「西側の安保提供を求めるウクライナ、予備役の召集を決めるロシア」(Sputnik日本)
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20220913/12897964.html
ウクライナ、同国への安全保障提供に関する草案を公表 非軍事保証国として日本を提案
2022年9月13日, 20:58
© 写真 : Facebook account of Office of the President of Ukraine
ウクライナ大統領府は13日、ウクライナの安全保障に関する草案を公表した。ウクライナは、欧州連合(EU)加盟国、米国、英国、オーストラリア、トルコを保証国として提案している。
草案では「安全保障は肯定的かつ明確に要約されていなければならない。それらは保証国グループがウクライナとともに行った一連のコミットメントの概要を示す」と指摘されている。
また草案には「ウクライナにとって最も強力な安全保障は、その自衛力となる」と記されており、そのためには「ウクライナの軍産複合体への長年にわたる安定した投資、大規模な武器供与、同盟国からの情報収集支援」が必要だとされている。さらに、EUと北大西洋条約機構(NATO)の後援による集中的な訓練ミッションと合同演習についても指摘されている。
ドンバスの解放を賭けた特殊軍事作戦
ウクライナ、西側から長距離ミサイルなどの追加兵器を要求=WSJ
昨日, 10:07
また草案では「特に日本や韓国を含む国際パートナーのより広範なグループも、制裁を基盤とした非軍事的性格の保証の一式を支持すべきである」と述べられている。
ウクライナのための保証草案は将来的には、侵略された場合に保証国に対して「国力及び集団力のすべての要素を使用し、外交的、経済的そして軍事的手段を含むしかるべき措置を講じる」ことを「法的および政治的」に義務付けている。
その他にも草案は、ウクライナに対する脅威が発生した場合に、できるだけ早く(例えば、24時間以内)保証国の協議を召集することも規定している。
ドンバスの解放を賭けた特殊軍事作戦 ウクライナ 米国 欧州
―参考―
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62937414
【解説】 ウクライナでの戦争、どっちが勝っているのか
2022年9月17日
Getty Images
東部イジュームのウクライナ兵
ウクライナ軍はこのところ、急速な前進を遂げ、ロシアから広い地域を奪還している。
ロシアは、部隊を再編成中だとしている。ウクライナの国土の5分の1近くは、まだロシアが押さえている。
戦局はどう変わった?
ロシアは2月24日にウクライナに侵攻し、首都キーウを包囲。南部、東部、北部でも攻撃を開始した。
4月に入ると、ロシアはキーウへの進軍を断念。ウクライナ軍が、キーウ周辺の広い範囲を奪還した。
ロシアはその後、ウクライナの南部、東部、北東部に軍を集中。広い地域を制圧してきた。
だが9月になると、状況は一変した。
ウクライナは北東部で圧倒的な攻勢をかけ、ロシア軍を追い返した。ハルキウ市周辺だけで3000平方キロメートルを奪還したとしている。
今月に入ってロシアの支配から取り戻した領土は8000平方キロメートルを超えると、ウクライナは説明している。戦争が始まって以来、最も広範囲に及ぶ奪還となっている。
ウクライナが今月10日に奪還したとしているイジュームとクプヤンシクの両市は、ロシア軍の重要補給拠点だった。そのため、ウクライナにとっては戦略上の大きな利益となった。
ウクライナは、南部ヘルソン州の周辺でも反撃に出ている。
米シンクタンクの戦争研究所 (ISW)は、ウクライナ部隊がロシア軍に「大規模な作戦上の敗北」を与えたとしている。
英シンクタンク、王立防衛安全保障研究所のジャスティン・ブロンク氏は、ハルキウのロシア軍陣地が「完全に崩壊」したと述べた。
同氏はロシアの撤退について、「4月のキーウ撤退以来、ロシアによる最も劇的な反転であることは間違いない」とした。
ロシアはどう対応した?
ロシアは、イジュームとクプヤンシクからの撤退を認めた。「再編成」のための戦略的撤退だと説明した。
同時に、それらの地域は軍事攻撃の標的にし続けるとした。
ロシア軍は撤退の際、大量の装備と弾薬を残していったとみられている。
ロシア支配地域はどれくらいある?
前出のISWによると、ロシアはまだウクライナ国土の2割近くを押さえている。
その大部分を、東部ドンバス地方と南部、そして2014年にロシアが併合したクリミア半島が占めている。
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ウクライナ部隊の戦車と兵士たち
ドンバス地方では、ロシア語が主な言語となっている。2014年にロシアがクリミアを制圧すると、ドンバス地方では親ロシア勢力が全域の3分の1以上を押さえた。そして、いわゆる「人民共和国」が2つ作られた。
リヴィウなどの都市がある西部は、ミサイル攻撃を受けたが、ロシア軍による占拠の動きは見られていない。
ロシアは何を望んでいる?
