「人質司法:ゴーン氏の例」(Sputnik日本・RFI English・法務省)

人質司法:ゴーン氏の例」(Sputnik日本・RFI English・法務省











(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/life/202001157013905/





日本の司法制度は「人質司法」=国際人権団体







© AP Photo / Eugene Hoshiko





社会





2020年01月15日 14:18(アップデート 2020年01月15日 14:20)





トピック 日産ゴーン事件






国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク)は14日、世界の人権問題をまとめた年次報告書を公表した。その中で、日本の司法制度を「人質司法」と表現し、「嫌疑をかけられた者は、長期間厳しい環境で身柄を拘束され、自白を強要される」と非難した。朝日新聞が報じた。







© REUTERS / Mohamed Azakir

レバノン検察当局、ゴーン被告の出国を禁止






年次報告書は、2018年後半から19年11月までの人権問題を取り上げている。その中で日本の司法制度に触れ、日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告の事件を機に「再び注目が集まった」と言及。



報告書では、一部の事件で取り調べの録音・録画を義務づける刑事司法改革関連法が日本で16年に成立したことも取り上げた。ただし、日本の刑事訴訟法は保釈の可能性がないまま、容疑者を起訴まで拘束することが可能で、取り調べには弁護人の立ち会いも認められていない、として、不十分との立場を示した。



容疑者や被告の長期間におよぶ身柄拘束についてはこれまで国連の規約人権委員会や拷問禁止委員会も懸念を示していた。





関連ニュース







トピック 日産ゴーン事件





タグ 人権問題, カルロス・ゴーン, 日本














(Japanese legal system under scrutiny after Ghosn escape from 'hostage justice': RFI English)

http://www.rfi.fr/en/asia/20200109-ghosns-escape-sheds-light-japanese-legal-system





カルロス・ゴーン





ゴーン氏の「人質司法」からの逃亡により、日本の法制度に厳しい視線





発表:2020年1月9日15:45 更新:2020年1月14日13:24








巨大画面がカルロス・ゴーン氏の記者会見を映す、2020年1月9日東京にて。

REUTERS/Issei Kato





文:RFI






この元ルノー・日産会長の日本からの大胆な逃亡は、彼が初めて公の場に姿を現したことで日本の法制度の闇を照らし出した。





カルロスゴーン氏は、日本の有罪判決率の高さから130日間の起訴前勾留中に自身が直面した状況まで、全てを非難した。



日本の当局者たちは彼の批判のいくつかに回答したが、日本における彼の弁護士・高野隆氏が投稿したブログ記事では、ゴーン氏は現在のシステムには固有の問題があると述べた。





ゴーンが何度も弁護士に尋ねた主な質問の1つは、「公正な裁判を期待できるか」ということだった。



「残念ながら、この国では刑事被告人が公正な裁判を期待することは出来ない。裁判官は独立していない。彼らは官僚機構の一部だ。しかし、多くの日本人はこのことに気づいていない。あなたも気づかなかった。あなたは日本の大企業のCEOとして20年間働いてきたが、日本の司法の現実については何も知らなかった。」





