「中村哲医師、アフガニスタンで銃撃され死亡 現地で井戸を建設」 (BBC)

中村哲医師、アフガニスタンで銃撃され死亡 現地で井戸を建設」 (BBC)











https://www.bbc.com/japanese/50657223





中村哲医師、アフガニスタンで銃撃され死亡 現地で井戸を建設





2019年12月4日







Getty Images

Dr Nakamura headed a Japanese charity and served in rural areas of Afghanistan

[中村医師は日本の慈善団体を率いてアフガニスタンの農村地域で活動した]






アフガニスタンで長年、現地住民の生活環境の改善に尽くした日本人医師の中村哲さん(73)が4日、現地で銃撃され死亡した。



当局者らによると、中村さんはこの日朝、アフガニスタン東部ジャララバードを車で移動していたところ銃撃を受けたという。灌漑(かんがい)用水事業の進行を確認していたとされる。



AFP通信が当局者の話として伝えたところでは、中村さんは右胸付近を撃たれた。ジャララバード空港から首都カブール近郊の病院に運ばれる途中、死亡が確認された。



中村さんのほか、5人のアフガニスタン人も死亡した。ナンガルハル州知事の報道官によると、うち3人は警備員で、1人は運転手、もう1人は同僚だという。



犯行声明は出ていない。襲撃の狙いも不明。







Reuters

フロントガラスには少なくとも3発の弾痕が残されていた








AFP

中村さんたちはこのピックアップトラックに乗っていた






ロイター通信は、地元議員の話として、犯人たちは逃げたと伝えた。



現場写真では、白色のピックアップトラックのフロントガラスに、少なくとも3発の銃弾の痕が残っているのが確認できる。





10月には名誉市民の称号





中村さんは、アフガニスタンで井戸の建設などに取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」を率いていた。



長年の人道支援が評価され、10月にはアフガニスタン政府から、名誉市民の称号が贈られていた。



安倍晋三首相は4日、記者団に「本当にショックだ。ご冥福をお祈りしたい」と語った。



一方、カブールの米国大使館は、「支援者は標的ではない」として、今回の襲撃を非難した。



ただ、今回のような襲撃はアフガニスタンではよく起きている。



先週も、同国の国連機関で働いていた米国人が、国連の車両を狙った爆破に巻き込まれて死亡した。



BBCのまとめでは、アフガニスタンでは今年8月、毎日平均74人が殺害されていた。男性、女性、それに子どもも含まれていた。



ペシャワール会では2008年、農業支援スタッフの伊藤和也さん(31)が武装集団に拉致され、現地運転手と共に遺体で見つかった。





アジアのノーベル賞に輝く





中村さんは1946年、福岡市生まれ。日本で医師となった。1984年にパキスタンへ移り、ハンセン病患者の治療に当たった。



2年後にはアフガニスタンへ渡り、ナンガルハル州に最初の診療所を開設。また、非政府組織(NGO)「ピース・ジャパン・メディカルサービス」(PMS)を設立した。



PMSは一時、アフガニスタン国内10カ所に診療所を開設し、ハンセン病患者や難民を救援していた。



中村さんはまた、清潔な水がなくコレラなどの感染症に苦しむ人々のため、井戸や灌漑(かんがい)設備の設置にも力を入れた。



2003年には、アジアのノーベル賞とも呼ばれるマグサイサイ賞を受賞した。







AFP

Dr Nakamura has been recognised for his work

[中村医師の業績は高く評価されている]






2014年に日系英字メディア「ジャパン・タイムズ」の取材に応じた中村さんは、安全を確保するために毎日、異なるルートで仕事に出かけていると話していた。



一方で、安全対策として最善なのは「誰とでも友人になること」だと語った。



「敵を作らないようにしています。(中略)たとえ信念がないと思われようと、最も良いのは誰とでも友人になることです。私がここで頼りにできるのは人間だけですから」



「そしてこれが、銃を持ち歩くよりも効果的なんです」





続々と哀悼の声





アフガニスタンでは、多くの人が中村さんの死を悼んでいる。



アフガニスタン・オランダ大使のエルンスト・ヌーマン氏は、中村さん殺害は「無分別な行為」だと述べると共に、中村さんは「アフガニスタンの平和と発展」に命を捧げていたと話した。



また、アフガニスタンのセディク・セディッキ大統領報道官もツイッターで、「(中村さんは)アフガニスタン国民の生活を変えることに一生を捧げた」と哀悼の意を表した。



あるツイッターユーザーは、「彼は日本からはるばるアフガニスタンにやってきて、貧しい人々に飲み水と農業用水をくれた」と語った。



「きょう、アフガニスタンは真の英雄、真の奉職者を失った。彼はアフガニスタンの弱い立場の人々の治療に人生を捧げた」という投稿もあった。





(英語記事 Japanese 'hero' among six dead in Afghan attack





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https://www.bbc.com/japanese/video-50708988











中村哲医師の遺体が帰国、アフガン大統領らに見送られ





2019年12月9日





アフガニスタンで長年、現地住民の生活環境の改善に尽くした日本人医師の中村哲さん(73)の遺体が8日午後、日本に到着した。



中村医師は4日、東部ジャララバードを車で移動していたところ銃撃され死亡した。 ほかに、アフガニスタン人5人も犠牲になった。



首都カブールの空港では7日、追悼式典が行われ、アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領が自ら棺を担ぎ、中村医師の死を悼んだ。



これまでのところ犯行声明は出ていない。