日本がカイゼン哲学をエチオピアに持って来た(BBC):阿修羅♪

日本がカイゼン哲学をエチオピアに持って来た(BBC):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/365.html









(Japan brings kaizen philosophy to Ethiopia: BBC News Business)

http://www.bbc.com/news/business-26542963





2014年3月25日最終更新00:17





日本がカイゼン哲学をエチオピアに持って来た





記者 ポール・メリー


BBCニュース、エチオピア





エチオピア経済は幾多の難題に直面している






「区分し、順番に並べ、ピカピカにし、ルールをつくり、長続きさせる」ことを宣言した手書きのポスターが、女性たちが手芸品をつくるために週2回集まる、ファニーキールの村のある小屋の壁に貼り付けてある。



カイゼンエチオピア南部高地の農村までやって来た。カイゼンとは、第2次世界大戦敗戦の廃墟から日本を回復に導くのに一役買った職場哲学だ。



この考え方の基礎のいくつかには、整理整頓や自己訓練についての簡単な原則が含まれている。故メレス・ゼナウィ前首相はこの考え方に強い感銘を受け国家戦略として採用した。



いま、これが南部高地の村々の女性たちによる、農作業を補うビジネスの展開に役立っている。



「私たちは社会で認められるようになった。私たちがこれを組織して以来、農民たちは私たちのところに来て取引をしてくれるようになり、地元政府の行政官たちも私たちを尊重してくれる」と、ファニーキールの女性職工グループの議長を務めるアメレウェルク・ハイレ氏は語る。



「私たちは女性として家計をあれこれとやり繰りしているが、それに加えて、より多くの技能を得たことで夫がさらに認めてくれるようになった。」



ゼナウィ氏は2008年の東京アフリカ開発会議カイゼンのことを学んだ−そして今では、日本の支援を受けているエチオピアの数々の事業で、このテーマが大きく取り上げられている。



政府機関の専門家たちがこの考え方を広めた。彼らの高揚した熱意ある言葉を聞いて、これを時代遅れの小賢しい管理手法の1つと片づけるのは簡単だろう。



しかし、この運動の背後には、この国が直面する幾多の難題を反映した、目的に対する真剣な思いがある。





人口という難題



エチオピアの人口は9200万人で毎年2.6%増加しており、アフリカ第2の人口大国となっている。





カイゼンエチオピア全土で数々のグループにより使われている






政府は2025年までに中所得国に仲間入りするとの目標を設定した。



しかし、伝統的な農業に依存していては、この達成は不可能だろう。



農村の人口増加は、広範な土壌浸食や森林破壊に現れるように、既に環境に大きな負荷を与えている。



そのため、製造業の雇用を拡大し、あわせて、農村部の町や村における生計手段の多角化を支援するために、エチオピアは「成長と転換の計画」を推し進めている。

いかに動機付けをし競争力を付けるかがカギとなる。そこにカイゼンがやって来た。



エチオピアが抱える難題は、1950年代に日本が直面していた課題になぞらえることができる。概して農村的な社会だった日本が近代的な産業経済を築き始めたのは、この時期だった。



カイゼン−「生計手段の改善」を意味する−は主に地方で実践されていたが、間もなく自動車メーカー・トヨタなどの大企業に採用され、開発についての幅広い考え方もその意味に含めるようになった。



それでも、この中核にあるのは次のような簡単な原則だ。





■職場の整理整頓を保つ

■作業者たちに指示を待つのではなく、創造的な提案をするよう促す

■地元にある資源を用いて作業する





日本は後に、エジプトやチュニジアなどの新興国でこの哲学を推進した。その経験がメレス・ゼナウィ氏に感銘を与えた。



彼が日本の支援を求める理由の説明として、「カイゼンシステムの導入を通じて、官民双方の全ての企業の生産性向上を実現できると、私たちは期待している」と、ゼナウィ氏は以前語っていた。