有罪判決率





ゴーン氏によると、主な問題の1つは99%という日本の有罪判決率だった。この数字に世界中の多くの検察官が羨ましがるかも知れない。



森雅子法務相は、検察は「無実の人が苦しむのを避けるために、十分な証拠に基づき裁判所が有罪とする可能性の高い容疑者だけを起訴する」と説明し、ゴーン氏に返答した。





起訴前勾留とその状況





ゴーンは、2018年11月の逮捕から2度に分けて4か月を超える勾留期間を過ごした。



彼も彼の弁護団もこのような長期勾留を「人質司法」と呼び、彼の意思を挫いて財務上の不正容疑について自白を強要するための検察側の戦略に過ぎないと主張した。



しかし日本の検察は、ゴーン氏は逃亡の恐れが大きいと感じたので彼を拘置所内に留め置くために最大限の努力をしたと、説明した。



小菅の東京拘置所で彼が経験した取り調べも、それに加わった。



ゴーン氏は、弁護士の付かないまま24時間通しで取り調べを受けたと語った。



「テロリスト、窃盗犯、政治家、カリスマ企業経営者、誰であれ逮捕された場合は23日間勾留される。そして、彼らは弁護士の立ち会いなしに連日5〜6時間、時には一晩中取り調べを受ける。罪を自白しない場合、彼らはいつまでも勾留されることがある。日本は人権の保証された文明国だと誰もが信じている」と、高野氏はブログで指摘する。



当局はこの政府機関の新しい記事の中で、自分たちは取り調べを管理する規則を守っていると主張し、取り調べはビデオテープに録画され、被疑者は質問に答えることを拒否できる。また、勾留中の人々は取り調べ時間外に弁護士に会う権利を持つと付け加えた。





保釈条件





また、ゴーン氏身柄の解放に関する厳格な保釈条件についても語り、これを懲罰的な条件と呼んだ。



彼は2度に亘り保釈を勝ち取ったが、自宅は監視下に置かれるとの了解があったので、インターネットへのアクセスは弁護士事務所のみで行われ、妻との接触も制限された。





ゴーン氏は、特に妻との接触の制限は彼を「壊す」ために行われたもので、主にこの規則が動機となり彼は逃亡を決めたと語った。





カルロス・ゴーン フランス 日本 逃亡 司法













法務省

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/20200105.html





法務大臣コメント(カルロス・ゴーン被告人関係 -ウォールストリートジャーナル紙記事への反論寄稿)-令和2年1月15日(水)





※令和2年1月2日付け及び同月9日付けのウォールストリートジャーナル紙の記事に対して,森法務大臣から反論文を寄稿し,その内容が本月14日付けウォールストリートジャーナル紙ウェブ版に掲載されています。





1月9日付社説「Ghosn, Baby, Ghosn」及び1月2日付「The Carlos Ghosn Experience」は,日本の刑事司法制度を正確に踏まえていない。



日本では,逮捕するためには,いくつかの民主主義国と違って,現行犯逮捕の場合を除き,裁判官の許可が必要とされる。このうち,検察官は十分な証拠があり,重要な事件に限って起訴をする。刑事裁判での当事者になること自体が被疑者の負担を増すからだ。検察官が起訴する事件の割合は37%である。



「有罪率が99.3%」は,起訴に至った件数を分母にした有罪判決者数の率であって,事件を犯した者の総数を分母にしていないので,それは高い数字にならざるを得ない。



だから,起訴すべきか否かの判断をするための捜査や取調べは,おのずと精確になる。しかし,不当な取調べによって自白が追及されないように,被疑者には黙秘権があり,弁護士と立会人なしに接見をする権利がある。弁護士同席でないことで,不当な取調べが行われないことを検証できるように,取調べの録音,ビデオ撮りが行われている。そもそも,日本国憲法は,強制された自白を証拠とすること,自白のみにより有罪とすることを禁じている。



起訴した後,裁判開始前でも,証拠隠滅や逃亡のおそれがなければ,保釈が認められ得,配偶者と会うことも過ごすこともできる。検察当局によると,ゴーンの妻キャロルについては,最近,ゴーン被告の事件関係者とやり取りをしたことを偽証した疑いで裁判官から逮捕状が発付された。



日本の刑事訴訟は,複数の過程を経ながら,そこには裁判官によるチェックも含めて慎重に進められる構造になっており,その間の被疑者・被告人の権利にも細心の注意を払っている。



また,日本のコーポレート・ガバナンスが進展していることは,最近の複数のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事でも報じられている。半世紀も前に使われた「日本株式会社」を,埃を払って取り出して,政府と企業の陰謀を説くことに説得力はない。





法務大臣 森まさこ





英語版ページはこちら