先進国が「日本化」も、来年の世界経済は衰退を回避へ(チャイナネット)

先進国が「日本化」も、来年の世界経済は衰退を回避へ(チャイナネット)











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先進国が「日本化」も、来年の世界経済は衰退を回避へ





タグ:経済 国際貿易 製造業





発信時間:2019-12-16 15:28:39 | チャイナネット |






今後5−10年間の世界経済情勢について、学術界及び一般人の間では悲観ムードが漂っている。世界経済がいつ衰退に陥るかについても、熱心に議論されている。しかし現在の世界政治・経済情勢に基づき客観的に分析・判断した筆者は、世界経済の最も危険な時が過ぎ去ろうとしており、世界経済が来年衰退に陥ることはないと判断している。



世界経済は低成長時代を迎えるが、これは言うまでもないことだ。先進国は現在「日本化」、すなわちデフレ、低金利、低成長に陥っている。解決策も日本にならった「マイナス金利」だ。欧州はすでにマイナス金利化しており、米国もマイナス金利時代に向かっている。発展途上国の成長も勢いを失っており、ラテンアメリカ諸国ではドミノ倒しのように問題が生じ、「中所得の罠」が再来している。経済成長の重要エンジンの一つであるアジア諸国では内向き志向が強まり、投資と消費が経済成長の主な動力になっている。高成長も維持しがたく、経済成長率が6%以下に落ち込む可能性がある。先進国の経済成長率は今後一定期間に渡り2%前後で推移し、発展途上国は全体的に4%前後に戻る。世界経済は全体的に3−3.5%のやや低い成長率になる可能性が高い。また債務危機、世界の労働生産性の低下、高齢化などの構造問題により、今後10年の世界経済を楽観できない。



しかし具体的な来年については、ファンダメンタルズを見る限り世界経済が衰退に陥る可能性は低く、成長率が今年をやや上回る可能性がある。これは次のいくつかの面から理解できる。



まず、世界経済の最も危険で苦しい時期が過ぎ去ろうとしている。世界の主要国は逆周期調節措置を講じ始めており、リスクに備えている。



国際貿易は今年5月より、下げ幅が拡大する新たな時期を迎えた。世界経済は8、9、10月に最も苦しい時期を迎えた。世界の製造業は2012年ぶりの疲弊を示した。米国、ユーロ圏、中国という3大経済体の製造業PMI(購買担当者指数)が軒並み低下し、ユーロ圏のドイツの製造業PMIは9月に41.7ポイントという確定値をつけ、2009年6月ぶりの低水準となった。中国のPMIは11月に50.2に落ちた。その他の主要国のPMIは50以下だが、その前の3カ月と比べると回復傾向を示した。



危機は往々にして、誰も危機を感じない時に生じる。世界の各主要経済体は危機の脅威を感じ、逆周期調節措置を講じ始めており、その成果が徐々に顕在化している。中国は4月から逆周期調節を開始しており、欧米諸国は8、9月に危機を感じると逆周期調節措置を講じた。米国が8月に利下げを決定すると、30数カ国がこれに続いた。米国、欧州、日本が量的緩和を再開した。これらの逆周期調節の措置は10月以降、徐々に効果を発揮している。世界の経済データは徐々に好転している。



次に、中国と米国の来年の経済情勢はそれほど悪くならない。中米が衰退しなければ世界的な衰退が発生することはなく、世界経済が急激な低迷を迎えることもない。



中米両国は世界経済、国際貿易、世界の直接投資などのメインエンジンで、世界経済に対して大きな影響力を持つ。国際通貨基金IMF)の速報によると、昨年の米国の経済規模は20兆5000億ドルで世界経済の24.3%、中国は13兆4570億ドルで16%を占めた。より重要なことは、2大経済体の世界経済成長への寄与度が合計で51.7%にのぼることだ。中米に大問題が生じなければ、世界経済は緩やかな成長を維持できる。



米国の経済は主要先進国の中で最も好調で、依然として抜きん出ている。米国の昨年の経済成長率は2.9%。IMFは今年の成長率を2.4%、連邦準備制度理事会FRB)は2.3%と予想しており、来年は2.1%になる見通しだ。各界は今年に入り、米国が衰退に陥ることを懸念している。しかし米国は製造業が衰退するなか、力強い消費と雇用を維持している。成長率低下の流れは変わらないが、米国は衰退を回避するため政策を調整し、刺激を実施する余裕がある。



11月に発表された最新の「OECD経済見通し」によると、世界経済の77%を占める上位16カ国の経済成長率と比べると、中国の今年の経済成長率はすべての主要大国を上回る。中国経済は来年6%前後まで減速する可能性があるが、中国経済の規模がすでに13兆ドル以上に達していることから、これほど大規模な経済が6%前後の成長を実現できれば、来年の世界経済の安定的な発展を支える重要な要素になる。



来年は中米にいずれにとっても非常に重要だ。米国は大統領選を控えており、トランプ氏はすべての手段を惜しまず成長を維持する。これにはFRBの利下げ、個人所得税の減税などが含まれる。中国にとって来年は重要な締めくくりの年、1つ目の百年の2つの倍増の3大攻略戦を終える。中国も安定成長の措置を講じる。



最後に、今年の貿易摩擦及び世界経済の低迷を受け、世界が理性を取り戻しつつある。大国は国際的な責任をより重視している。来年の地政学的環境が大幅に悪化することはないと信じる理由がある。またグローバル化には根本的な逆転が生じておらず、また放棄されてもいない。グローバルガバナンスの構造問題が残されているが、問題は解消中であり、具体的な問題を解消する関連メカニズムも徐々に構築されている。これも来年の経済情勢を判断する積極的な要素だ。(筆者・中国現代国際関係研究院世界経済研究所元所長)





「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年12月16日