ドゥテルテ氏による米国との軍事協定終了の動きとして説明される米比訪問軍協定(Sputnik International)

ドゥテルテ氏による米国との軍事協定終了の動きとして説明される米比訪問軍協定(Sputnik International)









(Philippine VFA Agreement Explained as Duterte Moves to Terminate Military Pact With the US: Sputnik International)

https://sputniknews.com/asia/202002111078285742-philippine-vfa-agreement-explained-as-duterte-moves-to-terminate-military-pact-with-the-us/





ドゥテルテ氏による米国との軍事協定終了の動きとして説明される米比訪問軍協定







© Sputnik / Sergey Guneev





アジア・太平洋





2020年2月11日10:23 GMT (更新 2020年2月12日05:35 GMT






ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領は先頃フィリピンと米国の間のこの現存の協定を終了すると公約していた。この協定は、米軍がフィリピン国内に滞在する際の諸規則の概要を定めていた。彼の約束は2月11日に実現した。





火曜日、ロドリゴ・ドゥテルテ氏は、米国との訪問軍協定(VFA)の終了を政府に命令し、事後通知をワシントンに送るようサルバドール・メディアルディア官房長官に指示した。



サルバドール・パネロ大統領報道官によると、終了通知はテオドロ・ロクシン外相が既に署名を済ませてワシントンに送付されたため、米軍が国内に滞在し合同演習を行うためのこの正式な許可は破棄された。しかし、この協定には何が明記されていたのか?また、この展開は米比両国の軍事協力の将来にどのように意味づけられるのか?





VFAとは何だったのか?





VFAは、1991年に比上院が軍事基地協定の更新を拒否したことを受けて1998年にフィリピンと米国の間で署名された協定だった。1999年に発効したVFAには、現在も有効な相互防衛条約の下で第3国による武力攻撃があった場合に相互の国を防衛するための両国の義務が示されている。



陸軍・海軍・海兵隊・空軍・沿岸警備隊を含む米軍軍人によるフィリピン国内での訓練がこの協定により可能となり、また、一時的な駐留についての諸規則や指針についても具体的に述べられていた。また、VFAに明記された諸活動や合同軍事演習に関連する軍事装備品・航空機・諸物資の輸出入や移動の条件についての概要も定められていた。







© AP Photo / Bullit Marquez

フィリピン北東部のアウロラ州カシグラン町で進む米比合同軍事演習、2017年5月15日月曜日






訪問軍協定は地位協定(SOFA)と似ているのが通例だが、小さな相違点もある。SOFAは、外国軍の一時的な訪問だけでなく、受入国に駐留する外国軍に関する諸規則についても概要を定めている。米国は世界最大の海外派兵国であり、そのため、日本や韓国との協定を含め世界各地で最大数のSOFAを結んでいる。米国は1945年のフィリピンの正式な独立を受け、同年より同国内での軍事プレゼンスを維持している。



この米比協定はマニラから通知を受領した時点から180日間有効だ。両国はこの期間に現在の協定を維持するか、別の協定に置き換えるかを決めることが出来る。







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米陸軍特殊部隊の隊員2人がフィリピン軍隊員の傍らでM4カービン銃を握り、軍事基地入口の検問所で配置に付いている






VFA終了はどのような意味を持つのか?





VFAの破棄は、ドゥテルテ氏の麻薬戦争のキーパーソンであり米国が様々な機会に批判してきた、元国家警察長官のロナルド・デラ・ローザ上院議員への米国ビザの取り消しにより引き起こされた。この協定の破棄は、フィリピンの内政問題に干渉するワシントンの主張とマニラが理解した事柄による影響だと、同国は主張した。



クラーク・クーパー政治軍事担当米国務次官補によると、数百件の2国間の「取り組みや訓練」が悪影響を受けるため、この協定の終了が米比の軍事協力に大きな影響を与えることは確かだ。




月曜日、その当局者は電話による説明で「米国はフィリピンと2国間で約300件の取り組みや訓練を行っている」と述べた。



フィリピンは今後も、米国がインド太平洋地域においてこれらの種類のVFA協定やSOFA協定を結ぶ数少ない場所の1つとなるため、ワシントンは世界のこの地域における軍事プレゼンスの複雑化を望まないようだ。




「米国は比米訪問軍協定の終了により、東南アジアと南シナ海における前方への軍事プレゼンスを維持し、さらにその先へ活動を広げるための主要なハブを失うことになる」と、フィリピン大学海洋問題・海洋法研究所所長であり同大学法学部准教授のジェイ・バトンバカル博士は述べた。



彼はまた、この展開が「米国の安全保障の傘を太平洋の方に押し遣る」可能性があることを示唆した。







© AFP 2019 / TED ALJIBE

2016年4月14日に撮影されたこの資料写真には、マニラの北・キャパス町のクロウバレーで実施された「バリカタン」米比軍事演習の仮設キャンプで、輸送車や水陸両用車の隣を歩く米国海兵隊員が示されている






しかし、フィリピンは過去4年間に米国から5億5,000万ドルの安全保障援助を受けているため、マニラはワシントンとの軍事協力から恩恵も大きく受けている、とロクシン氏は以前に述べていた。また、同国は国軍軍人のための情報と訓練も受けてきた。



ジェイ・バトンバカル博士は、フィリピンは協定の終了により「自国の軍事能力を近代化するために必要な時間・機会・資源を失い」、そのために、国の近代化のプロセスが後戻りするだろうと考えている。




「現行の比米同盟は双方の海上の利益も守っていたため、これがなくなると日本や豪州のような他の小国も自国の地域的な安全保障戦略を考え直す必要に迫られるだろう。これら全てが地域に不確実性をもたらす」と、バトンバカル氏は結論づけた。



ドゥテルテ氏の動きは、米国の政策に全然満足しないベトナムや他のアジア諸国などの他の国々を付け上がらせて、現行のVFA協定やSOFA協定から脱退させる可能性を生むため、米国と他国の軍事協力に更に深刻な影響を及ぼすかも知れない。



しかし、メリーランド大学公共政策学部教授で政治アナリストのジョン・ショート氏は、このフィリピンの動きはドゥテルテ氏が中国寄りの姿勢を強めた結果であり、他の国々がこれを反映させることは「まずなさそうだ」と考えている。







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「ドゥテルテ氏の決定は、2016年の就任から彼が追求してきた中国に軸足を置く外交方針に因るものだ」とショート氏は主張した。「彼は南シナ海の海底資源を開発するために中国との石油・ガスの共同調査に署名し、フィリピンが海の主権を主張することの後押しを殆ど控えるようになった」。







またこのアナリストは、ワシントンは恐らくフィリピンがドゥテルテ氏の退任後に「米国寄りを強めた通常の状態に戻る」ことを望んでいると結論づけた。しかし、ショート氏によれば、中国は今やこの地域において「支配的な経済・軍事大国として」米国に取って代わる途上にある。





タグ: 訪問軍協定, ベトナム, ロドリゴ・ドゥテルテ, 米国, フィリピン









(投稿者より)



"Duterte’s move could have more severe consequences for US military cooperation with other states, as it could potentially embolden other nations, such as Vietnam or other Asian states none to too satisfied with American politics to leave existing VFA and SOFA agreements." 「ドゥテルテ氏の動きは、米国の政策に全然満足しないベトナムや他のアジア諸国などの他の国々を付け上がらせて、現行のVFA協定やSOFA協定から脱退させる可能性を生むため、米国と他国の軍事協力に更に深刻な影響を及ぼすかも知れない。」 で良いと思います。ただ実際には、ベトナムは米国との間でこのような協定を結んでいないようです。