「日米首脳会談は、北朝鮮と中国が討論の中心だった」(RFIの記事より):阿修羅♪

「日米首脳会談は、北朝鮮と中国が討論の中心だった」(RFIの記事より):阿修羅♪


http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/388.html





(Japon: Shinzo Abe aux Etats-Unis pour renforcer le lien entre les deux pays : RFI)

http://www.rfi.fr/ameriques/20130221-japon-shinzo-abe-etats-unis-renforcer-le-lien-entre-deux-pays





日本/米国−記事発表:2013年2月22日金曜日−最終更新:2013年2月22日金曜日



日本:日米関係強化のために、安倍晋三氏は訪米へ



記者 RFI





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金曜日、安倍晋三首相は2日間の日程でワシントンを訪問中だ。

REUTERS/Toru Hanai






金曜日、安倍晋三・日本首相はバラク・オバマ米大統領と会談することになっている。中国との関係が最も低調な中、安倍晋三氏が強化を欲する日米2国間の戦略的関係が議題となっている。さらには、巨大な自由貿易圏TPP(環太平洋経済連携)への日本の参加だ。米国は同盟国・日本のTPP参加を望んでいるが、日本ではためらいがまだ大きい。



去年12月の総選挙の時、米国との戦略的関係を修復することを、安倍晋三氏は約束していた。安倍氏によれば、民主党がこの3年間政権を執っていたために、関係が壊れていた。北朝鮮が新たな核実験を実施したばかりで、また、中国が尖閣諸島をめぐって力で日本政府の正当性に挑んでいる、いまこの時期に、この関係の力を全世界に示すことが、安倍氏にとっては重要だ。



しかし、米国政府には中国を怒らせる必要が(あまり)ない。米日両国政府が叶えたいとして呼びかけている、北朝鮮に対する制裁強化のためには、国連での中国の支援が必要だ。



バラク・オバマ氏と安倍晋三氏は経済のことでも話し合う。何よりもまず、円。安倍氏は首相就任の時から、円がドルに対して下落するのを放置してきた。明らかに、輸出企業の優遇と日本経済が生気を取り戻すことを狙ったのだ。最終的には世界最大の自由貿易圏となる、環太平洋貿易協定TPPもまた議題となるだろう。日本がこれに参加することを、米国は望んでいる。



しかし、特にコメという保護された分野で、日本の農民はTPP参加に反対している。このため、安倍晋三氏は例外を認めて貰おうとすることになるかも知れない。来る7月の参議院選挙で勝つためには、安倍氏はこの農業界が必要だ。参議院選挙に勝利すれば、安倍氏は国政運営にフリーハンドを得ることができるかも知れないのだ。











(Les Etats-Unis et le Japon engagés à des «actes forts» vis-à-vis de la Corée du Nord : RFI)

http://www.rfi.fr/ameriques/20130223-etats-unis-japon-engages-a-actes-forts-vis-a-vis-coree-du-nord





米国/日本−記事発表:2013年2月23日土曜日−最終更新:2013年2月23日土曜日



北朝鮮に対して「毅然とした行動」をとることを約束した、米国と日本



記者 RFI





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2013年2月13日、ワシントン・ホワイトハウスのオーヴァル・オフィスで、オバマ大統領(左)は安倍晋三首相と会談する。

AFP PHOTO/Jewel Samad






2月22日、バラク・オバマ大統領は、ホワイトハウスを訪問した安倍晋三首相と会談した。2人は、特に、北朝鮮政府が実施した3度目の核実験を受け、北朝鮮に対して米日両国が連帯することを改めて確認した。2人は北朝鮮に対して「毅然とした行動」をとること、そして、中国政府や、尖閣諸島をめぐって中国と日本の間で紛争が生じている東シナ海の領土への中国の要求に対して、確固たる姿勢を示すことを約束した。さらに、2人は経済の面でも意見を交換した。



