難民や外国人労働者に用心深い日本国民 (DW English):阿修羅♪

難民や外国人労働者に用心深い日本国民 (DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/637.html











(Japanese people wary of refugees, foreign workers: DW English)

http://www.dw.com/en/japanese-people-wary-of-refugees-foreign-workers/a-36005275





アジア





難民や外国人労働者に用心深い日本国民





日本政府は出生率の低下や急速な人口高齢化という問題に国を挙げて取り組む必要があると考えているが、一般国民はいまなお外国から来る人々に用心深い。ジュリアン・ライオールが東京から報告する。











日本政府はついに、何年か先に訪れる労働力と人口の危機を回避したいなら国は外国人労働者に国境を開く必要があると考えを変えた。それでも、一般国民が両手を広げて外国から来る人々を迎えるまでには更にかなりの時間が掛かりそうだ。



10月上旬、安倍晋三首相は国家戦略特別区域諮問会議の会合で、日本の農業に新たな命を吹き込みたいなら農業分野で更に多くの労働者が必要だと述べ、移民受け入れの議論を再開した。



農林水産省によれば、農業分野の就業者数は192万人で8.3%減少しており、1990年の数値から40%も減少している。



1993年に農業分野で外国人実習制度が導入されたが、農業企業のために奴隷労働者を供給しているに過ぎないとの批判を方々から受けてきた。



日本の農村の諸自治体は消滅の危機に瀕しているが、農村地域から都市部への人口移動の増加は食料の安全保障に深刻な影響を与えている。





介護分野の就業者





同様に、海外から日本で働く介護分野の就業者数を増やせるよう、国内のいくつかの地域で介護労働者についての諸規則も緩和されることになっている。



安倍氏は諮問会議で、新たな法案が作成中であり新しい会計年度が始まる2017年4月までに発効できるかも知れないと語った。







安倍首相は移民受け入れの議論を再開した





もう1つの特別委員会である「選択する未来」委員会による新しい統計では、人口動態の時限爆弾として数十年前から知られている国家的問題の規模の大きさが強調されている。同委員会の予測では定年を70歳に延長してもなお、現在7700万人余りの日本の労働人口は2060年までに5500万人に急減する見込みだ。



また、専門家たちは高齢者人口が総人口−2020年は1億2500万人だが2050年には1億0700万人に減少する−の40%を占めるようになると、税基盤の縮小や年金・医療を必要とする高齢者層の増加に係わる経済問題が国内で認められるようになると予想している。



移民政策研究所の坂中英徳所長によれば、大規模な移民受け入れを容認することが自明の答えだ。



「1990年以前、日本に来て日本で生活することを認められた外国人は僅かだった。日本は既に膨大な人口を有していたからだ」と、彼はDWに語った。「当時、日本の人口はイギリス・フランスを足し合わせた数と同じだった。そのため、労働のために日本に人を連れて来る必要はなかった。」





欧州の『ゲストワーカー』





「欧州では1950年代からフランスやドイツに『ゲストワーカー』がいたが、日本ではいくつかの特定の地域で労働力が不足した時、政府は国内の他地域からその地域に人々を移動させたり女性を労働力として導入することが可能だった。しかし『バブル時代』が到来すると、国内では労働者が急に不足し熟練労働者の移民を受け入れられるよう諸規則が緩和された」と坂中氏は語った。



ドイツ・フランス・イギリスでは国民の10人に1人が元々は他国から来た人たちだが、日本では外国人が総人口の1.74%を占めるに過ぎない。





それでも日本の一般国民はまだ納得していない





「日本人は非常に同質的な国民で、比較的最近まで移民の受け入れを嫌がっていた−国家主義的な姿勢を後押しする一部のマスコミがこの姿勢を助長していた」と、明治大学国際問題研究所の奥村準・客員研究員は述べた。



「無制限な移民の受け入れの結果、中国から経済移民が溢れ出て日本に上陸するだろうという恐怖が存在していた」と彼はDWに語った。「そして、このような恐怖はこの数年間に、ヨーロッパ創造という事業の中で認められた諸問題について有名メディアが作った記事によって強められた。」



さらに、日本メディアはテロリストによる攻撃を大きく取り上げた−2015年11月のパリ同時多発攻撃、2016年3月のブリュッセル爆弾攻撃、7月の仏革命記念日にニースで84人が殺害された事件など−が、祖国の外に平和と安全を見つけ出そうとして難民が大量に押し寄せる原因となった、シリアなどの国々の人道危機は殆ど報じられていない。



結果として、海外に定住を試みる外国人全てが欧州の諸都市で爆弾を破裂させたりナイトクラブ・空港・レストランを攻撃してきた過激派たちと一緒くたにされている。







日本では高齢者が増加しつつある





『とても恥ずかしがる』日本人





「日本は島国で、国内でさえ外国人と接触することを日本人はとても恥ずかしがる」と、横浜の主婦・カナコさんは語った。彼女は自分の苗字を教えようとしなかった。



「中東で何が起きているか私たちはよく聞いていないが、シリアの子供たちの話を聞くと私は勿論悲しい」と彼女は語った。「しかし、ドイツ・イギリス・フランスで移民受け入れの結果生まれた問題について余りにも多くの話を聞いてきたので、日本は移民に門戸を開けばいいと私には言えない。」



難民や亡命希望者に救護施設を提供することを嫌がる感情は当局者たちにも広がっており、2015年には7,500人の申請者に対して認定を受けたのは僅か27人だった。2004年までの22年間、難民認定を受けた人は年平均で15人だった。難民認定を受けた人々の割合はドイツやカナダでは約30%だが、日本では平均0.2%だ。



政府が立案した農業・介護分野の労働者を対象とした新規則でさえ、一部の人々が求めているような問題の抜本的な見直しではない。この制度を利用する就業者たちは就職しても居住権を保証されず、契約が終了すると帰国しなければならない。



「政府はこれを、日本の人口の状態が好ましい形で安定するまでの数十年間の応急的な解決策と見なしていることは明らかだ」と奥村氏は語った。「しかし、それは日本の出生率が再び増加することを前提としている。その前提が成り立つとは私には思えない。」







発表 2016年10月10日

記者 Julian Ryall (Tokyo)

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キーワード 日本移民難民移住安倍晋三労働者人口の高齢化労働力出生率