日本は世界秩序維持の地域リーダーになるか?(Sputnik日本):阿修羅♪

日本は世界秩序維持の地域リーダーになるか?(Sputnik日本):阿修羅♪

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https://jp.sputniknews.com/opinion/201811225613093/





日本は世界秩序維持の地域リーダーになるか?







© Flickr/ Thilo Hilberer





オピニオン





2018年11月22日 10:01






リュドミラ サーキャン





「日本が躍り出るチャンスあり」という見出しで、アメリカの出版物The Foreign Policyが、政治学者で日本の安全保障の専門家であるRANDコーポレーションのジェフェリー・V・ホーナング(Jeffrey Hornung)氏の記事を掲載した。著者は、日本がグローバルリーダーの役割を担うことはできないだろうが、インド太平洋地域における国際秩序の維持という義務を負うチャンスはあるだろうと書いている。





スプートニク日本





彼によれば、トランプ大統領アメリカは、既存の世界秩序を維持するための軍事的、経済的、政治的関与を拒む傾向があるという。しかし、世界秩序を維持する必要性は依然としてあり、「日本が、少なくともインド太平洋地域においては、その主要な役割を果たす可能性がある」という。なぜなら、日本はそのための経済的、外交的、技術的、イデオロギー的な能力を備えており、憲法の制限があるとはいえ、軍事的な能力をも備えているからである。



ホーナング氏によると、もちろん、東南アジアの安全保障においてASEANは主要な役割を担っているが、この連合がアジア太平洋地域全体の国際秩序を管理することができるとは考えられないという。彼によると、インドはまだ地域リーダーの役割が担えるほどには成熟しておらず、韓国は朝鮮半島の情勢にあまりにも飲み込まれすぎている。経済規模から言えば、中国が地域リーダーに立候補することは可能だが、人権侵害、国際法違反、独自の地域構造を構築しようとする試みは、中国を自由秩序に対する大きな脅威に変えている。つまり、残るは日本だけなのである。アメリカのTPP撤退後、自由と法の支配と地域市場経済の保護に対する責任の大部分を負い、自由貿易を維持するための積極的な支持者となったのが他でもない日本なのである。また、日本は武力行使に関する憲法上の制限を撤廃することなく、国際秩序が直面する脅威を排除するために部隊を使用することもできる。このように著者は結論づけている。







© REUTERS / Kim Kyung-Hoon

アジア版NATOの創設は、トランプ氏による日韓訪問の目的の一つ?






ジェフェリー・V・ホーナング氏の考えはどれほど現実的なのだろうか? 日本は地域リーダーに「躍り出るチャンス」を利用するのだろうか?それを妨げるものとは?スプートニクのこうした質問に世界経済国際関係研究所アジア太平洋研究センターの専門家クリスティーナ・ヴォダ氏は、次のように回答した。「日本は、現代の世界秩序にしっかりと組み込まれ、その世界秩序から、経済発展の面でも、安全保障の面でも、大きなメリットを得ているプレーヤーです。安倍総理は、日本が国際的場裡でより積極的なポジションをとることを目指す方針をとっています。これは、日本の政治エリートによく見られると考え方と一致しています。それは、太平洋アジアにおける国際情勢の変化により、日本はより自立した外交決定と、防衛および外交政策におけるより大きな積極性を求められるだろうというものです。新たな挑戦に応えるために、日本政府は常に国内法を改定し、第二次世界大戦の敗者として負うこととなった自制を外し、外交政策と防衛政策の可能性を拡大し、国際的にもより大きな義務を負うようにしています。このプロセスは、日本社会の各方面での妥協が必要なためにゆっくりとしか進んでいないものの、不可逆的なものです。」



スプートニク:世界のどこかの地域に世界秩序を維持するだけでも、強力な軍隊を支えにし、他のプレーヤーと協力することが必要です。この意味で、日本のチャンスはどうでしょうか?







© Sputnik / Sergey Guneev

NATOは一貫して東方拡大を続けている=露外務省






クリスティーナ・ヴォダ:「2000年代初頭に日本政府が行った外交および防衛政策の改革は、こうした分野での日本の能力を拡大させました。自衛隊の海外活動への参加制限が緩和され、集団的自衛権の使用が許可され、武器輸出の禁止が撤廃され、意思決定体系における防衛省のステータスが向上し、内閣に国家安全保障会議が設置され、戦後初の国家安全保障戦略が策定され、防衛に関する法律が修正されました。しかし、日本の防衛および外交政策の修正は矛盾に直面しています。一方で日本の政治階級の野心の増大が目立ち、防衛ポテンシャルを強化して外交政策を活性化したいという欲望が顕著になっているものの、他方で、日本はアジアの隣国、特に中国と韓国の否定的な反応を考慮しなければなりません。このほか、米国との軍事政治同盟に由来する制限が、引き続き日本の外交政策に影響を与え続けています。日本は、核ミサイル攻撃からの防衛において米国に全面的に依存することを余儀なくされているため、米国が自らの意思で、あるいは意図せずに参加しうる紛争に日本も巻き込まれるリスクが増大しています。」



クリスティーナ・ヴォダ氏は次のようにまとめた。日本の地域各国での評判はまちまちであり、日本がアジアの重要な政治プロセスに影響力を持つチャンスはそれほど大きくないため、日本は、現段階では、経済と政治の両面で価値観を共有する国々、すなわちオーストラリア、インド、他のASEAN諸国との軍事政治協力を活性化させている。



もしかすると、これは、インド太平洋地域の既存秩序の維持と強化においてリーダーシップを取るための、日本の戦術的なステップなのかもしれない。





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