北朝鮮と中国が討論の中心だった。日本の安全保障にとって深刻な脅威となる、北朝鮮政府による核計画の展開を阻止することについて、米国と日本は完全に合意している。両国は国連に制裁強化を求めていく。



日本政府にとって別の懸念の元は、中国の軍事力強化と、日本が自国領と見なしている東シナ海尖閣諸島を中国が狙っていることだ。日米両国の同盟が安定をもたらす者として地域で役割を果たすと、米大統領と安倍首相は明言した。



また、経済成長が両国の最優先課題であることから、両首脳は経済のことも大いに語り合った。日本の新政権による経済活性化の取り組みに、米国は満足している。日本経済の活性化に資するために、米国がシェールガスの輸出を増やすよう、日本は望むかも知れない。そうなれば、日本は福島原発の大事故から増え続けている、エネルギー支出を削減できるかも知れない。



米国と距離をとっていた野田佳彦氏の下で、両国の関係は冷めていたが、右派の政権復帰により、関係は改善することになるかも知れない。









(投稿者より)



RFIサイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



いずれもラジオニュースの原稿で、詳細を正確に記述するよりも、話題の全体像を簡潔に表現することに、力点を置いています。細かい話なら「阿修羅♪」に山ほどの投稿がありますが、投稿された記事は「第三者による一歩引いた見方」という位置づけでいいと思います。



上の記事は日米首脳会談前に書かれており、中国・北朝鮮・TPP交渉と、前提となる地域情勢や日本経済の状況がまとめられています。



下の記事は、会談の概要についてまとめられていますが、「シェールガス」"gaz de schiste"については言及があるものの、「TPP」については言及がありません。日本のTPP参加については、日本のマスコミはあたかも決定したかのように煽り立てていますが、米国でも議会内や自動車業界・労働組合などの反対が強く、記者はTPPの問題で前進があったとは見ていない、ということかも知れません。



会談については、BBCやDWも会談前(BBCDW)・会談後(BBCDW)と、それぞれ記事を発表しています。こちらは事実関係を丁寧に説明していますので、英語がおできになる方はお読みになるのもいいかも知れません。



外務省サイトに、今回の日米首脳会談の概要が、掲載されています。





ところで、安倍氏は22日、ワシントンのCSISで演説を行っています。その原稿が首相官邸サイトに掲載されています。



原稿を読むと、「ルールのプロモーター」、「グローバルコモンズの守護者」という言葉が目につきます。安倍氏は以前から横文字の好きな方でしたが、つまりは、米国流のリーダーシップを日本が地域で引き継ぎますよ、という意味でしょう。



日本は以前からこの地域に貢献し、信頼関係の構築を続けてきましたが、日本は「調和」や「互恵」を重視してきたはずです。日本のやり方は米国のやり方とは異るもので、既定の「ルール」を相手に「プロモート」(推進、つまりは、押し付け)するというスタイルを、日本はこれまでとることは決してありませんでした。この演説は本当に安倍氏自身の考えを表現したものでしょうか?



ジャパンハンドの拠点で、ジャパンハンドの要人を前に行った演説が官邸サイトに掲載される、ということの意味を考えなければなりません。恥ずかしいことです。





交渉後に発表された両国の共同声明はTPPがテーマになっています。ホワイトハウス・サイトから本文を掲載します。





(The White House)

http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/02/22/joint-statement-united-states-and-japan



The White House



Office of the Press Secretary



For Immediate Release



February 22, 2013



Joint Statement by the United States and Japan



The two Governments confirm that should Japan participate in the TPP negotiations, all goods would be subject to negotiation, and Japan would join others in achieving a comprehensive, high-standard agreement, as described in the Outlines of the TPP Agreement announced by TPP Leaders on November 12, 2011.



