視点;パレスチナの処遇をめぐる強行解決策「世紀の取引」と西アジアの安全保障体制 (Pars Today)

視点;パレスチナの処遇をめぐる強行解決策「世紀の取引」と西アジアの安全保障体制 (Pars Today)









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視点;パレスチナの処遇をめぐる強行解決策「世紀の取引」と西アジアの安全保障体制





1月 29, 2020 21:21 Asia/Tokyo







トランプ大統領とネタニヤフ首相





パレスチナの処遇をめぐる強行的な解決策、通称「世紀の取引」が遂に、シオニスト政権イスラエルのネタニヤフ首相、さらに一部アラブ諸国の大使らの立会いのもと、アメリカのトランプ大統領によって発表されました。





ここで重要な疑問が生じてきます。それは、この案が果たして西アジア地域の安全保障体制にどのような影響をもたらすか、ということです。



この計画の最も重要な結果として考えられるのは、西アジア地域での情勢不安や騒乱、暴力が加速の一途をたどるだろう、という事です。



現代における国際関係はもはや、1人の人物が自分の国と無関係の地域の国のために決断を下すことができる、あるいは他者やほかの国もその実行をを強要される、というものではありません。現代は「人類の覚醒」の時代であり、この目覚めの傾向はこの10年間、特に西アジア地域で顕著になっています。



西アジアにおける覚醒の明白な兆候の1つに、ISISに代表されるテロ組織形成に米国の関与が明らかになったこと、この種のテロ組織と抵抗勢力との戦いが挙げられます。



人種差別的な「世紀の取引」においては、確かに各抵抗勢力武装解除が強調されているものの、米国によるこの発案にパレスチナ抵抗勢力が応じる予定はなく、むしろ各抵抗勢力は以前から一致団結してこの計画に反対し、見解を同じくしています。



トランプ大統領の娘婿でもあるクシュナー大統領補佐官は、トランプ大統領の計画によりイスラエルにとっては地域でより確実な安全保障の恩恵にあずかるチャンスが出てきた、と主張しています。しかし、この計画はイスラエルにもさらなる情勢不安をもたらすと考えられます。この点に関して、パレスチナイスラム抵抗運動ハマスは、この強行的なプランに強く反発し、「このプランが公開されれば、占領地イスラエルにおける事態の爆発を招くだろう」と表明しました。



「世紀の取引」による第2の影響・結果は、米国とシオニスト政権イスラエル西アジア地域における真の悪の枢軸であることが証明される、というものです。この強行策は、西アジアにさらなる悪をもたらす以外の何ものでもなく、またこの悪とは、米国とイスラエルの政策が西アジアにもたらす産物そのものなのです。



そして、第3に考えられるのは、この恥ずべき計画の発表の場に一部アラブ諸国の大使らが出席し、発表後にサウジを初め他のアラブ諸国がこの計画を支持したことで、西アジア地域でサウジ主導の融和・和解の枢軸がパレスチナ支持など考えておらず、公然とイスラエルの利益にそった歩みを踏み出すことが、明白に証明されたということです。



それは疑うまでもなく、この強行策の発表後にレバノンシーア派組織ヒズボッラーが、「一部アラブ諸国の軍事上の裏切りや共謀がなかったら、この計画が発表されることはなかっただろう」と表明しているとおりです。さらに、イスラム教徒の諸国民は決して、世紀の取引を支持するアラブ諸国の裏切りを忘れる事はないでしょう。



最後に、トランプ大統領がこの強行策を発表する前後に、パレスチナ人の状況や彼らの苦しみを懸念していると主張していたことが指摘できます。しかし、肝心の(世紀の)取引プランにおいては、ガザ地区の封鎖の終結、さらにはパレスチナ人が味わう困難に関しては一言も触れていません。



パレスチナガザ地区は2006年から現在まで、イスラエルにより全面的に封鎖されています。その結果この地区の住民にとって世界最大の青空刑務所が形成され、世界最大の人道上の大きな悲劇が発生しています。しかし、トランプ大統領はこの点にすら言及しないで、パレスチナ人は平和と安全の中で暮らすべきだ、と主張しているのです。







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