日本の東電がフクシマ以後における原子力復権のために闘っている (DW English):阿修羅♪

日本の東電がフクシマ以後における原子力復権のために闘っている (DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/242.html









(Japan's Tepco fights for return to nuclear power after Fukushima: DW English)

https://www.dw.com/en/japans-tepco-fights-for-return-to-nuclear-power-after-fukushima/a-47836968





アジア





日本の東電がフクシマの後に原発再開のために闘っている





福島の事故から8年を経て、東電が運営する柏崎刈羽原発の再開準備が進行中だ。しかし、住民は第2の災害を恐れている。キヨ・ドラーが柏崎から報告する。











数十年前、エネルギーと農村の経済発展を渇望する日本にとって原子力は完璧な解決策と考えられていた。そして、福島に隣り合う県の眠ったような街・柏崎では、電気事業者・東電―2011年の福島の事故に対する責任を負う企業―が運営する柏崎刈羽原発(投稿者による和訳こそがその解決策と考えられていた。



柏崎刈羽原発はフル稼働した場合に1600万世帯に電気を供給する能力を持つ世界最大の発電所だ。しかし、福島第一原発の事故以来、7基の原子炉は全て停止中だ。津波に襲われた隣の県・福島の原発を除けば、東電に残る原発はこれだけだ。



東電は怠慢だと繰り返し批判され住民に損害賠償を支払うよう命令を受けた。福島原発の除染は大きな頭痛の種だが、8年経ってもなお事故の原因はまだ判明していない。





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作業員たちは再開に備えて発電所の点検を行ってきた





福島の大事故の原因は未だに分からない





しかし論争の最中の2017年、日本の原子力規制委員会福島原発の東約250km(155マイル)の日本海沿岸に位置する、東電の原子炉2基の再開に向けた長期に亘る作業の開始にゴーサインを出した。再開のための準備が進む柏崎刈羽原発の原子炉6・7号機は、いずれもメルトダウンを起こした福島の原子炉と同型だ。



今回は全てが違ってくるだろうと、柏崎刈羽の玉井俊光副所長は施設を見学する訪問者たちにきっぱりと言う。福島の再発に対する恐怖を消すために、東電は15m(49フィート)の壁を建設した。これは想定できる最も高い津波に持ち堪えられるよう設計されている。



原子炉建屋は強化され、メルトダウンの場合でも大気中に放射性物質を0.01%しか放出しない―東電によれば―ようフィルターが設置された。大災害が発生した場合に2カ所の貯水池がタンクの役割を果たし、ディーゼル発電機を積んだトラックの部隊が4.2平方キロメートルの敷地内を監視しており、福島で起きたような停電が発生した場合に緊急電源を供給する用意が出来ている。





状況はウィンウィンか?





東電から見ると、再開は必要であり状況はウィンウィンだ。「私たちは福島の責任を背負うという使命を果たさねばならない。福島原発廃炉の支払いに必要な収益を上げることはその一部だ」と、玉井氏は語った。日本政府は福島の除染と補償に掛かる費用を22兆円(1980億ドル)と推計しているが、シンクタンク日本経済研究センターは最大で総額70兆円と見積もっている。



東電はまた、再開はエネルギーの自立化政策を再び進めるために必要な一歩で、そうすることで国の安全保障に貢献できると見ている。さらに、地元住民にも利益が見込まれる。一般的に発電所は6000人を超える労働者を雇用し、その60%は地元に住む人々だ。原子炉2基の運転再開は更に多くの職を生み、地元が待望する経済の活性化をもたらすと、東電は述べる。





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海岸に位置する柏崎刈羽原発津波に対して開かれたままだ





住民の大多数は原子炉に反対





しかし、地元住民は東電のストーリーを全て買っているわけではない。経済活性化の希望は殆ど人気のない商店街に空しく響く。かつて賑わった街の中心もいまや店先はシャッターだらけだ。他の地方の街の多くと同様に、柏崎は人口の高齢化と農村からの人口流出の激化がもたらす経済問題の犠牲者となった―この傾向はいかなる原発も変えることが出来ない。



昨年の知事選挙の出口調査によれば、柏崎が位置する新潟県の60%を超える住民が原発の再開に反対している。地元住民は準備の間に発生した数々の事故に対して警戒感を抱いている。2018年12月には原子炉7号機と非常用予備電源を接続するケーブルが原因不明の火災を起こし、最近では2月28日に停止中の原子炉1基の内部の炉心から放射能を帯びた水が漏出した。



「正直に言えば、私たちはひたすら思い続けている。もう御免だ!彼らは1歩前進すれば3歩後退する」と、柏崎市街で寿司店を営むオリベ・ツトム氏は語る。「私たちは何が起こり得るかについて十分過ぎるほど学んだ。」



「東電が福島で何が起きたかすら分からないなら、誰もその会社に原発の再開を任せるべきでないと、私は思う」と、地元議員を引退した古くからの反原発活動家・武本和幸氏は語る。





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「東電は仮説を扱っているに過ぎない」





柏崎出身の元東電技師・蓮池透氏もまた安全対策について懐疑的だ。「福島と全く同じ津波が再び発生した場合、柏崎刈羽メルトダウンを止められるだろうと思う。しかし、自然はそのように働かない。東電のやっていることは仮説を扱っているに過ぎない。」



安全対策には構造的なレベルの問題も含まれる。防潮壁は基礎の深さが不十分なため、地震が起きた場合に壁の底部の地面が液状化しやすくなり倒壊をもたらす可能性があると、日本の原子力規制委員会は指摘した。



液状化はまさに柏崎特有の問題だ。このような地区に原発を作ることは最初から間違いだった」と、武本氏は主張する。



しかし、柏崎刈羽原発を大規模地震が不意に襲ってもそれが最初ではない。2007年にマグニチュード6.8の地震がこの地区を襲い、原子炉の1基に火災を引き起こした。他の3基は恒久的に止めざるを得なくなった。





政府は原発を推し進める





しかし、ドイツを含めた他の数々の先進国は原発による電力生産を抑制しつつあるのに、日本では原発への回帰が政府の最優先課題となっている。安倍晋三首相が昨年発表した計画では、原発による電力生産を現在の2%から2030年までに20~22%に上げる目標を掲げている。再生エネルギーの占める割合は現在の15%から22~24%に引き上げる考えだ。



福島の事故のために数十基の原子炉全てが停止した後、9基が準備を終えて再び運転している。柏崎刈羽の場合、発電所の運転再開の是非についての最終決定は地元の政治家の手に委ねられたが、次の県議会選挙は4月に予定されている。





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発表 2019年3月11日

記者 Kiyo Dörrer

関連テーマ エネルギーヴェンデ(再生可能エネルギー源への転換), 福島, チェルノブイリ, 日本








※2019.3.22 訳文を見直しました。