Recognizing that both countries have bilateral trade sensitivities, such as certain agricultural products for Japan and certain manufactured products for the United States, the two Governments confirm that, as the final outcome will be determined during the negotiations, it is not required to make a prior commitment to unilaterally eliminate all tariffs upon joining the TPP negotiations.



The two Governments will continue their bilateral consultations with respect to Japan’s possible interest in joining the TPP. While progress has been made in these consultations, more work remains to be done, including addressing outstanding concerns with respect to the automotive and insurance sectors, addressing other non-tariff measures, and completing work regarding meeting the high TPP standards.









(私の訳…外務省発表の仮訳はこちら。)



大統領府



報道官オフィス



即時発表のこと



2013年2月22日



米国と日本による共同声明



この両国政府は、日本がTPP交渉に参加することがもしあるなら、2011年11月12日にTPP指導者たちによって発表されたTPP協定概要に記されたように、すべての品目が交渉の対象になるし、日本は包括的かつ高い基準の協定を作り上げるよう、他国に加わっていくことになる、ということを確認する。



日本にとってのいくつかの農産物、米国にとってのいくつかの工業製品、というように、2国間貿易で神経過敏となるものを両国とも持っていることを認識し、最終的な結果は交渉が終わるまでの間に決着が付けられるものだから、TPP交渉の参加に際しては、全ての関税を片務的に除外する、ということについて、前もって約束することが必要な条件とならないことを、両国政府は確認する。



TPP参加によってどれだけの利益を得ることが可能かについて、両国政府は2国間協議を続けるつもりだ。これまでもこうした協議で進歩はあったが、一方で、自動車や保険の分野についての未処理の懸案事項に取り組んだり、他の非関税措置に取り組んだり、TPPの高い基準に適合させることについての作業を完成させたり、といったことを含めた、やらなければならない残りの作業はもっと多い。





内容以前の問題として、第1段落が仮定法の文になっていることに注目しています。しかも、"that"より後ろの条件節が"should"「万が一(との訳が辞書の例文につくことがあります)」で始まっていますから、日本の交渉参加が実現性のかなり低い事柄として見なされていることが分かります。



ただ、第1段落に「すべての品目が交渉の対象になる」"all goods would be subject to negotiation"と明示されていますので、日本のマスコミが指摘するような「例外」は、共同宣言には言及されていない、つまり、「例外品目はない」ということです。



第2段落の"sensitivities"「神経過敏となるもの」は、日本のマスコミは「慎重な検討が必要な品目」と説明していたと思いますが、「国内の反対が強くて触ると痛いから、この分野は優しく扱おうね」という程度の意味でしょう。"unilaterally"「片務的」「一方的」ですから、日本は農業、米国は自動車など、そういった事情を踏まえた上で、「日本は農業分野での交渉参加前に、自分から関税撤廃を約束する必要はない」ということです。それは米国も同様です。



しかし、第1段落に書かれたとおり、交渉に例外品目はありません。



それを受けて、第3段落、要は「協議は続けるが、問題は半分も解決していない」ということです。私には、冷めた表現に読めます。



これは想像ですが、オバマ政権自身はTPPの成立が難しいと考えているのかも知れません。米国でもグローバル企業がロビーを使って煽り立てていますが、日本と同様、情報開示が不十分なことに不満を持つ議員が多く、議会内の反対も強いようです。自動車業界や労働組合なども反対しています。日本にも同様に、関税撤廃に反対する農家、国民皆保険制度の廃止を憂慮する生活者、個々の措置の背後にある日本の社会や文化への破壊的な影響を危惧する市民や知識人など、TPPには強い拒否反応があります。それが第1段落の"should Japan participate in the TPP negotiations"「日本がTPP交渉に参加することがもしあるなら、」の意味だと思います。英語がおできになる方、いかがでしょうか。



安倍氏自身も、自分が訪米するのとほぼ同時に、森元首相に訪露させています。これ自体が、ロシアを米国にヘッジさせるという意味です。今後の推移を見守る必要があります。