東京戦争犯罪裁判という永遠の重荷 (DW English):阿修羅♪

東京戦争犯罪裁判という永遠の重荷 (DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/240.html











(The eternal burden of the Tokyo War Crimes Tribunal: DW English)

http://www.dw.com/en/the-eternal-burden-of-the-tokyo-war-crimes-tribunal/a-18986976





日本





東京戦争犯罪法廷という永遠の重荷





日本の戦争犯罪を起訴するために東京戦争犯罪法廷が設置されてから70年が経ったが、東アジア諸国の関係は緊張が続いている。安倍晋三・日本首相はいまこれを変えようと試みている。











1946年1月19日、被占領下の日本における連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー米陸軍将軍は、ニュルンベルクの国際軍事法廷(IMT)を模範として極東国際軍事法廷(IMTFE)を創設した。



この法廷は日本の政治・軍事指導者28人を、平和に反する罪・戦争犯罪・人道に反する罪で起訴した。その罪状は捕虜虐待・強姦・拷問から、労働者の酷使・専横的な処刑・非人道的な実験に及ぶ。2年半後、被告6人が死刑を宣告されて1948年12月23日に処刑された。残りの大部分は終身刑を受けた。



しかし、特に戦争が裕仁天皇の名により遂行されたにも係わらず天皇と皇族全員が全面的に免責されたことなど、東京裁判には最初からかなりの異議が唱えられた。



マッカーサー将軍が率いる米国の占領政権は、誰一人として被告が天皇を巻き込むことの決してないよう被告の証言を操作することさえした。







ダグラス・マッカーサー米陸軍将軍(左)、裕仁天皇(右)と共に





皇族に起訴が及ばないようにするため、米国政府はこの東アジア国家が確実に民主化を実施するよう欲した。事実、天皇は日本戦後の新しい秩序の中で反対を受けることなく自身の立場を確保することが出来た。彼の息子である明仁天皇も、戦時中の日本の歴史が記憶から決して薄れることがないよういまなお努力を続けている。





損なわれた信憑性





それでも、法廷の信憑性を損ねたものは皇族の全面的な免責だけでない。石井四郎軍医中将やその同僚の免訴を認めたこともこれに寄与した。米国は彼の残酷な実験の結果にむしろ興味を示した−彼は戦争捕虜を生物・化学兵器の実験台にして実験を行った。



さらに、法廷には法をめぐる手法上の問題があったため、日本の国家主義者たちはこれを理由の1つとして、法廷は勝者の正義を執行する手段だったといまなお批判している。



例えば、当時の国際法には「平和に反する罪」を扱う条項は存在しなかった。また、フィリピンから来た判事は戦時中に日本の捕虜だった経験があり、いわゆるバターン死の行進に参加させられたため、偏向があった。



さらに、連合国が報道機関に発表した声明の多くが、文書や声明としての検証を経ないまま証拠として認められた。



しかし、法廷の国際判事12人のうち、1人だけ−インドから来たラダビノド・パル判事−はこの正当性を拒絶した。このため、安倍晋三現首相など日本の国家主義者は現在までこのインド人判事を崇めている。安倍氏ナレンドラ・モディ印首相に−2014年9月に2人が会った時に−日本国民は1人残らずパル氏のことを知っていると語った。





続く挑発





東アジアのかつての戦争当事国間の緊張した関係の背景には、こうした戦争犯罪法廷の疑わしい性質が重要な要因として存在し続けている。戦争を記念するために19世紀後半に建立された靖国神社には、法廷によって有罪となった14人の戦争犯罪人が祀られている。小泉純一郎元首相や安倍現首相など国家主義思想を持つ政治家がこの神社に参拝すると、中国・韓国はこうした行動に挑発を受けたと感じて強い反応を起こす。



日本の指導者がこの神社を参拝する度に、それは日本の戦争行為は正当かつ当然なものだったと仄めかすメッセージとして認識が可能だ。中立的な戦争記念碑を新たに建設すればこの外交紛争は終わるが、こうしたことから日本の国家主義者たちはそれをしようとしない。



それでもなお、東京裁判がなければ日本が犯した戦争犯罪は殆ど起訴されなかったろうと推し量ることは出来る。近年の福島での原子力大災害が示した通り、日本社会の強い傾向として不快な事件はカーペットの下にしまい込まれ、事件に責任をもつ人々も起訴されない。



多くの戦時中の政治家・高官たちが後に重要な立場に就いた。アジア諸国との外交関係を再開する時、日本は賠償金の支払いに伴い全ての戦争犯罪に決着をつけるよう主張した。そのため、日本政府は今のところ個人からの賠償請求を全て拒否している。





強調線を引く努力





こうした態度のために、日本が本当に戦時中の残虐行為を反省しているのかどうか日本の諸隣国は疑っている−この疑念のために、欧州では築かれている地域の緊密な関係が妨げられてきた。



一方、日本がひとたび公式に謝罪しても、その事実は隣国各政府が内政面の理由で利用しただけだった。こうした展開から、東アジアではいつも過去が現在に暗い影を投げかける結果となり、そのため、地域における政治・経済の協力深化が妨げられている。







安倍首相は現在、日本の戦時中の過去をめぐる議論に強調線を引く努力をしている





安倍首相は現在、日本の戦時中の過去をめぐる議論に強調線を引く努力をしている。2015年の米国旅行の時の議会演説で、安倍氏は日本の民主主義の発展や、米国への日本の忠誠を強調した。



2015年8月の戦争終結70周年の機会に、安倍氏は彼自身の明確な謝罪を発表しなかったものの、戦争について遺憾の意を表明した。



その数ヵ月後、首相は「慰安婦」−日本軍から戦時中の売春宿で奉仕を強制されたかつての性奴隷−をめぐる紛争を終えるために韓国と協定交渉を行った。この合意では存命の人たちに日本政府からの補償金支払いが想定されている。このような措置の全ては、日本の過去の重荷を減らすとともに地政学的な重要性を強めることを意図している。








発表 2016年1月18日

記者 Martin Fritz / sri

関連テーマ アジア第2次世界大戦中華人民共和国日本

キーワード アジア日本第2次世界大戦中国韓国・朝鮮










−参考−



東京裁判という永遠の重荷(DW Deutsche、2016.1.19) [同じ話題の独文記事]



日本で崇められている戦争犯罪者たち(DW English、2015.8.13) [英文]