天皇退位の先例ができることを危惧している日本の保守派たち(DW English):阿修羅♪

天皇退位の先例ができることを危惧している日本の保守派たち(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/senkyo211/msg/816.html













(Japan's conservatives concerned at precedent of emperor abdicating: DW English)

http://www.dw.com/en/japans-conservatives-concerned-at-precedent-of-emperor-abdicating/a-19477385





日本





天皇退位の先例ができることを危惧している日本の保守派たち





日本の伝統主義者たちは女性が菊の玉座を引き受ける案に長らく反対してきたが、今や天皇の退位が天皇制の存立を損ねることを怖れている。ジュリアン・ライオールが報告する。











明仁天皇が退位したいとの願望を示唆してから日本メディアが実施した諸世論調査によれば、一般国民の80%を上回る人−一部の事例では日本国民の90%近く−が、彼が菊の玉座を降りられるようにすべきだとの考えに合意している。



しかし、日本の政界・社交界の中には、天皇の退位は天皇制の存立を脅かすと共に、この世界最長の王室の未来の世代にとって危険な先例を生むとの理由から、これに反対する更に保守的なグループ存在する。



安倍晋三首相は退位についての自身の立場を明確に述べていない。退位には皇族についての現行法の見直しが必要だ。しかし彼は、戦前の日本憲法の構成要素の多くを復活させ、天皇の立場を神に近い地位へと再び引き上げたいとの姿勢を明確にしている、臆面なき保守主義者だ。





一般国民の共感





天皇は現在82歳でガンの治療歴があるが、彼は前世紀初期の数十年間のような軍国への回帰に反対し、神道を再び国教とする考えを明確に否定するリベラル派と広く見られている。











さらに8月8日、明仁氏は生涯で僅か2度目のテレビ演説で息子の皇太子・徳仁親王に譲位したいとの意向を表明することにより、彼は一般国民の共感を確実に得たと同時に、彼の父がそうしたように彼も自身の死までその立場に留まるよう望んでいる保守派を出し抜いた。



「多くの保守派は第2次世界大戦前に実施されていた制度の方を好んでいる。当時は皇室の分家がいくつかあり、天皇の位を担うことが可能な王が7〜8人程いた」と、福井県立大学の国際関係学教授の島田洋一氏は語った。



島田氏や他の保守派は、1945年の日本敗戦後の連合国による介入−天皇の直系だけを残して皇室の分家を事実上切り落とした−は皇位継承をめぐる憲法上の危機を招く誤りだったと語る。





男子限定





皇太子徳仁親王には娘がいるが、法律により女性は日本の皇位を引き受けることが認められていない。しかし、彼の弟には息子がいるので、少なくとも更に1世代は皇統が維持されることになった。



「私たちの考えでは、天皇制を守るために十分な数の皇族がいないためこの法律は見直されるべきだ」と、島田氏はDWに語った。



保守派にとって皇室の後継者不足は全く考えられないことであり、また、現行の法律は天皇の地位を損ねている。それでも、日本は過去に女性天皇も何人も持ったことがあるのに彼らは今なお女性の皇位継承を支持したがらない。



「私は決して日本女性に対抗的でないし、彼女たちが社会の中で機会と役割を得ることにも反対しないが、日本の制度では歴史的に皇位を引き受けるのは男子だ。また、この制度は相当な期間非常に有効に機能してきたので、変更にはかなりの慎重さが必要だ」と、島田氏は付け加えた。





回答を捻り出す





天皇の退位が皇室制度に及ぼす長期的な影響を憂慮すると共に、明治憲法の下で1889年に制定された当時の条項のままでの皇室典範の存続を求めるという、与党・自由民主党の議員多数による諸報告が存在する。



憲法の下で、日本初の首相・伊藤博文天皇を主権全般に亘る支配権を持つ「国家の支柱」と考えたものの、伊藤政権は天皇の意思が諸政策に影響しないような体制を考案した。また、この法律についての討論の期間中、伊藤はどの天皇にも退位の権利を与えないよう主張した。



「この制度の作り方に、天皇は象徴であり日本という国民国家を身を以て体現する存在であるという理解が事実上反映されている」と、明治大学国際関係研究所の奥村準・客員研究員は指摘する。







現在の皇位継承者は皇太子徳仁親王(56)だ。親王明仁氏の公務削減に伴い君主としての責任を少しずつ引き受けている





また、現天皇に法的な退位の権利がないとしても、退位の意向を公に述べて一般国民の多大な支持と共感を得たことから、彼は事実上、有効な回答を捻り出すよう保守派に委ねた。



「彼は事実上、自分は辞任したいのでこの問題を政治家たちの手に委ねると言ったのだ」と奥村氏は語る。「そして、彼はいかなる権力も持たないにも係わらずそのような判断を下した。さらに、彼は一般国民から広く尊敬されており一般国民も彼の個人的な事情を理解しているので、彼は圧倒的な支持を得ている。」



「国内の保守メディアでさえ彼の判断を支持すると即座に表明した」と彼は指摘した。彼は今や政権内の国家主義派閥の裏をかくことに成功し、彼らは天皇の意向に添わせる選択をするしかないかも知れないと、奥村氏は考えている。







この話題の音声・動画

日本の天皇が退位を暗に訴える







発表 2016年8月16日

記者 Julian Ryall, Tokyo

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