福島の水漏れに脅かされる魚種資源 (DW English):阿修羅♪

福島の水漏れに脅かされる魚種資源 (DW English):阿修羅♪
http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/237.html





(Fish stocks threatened by Fukushima leaks: DW English)

http://www.dw.de/fish-stocks-threatened-by-fukushima-leaks/a-17017871





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原子力



福島の水漏れに脅かされる魚種資源







この2年以上、トン単位の放射性の水が、損壊した日本の福島原発から海洋に日々漏れていた。専門家たちは魚種資源への影響と、水漏れを止められる方法について調査している。



ロイター通信社とのインタビューで、日本の原子力規制委員会のある高官が、現状について「緊急事態だ」と呼んだ。2011年3月11日に日本を襲った巨大な地震と続いて発生した津波のために、福島第1原発メルトダウンを起こして以来、推定300トンの放射性の水が毎日太平洋に漏れている。漏れて海に入る水の量は、約1週間でオリンピック規格の水泳プールを満たすのに十分だ。発電所を運営する東電は、毒性の水が海洋に流れ込むのを防ぐために、防護壁が設置されていると声明を出していたが、それから間もなくしてこの発表があり、もはや地下水の水位に対応できなくなっている。



この声明により、海水の汚染は進んでいるという、かねてからの疑惑が裏付けられた。地元の漁師や独立の研究者たちは既に水漏れを疑っていたが、日本最大のユーティリティ企業・東電はその主張を否定し続け、先月やっと認めた。しかし、それよりずっと心配なのは、同社はまた、発電所で採取された地下水と土壌のサンプルで、セシウム137・トリチウムストロンチウム90など、ガンを起こす可能性のある同位体が高いレベルを示していたことも認めたことだ。東電は現在、水漏れの量を減らすためにトレンチから放射性の地下水を汲み上げる作業を始めた。





福島の魚はまだ汚染している



日本では、魚を食べることは国民の文化の重要な一部となっているが、人々は海産物の安全に不安を抱いている。専門家の間で一致した見解では、損壊した福島原発の沖にいる魚は汚染されている。なぜなら、そのセシウム137に魚がまだ被曝しているからだ。セシウム137のごく一部は、沿岸水域の堆積物に閉じこめられていると考えられる。






発電所近くに棲息している魚類はまだ汚染しているということで、科学者たちの考えは一致している





米国を拠点とするウッズホール海洋研究所のケン・ブッセラー上席研究員によれば、日本政府が実施した定期的な計測により、市場で取引される多くの重要な魚種など、海底に棲息する魚類のセシウム137のレベルは、福島沖で最も高いことが明らかになっている。



また、こうした測定の結果は、損壊した原子炉に近い漁場の閉鎖を続けることや、レベルが規制限度に近づきつつある地点の周辺水域を監視することにも用いられている。「福島沖では現在、多くの魚種の漁が禁止されている」と、その専門家はDWに語った。





人体には直ちに危険でない



しかし、ブッセラー氏はまた、魚類は被曝が止まると筋肉に蓄積したセシウムをすぐに失うとも指摘する。「魚は汚染の少ない水域に移動すると、福島に由来するセシウムの大部分がだんだんと失われる」と彼は語り、日本の沖の汚染された水域の外側の魚を食べても、人体には直ちに危険ではないと付け加えた。



ハンブルクを拠点とするチューネン水産生態学研究所のギュンター・カーニッシュ氏は、これを裏付ける。2013年1月以降、福島の水域の魚から計測されたセシウムの数値全体の90%以上が、1kg当たり100ベクレルという日本の食品摂取規制値を下回っていると、この専門家は述べている。「もっと言えば、2013年5月以降、標本となった魚の90%が、1kg当たり50ベクレルさえも下回っていた」と、彼はDWに語った。



それでも、科学者たちは海洋生物の長期的な汚染を懸念している。ブッセラー氏とプリンストン大学原子力未来研究所研究員である科学者のM.V.ラマナ氏は、漏出した放射性物質の一部は海洋水に混じって薄められていくだろうが、ストロンチウム90などの他の物質は堆積物の上から跳び上がったり、生き物に集まって周囲の水の濃度よりも強く濃縮するだろうと、共に警告している。



