針がしっかりしていれば、政治は重症者だけを世話して軽症者は家で寝ていれば良いのです。ただ、問題はこの病気が人の健康よりも国の経済に大きな打撃を与えていることです。市場が危機に反応し始めました。これは恐慌に発展するかも知れません。



学校は閉めても貧しい子供には給食を与える。危機の影響で操業できない企業や働けない労働者に補償を行う。流行が過ぎ去った後の再起動を今から準備しておく。他にもあるでしょう。必要なのは寧ろ経済政策かも知れません。