経済低迷で日本の「引きこもり」が増加 社会復帰か反逆か(人民網日本語版):阿修羅♪

経済低迷で日本の「引きこもり」が増加 社会復帰か反逆か(人民網日本語版):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/18/social10/msg/220.html







http://j.people.com.cn/n3/2019/0613/c94476-9587393.html





経済低迷で日本の「引きこもり」が増加 社会復帰か反逆か





人民網日本語版 2019年06月13日09:20





このほど、日本の元政府高官の熊沢英昭容疑者が自宅に引きこもっていた息子を殺害した。その少し前に神奈川県川崎市で起きた殺人事件の岩崎隆一容疑者(51)も引きこもりで、80歳を過ぎた伯父・伯母と同居し、普段は伯父たちと交流することも外出することもなかった。この事件は日本社会に激震をもたらした。世論では、川崎の殺人事件と熊沢家の悲劇が繰り返し映し出すのは、家に閉じこもり、社会との接触を拒絶する日本の引きこもりが社会の秩序を破壊し不安をもたらす事件の元凶になる可能性があるということだ。





▽引きこもりとは何か?





1990年代、日本経済は低迷し、それまで安定していた労働構造が崩れ始め、働くことへのプレッシャーが増大し、大勢の若者がつまずいて立ち上がれなくなった。狭い世界にとどまることを好み、外部との接触はほとんどなく、自分を失敗者、無用の存在と考える彼らは、引きこもりと呼ばれるようになった。この現象は今でも続いており、日本社会を苦しめる難問の1つになっている。



引きこもりには次のような特徴がある。まず24時間家から出ず、生活用品はネットなどで購入する。外に出ても近くの店で生活必需品を買うだけだ。次に人との交流がない。交流しても生きるための最低限度の連絡だけで、たとえば食事の要求などにとどまる。さらにこの2つの特徴が半年以上続いていることだ。



引きこもりはどうやって生計を立てるのか。ネットで何らかの仕事をしている人もいるが、両親のすねをかじる人が多く、衣食住はすべて親が面倒をみている。





▽悲しき「8050」問題





今年3月に日本の内閣府が発表した調査結果によると、日本には39歳以下の引きこもりが約54万人、40-64歳の引きこもりが約61万人にも上り、40-64歳が39歳以下を上回り、引きこもりと言えば若者というこれまでのイメージを覆した。また引きこもりは男性が多かったが、最近は女性も増えていることがわかった。



80歳の親が50歳の子どもの面倒をみる。この世代の親たちは経済の高度成長期に資産を相当蓄えていて余裕がある。しかし老齢にさしかかった親たちは、今や自分の健康問題や介護問題に直面しなければならず、子どもに対しては気持ちはあっても力が及ばない。日本人に特有の羞恥心が、こうした親たちに行政機関や民間の支援団体に助けを求めることをためらわせ、経済的に困窮しても救いの手をさしのべることをさせない。その結果、高齢の親と中年の子どもが家で餓死するという事件がたびたび起きるようになった。



さらに軽視できないのは引きこもりの心の問題だ。中年の引きこもりの約4割が、「悩みはあっても誰にも相談しない」と答えた。こうした世間と隔絶した暮らしは偏った性格を形成しやすい。実際、最近の日本社会を揺るがした2つの事件の背後には、どちらにも引きこもりの姿があった。





▽なぜ家に閉じこもるのか?





早稲田大学の専門家によると、「引きこもりには日本社会の現状が反映されている。日本人はルールを強調し、個人の価値が集団のルールを守る能力に体現されている。引きこもりはこのような価値を実現できない人々で、自分は役に立たない存在と思い、それを恥ずかしく思い、社会に出ていくことができず、自責の念に駆られている」という。



このほか学校でいじめに遭う、仕事が見つからない、職場になじめないなども、引きこもりの原因になる。



日本の精神科医斎藤環さんは、メンツが引きこもりを生み出す最大の要因との見方を示す。引きこもりは、社会から遠ざかる時間が長ければ長いほど、人との関わりで失敗したという挫折感が強くなり、普通の暮らしに戻るのが難しくなる。こうした人々は自分を社会における「失敗者」と考えており、自尊心と自信が絶えず傷つけられているため、家を出るのが徐々にとても恐ろしいことになっていく。より困ったことは、引きこもりの親はメンツを重んじて、数ヶ月も、時には数年も専門家に助けを求めずにいることがよくあり、専門的治療を行う最適なタイミングを失することが多い。



社会からのプレッシャーを受けて家に引きこもるだけでなく、世話をしてもらいたい、無条件に愛されたいという気持ちから引きこもる人も増えている。日本ではかつて、女性は結婚すれば家を出るのが普通で、男性は生涯、両親と一つ屋根の下に暮らす可能性が高かった。両親は子どもが大きくなると育てたことへの恩返しを願い、社会での活躍を期待していた。しかし多くの人はこの期待に応えられず、重圧に耐えかねて引きこもる人が大勢出てきた。





▽社会復帰か反逆か





日本の社会問題専門家の一部は、「引きこもりは社会に受け入れられないと、社会に反逆し、破壊的要因になる可能性がある。悲しむだけでなく、悲劇に至った要因を掘り下げて考える必要がある」と指摘する。



また、「日本政府が民間と協力し、コミュニティレベルで若い人々に対する、特に引きこもりと呼ばれる人々に対するカウンセリングを強化する必要がある」との声も上がっている。日本ではいくつかの市民団体や組織で、引きこもりを集めて研修を行い、少しずつ社会に適応できるようにする取り組みを行っているところもある。



日本の各地には「引きこもり地域支援センター」があり、就労支援や心理ケアを提供し、引きこもりが家から出て、外の世界と接触するようサポートしている。各地の福祉事務所は引きこもり向けの職業訓練を設定し、レストランの調理や接客サービスを中心とした訓練を実施している。



引きこもりの中には何年も訓練を続けて少しずつ家から出られるようになった人もいる。2018年の秋田県の福祉事務所のデータをみると、訓練を受けた113人のうち、順調に再就職を果たしたのは30人だった。



「自分が死ぬ前に子どもが普通の生活を送れるようになるのを見たい」。これは引きこもりの子をもつ親の多くが心から願っていることだ。(編集KS)





人民網日本語版」2019年6月13日