ストロンチウム90は丁度カルシウムのような動きを見せ、体外に排出されるよりも、むしろ、骨の中に濃縮される傾向がある」と、ラマナ氏は説明する。





漁業への影響



東京海洋大神田穣太教授は、現在海底で見つかっている汚染の大部分は、最近発生したものでなく、むしろ、原発事故があってから最初の数ヵ月で発生したものだと語った。彼はDWに、最近流入している放射能は、メルトダウンの直後に続いて発生した大量の放射能漏れに由来する放射能に比べ、ずっと少ないと語った。それでも神田氏は、セシウムのような元素が海底から消散するまで数十年かかるかも知れず、そのため沿岸漁業にとっては、長期的な難題に苦しむことになるかも知れないと強調した。



東北大学環境学の専門家・馬奈木俊介氏によれば、日本の漁民は2011年、インフラストラクチャーの被害のために105億ドルの損失を被ったと報告されている。馬奈木氏はDWに、その最大のものとして、地元の漁民は2011年に最大26億ドルの収入を失い、2012年には損失が少なくともさらに10億ドル増えているだろうと語った。






日本の漁民たちは10億ドル単位の損失を被ってきた





凍土壁



とりわけ、水漏れが発生している正確な場所を東電は知らないようなので、東電が近い将来、放射性の水が海洋に漏れ出るのを防ぐことが可能になるかどうか、不明確なままだ。安倍晋三首相は事態の緊急性を踏まえ、被災した発電所を浄化するために、公的な関与をさらに深く進めると約束した。その初回の額として、400億円(4000万ドル)を政府は検討している。



この資金は、地下水が汚染した原子炉建屋内に入り込むのを防ぐために、建屋を凍土壁で囲い込む事業に使われることになっている。マサチューセッツ工科大学のマイケル・ゴーレイ原子力科学技術学教授は、このアイディアはやってみる価値があると強く考えている。「これは、土壌を安定させるために、土木事業で用いられている周知の技術だ。」



それでも、地下鉄工事で用いられるこの技術が、こうした場面で試されたことはまだない。さらに、ラマナ氏は、2015年7月に完成予定のこの構造物が、次の地震が発生した場合や、さらには電力供給が一時的に低下した場合、どのような動きを示すかについて疑問があると指摘した。





なくなりつつある保管場所



しかし、福島原発は保管の問題にも直面している。放射性の燃料を冷却するために、原子炉には毎日数百トンの水が必要だ。この水が汚染され、発生しただけの量を保管することが難しくなっている。





東電は混合水を保管するために1000個以上のタンクを造ったが、この会社には間もなく場所がなくなる





作業員たちは混合水を保管するために、1000個以上のタンクを造ったが、380,000トンの保管容量の85%以上が既に満たされ、評論家たちは、保管場所が間もなくなくなるかも知れないと、強く心配している。



東電と日本政府がすぐにこの問題をなんとかして収めなければ、地下水の漏れは悪化に向かう。そのため、神田氏は、水漏れの発生場所を綿密に調査することにより、発電所運営会社が水漏れを根本から減少できるかもしれないと主張する。



それでも、この海洋科学専門家は、この主要な取り組みは大きな水漏れが次回発生するのを防ぐことを目的とすべきだと、明確に述べる。なぜなら、原子炉建屋の地下部分や地下のトレンチや地上の一時貯蔵タンクには「相当量の放射性の水」が存在するからだ。「こうした水の適切な管理を最優先にすべきだ」と、神田氏は強調した。







発表:14.08.2013

文章:Gabriel Domínguez

編集:Sarah Berning











(投稿者より)



ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。



"Ken Buesseler"、この話題で最近よく見る名前です。「ケン・ブッセラー」「ケン・ベッセラー」「ケン・ビュッセラー」、3通りの表記を見ましたが、同じ人物です。英語は綴りと音が一致しないことがあり、当人が自分をどう呼んでいるかの確認がとれないとき、このようなことがたまにあるようです。尤もこれは、記事の本題からすればどうでもいいことかも知れません。



保管タンクからの水漏れはINES尺度で「レベル3」でした。「重大な以上事象だが、事故と呼ぶほど重大ではない」ということです。



2007年の新潟県中越沖地震の時、柏崎刈羽原発で微量の放射能漏れが発生したことから世間は大騒ぎになりましたが、その時のIAEAの調査結果が「レベル0」でした。6年前はレベル0でも大騒ぎでしたが、3.11の大震災を経て、それも遠い昔のように思えます。



しかし、そのレベル3の重大事象でさえ水管理全体の問題に比べればまだ小さい、という記事の結論でした。汚染地下水の海洋流出という問題も別にあります。そして、問題は水のことだけではありません。問題の大きさに呆然としています。