ロシアは「侵攻」や「戦争」などの言葉を使わず、ウクライナで「特別軍事作戦」を展開していると説明している。
そして、「当初設定されたすべての任務」が達成されるまで、作戦を継続するとしている。
2月に侵攻を開始した際、ウラジーミル・プーチン大統領は、「ウクライナの非軍事化」が目標だと述べた。
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ロシアのプーチン大統領
目的の1つには、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないことを明確にすることもあった。
当初、ロシアが目指したのは、ウクライナの制圧と、同国政府の追放だった。
しかし現在、ロシアの野心は、ウクライナの東部と南部での土地の確保に限定されているとみられる。
ウクライナは何を望んでいる?
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の完全追放と「すべての領土の解放」が主な目標だと述べている。
ゼレンスキー氏は、ロシアから奪い返した地域の維持に必要だとして、より多くの資金と装備を求めている。
ウクライナ軍は、西側諸国から送り込まれた武器を多数使用している。
死者は何人に上っている?
双方に多数の死傷者が出ているが、正確な人数は公表されていない。
ウクライナは、ロシア兵を5万人以上殺したと主張している。8月末には、紛争開始以降のウクライナ軍の死者を約9000人と発表した。
ロシアは自軍の死者数をめったに明らかにしない。直近の発表は3月で、ロシア兵1351人が侵攻開始以降に死亡したとしていた。
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ウクライナ兵の葬儀
米当局は7月時点で、ロシア兵の死者を約1万5000人と推定している。
民間人にも死者が出ている。国連は今月初め、その人数を5700人以上とした。
しかし、実際の死者数はずっと多い可能性が高いとしている。
(英語記事 Who is winning the war in Ukraine?)
関連トピックス ウクライナ侵攻 ウクライナ ロシア 軍隊
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20220921/13020092.html
ロシアで部分動員発表=プーチン大統領
2022年9月21日, 15:16
© POOL
プーチン大統領はテレビ演説で、ロシアとその主権および一体性を守るために、部分動員を行うという提案を支持することが必要だと考えていると述べた。
動員活動は9月21日から始まり、予備役が召集される。プーチン大統領は「まず、軍務に服した人々は特定の軍事専門教育としかるべき経験を有している」と述べた。
プーチン大統領はまた、部分動員に関する大統領令は、兵器や装備品の生産増加、追加生産能力の増大といった防衛依頼を実行するための追加措置も規定していると述べた。
プーチン大統領はテレビ演説で、ウクライナでの特殊軍事作戦は不可避であったことを改めて指摘した。前線の拡大、ロシアの国境地域への絶え間ない砲撃や解放された地域への攻撃により、今回の動員が必要とされた。
またプーチン大統領は、ドンバスの共和国と解放されたウクライナの地域が住民投票を支持するようロシアに要請したと述べ、ロシアはこれらの地域の住民が安全に自分の選択を行うことができるよう、すべてを行うと指摘した。
ドンバスの解放を賭けた特殊軍事作戦 ロシア ウラジーミル・プーチン ドンバス
―参考―
- ロシアはウクライナというよりも欧米諸国と対峙している=露ショイグ国防相(Sputnik日本)[2022.9.21]
- 露ショイグ国防相 ロシアの部分的動員における主な目標を明らかに(Sputnik日本)[2022.9.21]
- 中国はウクライナ危機の当事者に対話を呼びかけ、英国は状況激化を非難 ロシアの動員に対する反応(Sputnik日本)[2022.9.21]
(投稿者より)
今回、ウクライナはNATOに対し、資金・武器・情報・訓練の提供を求めました。将来的には集団的安全保障の枠組みを作ることも求めています。
一方、ロシアは支配地域の警備要員として、予備役の召集を決めました。現在、ドンバスの作戦に参加しているのは国と契約した職業軍人です。これに応召兵が加わる形ですが、大学生と海外在住の市民は召集の対象から除外されます。ただ、事実はこれと異なるとの報道もあります。なお、徴兵は今後も勤務地を国内に限定するとされています。
ウクライナは非軍事面の保証を担うよう日本にも求めています。日本は中国と対峙するために米英と安保上の関係を持っていますので、歩調を合わせる意味で今後も憲法が許容する範囲内でウクライナを支援する必要があるとは思います。
ただ、両国とも国内の戦争屋勢力が武器の在庫を処分するために現地住民の生命を消費しているという現実や、本国ではその勢力の淘汰が進んでいるという深層にも目を配りたいです。
一方、ロシアのエネルギーは日本が今日を生きるために不可欠です。また、最終的にはロシアがこの戦争に勝つ可能性もあります。ロシアとの関係を維持しつつ、戦後を見据えたデザインを描く必要もあると思います。