「これは全ての従業員の創造力を土台としている。カイゼンとは、企業の品質・生産性向上のために全ての従業員を巻き込むことだ。」





日本は村民たちの手工業も支援している






「私たちは非常に関心がある」



エチオピアカイゼン機構からチームが工場やオフィスを訪問して、職場でこの哲学を受け入れる手助けをしている。



企業プログラムの最初の数ヵ月は、職場の組織づくりとチームの価値観づくりが集中的に行われると、同機構のゲタフン・タダッセ所長は説明する。



動機付け・生産性・雰囲気の変化づくりはその次に来る。そして、イノベーションと管理は長期的なテーマとなる。



安倍晋三・日本首相は先日アディスアベバを訪問したとき、アフリカ大陸全体の人材開発のために同機構が中核的研究拠点となるべきだと語った。



タダッセ氏は、カイゼンは今迄60社で採用されており、去年も彼のスタッフが約11,000人の訓練を行ったと語った。



手織り繊維メーカー、ムヤ・エチオピア−この企業の製品は、現在ロンドンやニューヨークのデパートで販売されている−の創業者であるデザイナーのサラ・アベラ氏は、この哲学の吸収に熱心だ。



「私たちはまだカイゼンを始めていないが、私たちの教育に誰かに来て貰えるよう動いているところだ」と、彼女は語る。



「私たちはとても興味がある。カイゼンについてはたくさん聞いてきた。カイゼンのことはメレス氏が良く話してくれた。」





エチオピアが抱える難題は、概して農村的な社会の中に産業経済を築くことにある






作業者を巻き込む必要がある



場所を節約するために工場の売店をつくり直すことなどの一部のテーマは、議論になることがない。



しかし、スタッフの話を聞いて貰えるよう職場の責任者たちに促すこと−そして、作業者たちに自信を持って提案して貰えるようにすること−は、かなり大変な仕事だ。



「作業者たちを巻き込む必要がある」と、アドバイザー・チームの1人、ボンザ・レガッサ氏は語る。



「私たちはエチオピアの労働文化を変えたいと考えている。」



そして、カイゼンを志願しているのは首都アディスアベバの工場だけでない。



日本の国際協力機構(JICA)はエチオピア全土で年間約1億ドルを、時にはそれ以上の金額を費やしている。多額の資金が村々の手工業など農村の活動支援に充てられている。



こうして、アディスアベバの南西125マイル(200km)のファニーキールのような町や村でさえも、カイゼンの考えを耳にすることができる。



「私たちはカイゼンの原則を職場だけでなく家庭でも使おうと試みている」と、職工グループのリーダー、アメレウェルク・ハイレ氏は語る。











(投稿者より)



BBCサイトに掲載された記事です。半島を盗られた飛行機が消えたプルトニウムを返せと言われたなど、最近の世界の動きとは少し離れますが、興味深い記事だと思いました。人名の日本語読みは調べようがなかったので、記事の単語をローマ字読みしてカタカナを充てました。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



「区分し、順番に並べ、ピカピカにし、ルールをつくり、長続きさせる」"Sorting, setting in order, shining, standardising, sustaining" 、5Sとは本来、「整理(seiri)、整頓(seiton)、清掃(seisoo)、清潔(seiketsu)、しつけ(shitsuke)」 の頭文字をとったものですが、英語でも確かに5個とも"S"で始まる単語になっています。上手く言い換えたものです。



記事を読みながら、日本で工業の発展・品質向上への企業の取り組み・勤労者の待遇改善などが、昭和30年くらいから同時進行で進んでいったことを思い出しました。多くの国々が、日本の背中を追いかけているわけです。その一方で、公害・都市の過密と地方の過疎などの問題も発生しました。是非、水俣四日市などの真似はせず、良いところだけを積極的に取り入れていただきたいものです。



エチオピアカイゼン機構のサイトのリンクはこちらです。